KDDI、テラドローン、セコムの3社は、AIによる人物検知機能を搭載した2台のスマートドローンを連携させ、スタジアムの不審者を発見、追尾する広域警備の共同実証に成功。上空を飛ぶドローンが不審者を発見して位置を特定すると、低高度で巡回するドローンが急行し、追尾を開始する。
KDDI、テラドローン、セコムは2018年12月18日、埼玉スタジアム2002(埼玉県さいたま市)で、モバイル通信ネットワーク(4G LTE)に対応し、AIによる人物検知機能を搭載した自立飛行型の「スマートドローン」による広域警備の実証に成功したと発表した。
実証実験では、高高度で広域を監視する「俯瞰ドローン」が、4Kカメラと人物検知機能により、スタジアムにいる不審者を自動検知。上空から不審者の姿を捉え続けながら、その位置情報をGPS情報、カメラ角度、映像から特定する。
割り出した位置情報を運航管理システム経由で指示することで、低高度で巡回監視する「巡回ドローン」を不審者のもとに自動で急行させ、追跡を開始。
リアルタイムでの不審者を検知するため、それぞれのドローンに搭載したAIで人物検知の処理を行っている。
これらのドローンの映像は、管制室からリアルタイムで確認でき、発見した不審者の位置に警備員を急行させることもできる。
実証実験の実施に当たり、KDDIとテラドローンは、飛行エリア周辺の3次元地図を用いてドローンの安全な飛行ルートを設定できる運航管理システムを開発。
周辺の天気・風況情報や、上空の電波情報を併せて表示することで、これらの情報を踏まえて飛行予定エリアの安全性を確認し、飛行可否を判断できるようにした。
地図データはゼンリン、天気・風況データはウェザーニューズ提供の情報を活用。セコムは、警備の観点から運運航管理機能の要件定義と実証実験のシナリオの構築を提供した。
今回の実証実験で用いたスマートドローンと運航管理システムの警備システムは、大規模イベントなど、より広域での警備に加え、設備点検や災害対策など、ドローンの活躍が期待される他分野への活用も可能になるとしている。
なお、今回の実証実験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト」における、「警備業務に対応した運航管理機能の研究開発」の一環として実施された。
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