無論、いくらIT業界でも「社員がプロジェクト途中で退職すること=損害賠償」とはならない。しかし今回の事例の場合、そもそも「開発がアジャイルであるから」という理由で、退職する社員が「ドキュメント=開発設計仕様書」を作っていなかったことが問題だった。ドキュメントもなくいきなり退職されては、会社も残されたプロジェクトメンバーもつらい。
一般論では、退職時にドキュメントを作っておかないこと自体は、多少非常識かもしれないが法的な問題にまでは発展しない。プロジェクト内でドキュメントを作成しないことに合意して作業していたのであればなおさら、責任を問うのは難しい。
裁判所は、この点をどのように判断したのだろうか。
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