ソフトウェアの品質と保守性を向上させるために、テストケースの作成は重要です。しかしながら、時間がない、面倒だなどの理由によりユニット(単体)テストが省略されることはしばしばあります。
また、ソフトウェアの修正や仕様変更を考慮すると、保守性の高い(分かりやすい/読みやすい)コードにする必要があります。
本稿では、ソースコードからJUnitをベースとしたたテストケースを自動的に生成する「JUnit Factory」とコードの保守性の指標であるCRAP(Change Risk Anti Pattern)を計測する「Crap4j」をご紹介します。
JUnit Factoryはソースコードからテストケースを自動生成し、しかも生成されたテストケースはモックオブジェクトやprivateフィールドのアクセッサなどが駆使され、高いカバレッジ(テストケースの網羅度)をカバーするというまさに夢のようなテストコード生成サービスです。
JUnit Factoryを利用するためのEclipseプラグインが提供されており、Eclipse上から簡単にテストケースを生成できます。
JUnit Factoryは次のような特徴を持ちます。
JUnit Factoryはテストケース生成サービスとして、JUnit Factoryのサーバ上で提供されています。各開発者の端末上でテストケースを生成しないので、テストケース生成中はマシンリソースを消費してほかの作業ができなくなるということはありません。テストケースを生成している間、別の作業ができます。
テストケースを生成するサービスは、JUnit Factory上のWebページで公開されており、無料で利用できます。
JUnit Factoryは、Web上でも利用できますが、Eclipseプラグインも提供されており、プラグインを使って簡単にテストケース生成サービスを利用できます。
また、プラグインでは、テストの実行、カバレッジ測定、ダッシュボードの生成などもサポートされます。
テスティングフレームワークのJUnitをベースとしたテストケースを生成するので、開発者になじみやすいです。
また、専用のAntタスクが無償で提供されており、Antでテストを実行することもできます。
さて、ここまで読んで「テストケースの自動生成なんて、使えないんじゃないか?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。簡単にJUnit Factoryによるテストケースの生成の例を見てみましょう。
例えば、次のようなCheckNumberというクラスに2けたの数字かどうかチェックするlen2というメソッドがあったとします。
public class CheckNumber {
……(略)……
public boolean len2(int n){
if(n>=10&&n<=99){
return true;
} else {
return false;
}
}
……(略)……
}
このlen2メソッドに対して、JUnit Factoryは次のようなテストケースを生成します。
public void testLen2() throws Throwable {
boolean result = new CheckNumber().len2(9);
assertFalse("result", result);
}
public void testLen21() throws Throwable {
boolean result = new CheckNumber().len2(100);
assertFalse("result", result);
}
public void testLen22() throws Throwable {
boolean result = new CheckNumber().len2(11);
assertTrue("result", result);
}
public void testLen23() throws Throwable {
boolean result = new CheckNumber().len2(98);
assertTrue("result", result);
}
public void testLen24() throws Throwable {
boolean result = new CheckNumber().len2(99);
assertTrue("result", result);
}
public void testLen25() throws Throwable {
boolean result = new CheckNumber().len2(10);
assertTrue("result", result);
}
生成されたテストコードを見ると、境界値付近(10、99)で値を変えたテストケースを生成し、その返却値をチェックしているのが分かると思います。
上記の例では、引数にプリミティブ型を利用していますが、独自クラスを利用した場合は、インスタンスやモックを利用したコードが生成されます。簡単な例の場合、このように非常に分かりやすいテストケースを生成できます。
下記のアップデートサイトからプラグインをダウンロード、インストールします。
インストールするフィーチャーは、図4のとおりです。
JUnit Factoryは、Eclipseから利用する場合、JUnit Factory Serverのアカウントが必要です。JUnit Factoryのインストールが完了したら、アカウントを作成しましょう。アカウントは下記のURLから作成します。
メールアドレス、名、姓、パスワードを入力し、「legal stuffを確認」にチェックを入れて、アカウント作成ボタンを押すとアカウントが作成されます。
インストールが完了したら、Eclipse[メニュー]の[設定]→[Agitar]→[サーバー]でサーバに接続する設定を行います(図6)。
JUnit Factoryで提供しているサービスを利用する場合は、次のように設定します。
| 項目名 | パラメータ |
|---|---|
| [ホスト] | 「www.junitfactory.com」 |
| [ポート] | 「80」 |
| [Email address] | アカウント作成で入力したメールアドレス |
| [パスワード] | アカウント作成で入力したパスワード |
| 表1 JUnit Factoryのサーバ設定のパラメータ | |
HTTPプロキシは必要に応じて設定してください。以上で準備は完了です。
次のページからJUnit Factoryを使ったテストケースの自動生成の仕方を具体的に解説します。
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