今回取り上げるのも、契約の「名称」と「実態」が懸け離れたことで発生した紛争だ。
契約書は「請負契約」として作成されていながら、実態は「ユーザーがベンダーの作業者に直接指示」を与え、かつ「成果物の完成責任はベンダー」にあるという、随分とユーザーに都合の良い内容の契約だ。
IT以外の世界であれば、そもそもこんな契約が認められることは少ないのかもしれないが、システム開発プロジェクトでは前出の通り、こうした作業形態はよく行われている。
とはいえ、いびつな作業形態には問題がある。だからこそ裁判が提起されることになってしまったのだ。まずは、事件の概要から見ていただこう。
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