連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(6)
「ネットワークをつなげ、パケットを届ける」ってどういうこと?
Roads to Node
2009/10/9
6-3 インターネット世界の住所
さて、次は住所についての話です。
インターネット世界のビルの所在地には名前が付けられています。この「ビル所在地」をパケット君はあて先や、送信元の住所として使用しています。
そういえば、イーサ配送君は「ビル名」をあて先や送信元の住所として使っていましたよね?
イーサ配送君「そうだね。僕らはビル名だけしか使わないッス」
つまり、ビルやステーションには「ビル名」と「ビル所在地」の2つの住所があることになります。この話は、イーサ配送君の仕事のところでも話しましたね。
イーサ配送君「第3回の図1ッス。『最終的な届け先』と『次に届ける先』という話でス」
そうでしたね。その違いはというと。
ビル名…市内の運輸で使用する。市内という限定された範囲での使用が前提
ビル所在地…インターネット世界で使用する。
この違いを使って、「次に届けるビル」と「最終的に届けるビル」を使い分ける、ということですね。
図3-1 ビル名と住所 3-1 イーサ配送君の運送票より |
パケット君「イーサ配送君が使用する『ビル名』に比べて、僕が使用する『ビル所在地』はインターネット世界の仕様が前提なんだよ。なので、『どの市にある』『どのビル』という情報がないといけないんだ」
ふむふむ。パケット君が使用する住所は、イーサ配送君が使用する「ビル名」みたいな単なる名前ではなく、位置情報が入っているんですね。
「ビルの所属する市」という情報と、「市内のビルの場所」という情報、2つが組み合わさっている、ということですね。
ルート君「その『ビルの所属する市』という情報がないと、インターネット世界でビルの場所を特定できないし、あて先までの経路も決定できない。この形の住所じゃないと困るってことだよ」
IPで使用されているアドレスは、ご存知の「IPアドレス」です。
IPアドレスは、MACアドレスとは異なる形式のアドレスです。MACアドレスは製造番号に近い、アドレスというよりも「識別番号」であるのに対し、IPアドレスは電話番号に近い「住所」として使用されるアドレスです。
つまり、「機器の位置情報」を持つアドレスである、ということです。
IPアドレスはすべてのTCP/IPを利用する機器に割り振られ、「機器が所属するネットワークの番号」と「機器の番号」の2つが組み合わさったものです。
IPやIPアドレスでは「ネットワーク」という言葉をよく使用します。この場合の「ネットワーク」は「コンピュータのグループ」という意味です。
コンピュータの管理をしやすくするためや、データのやりとりする量を管理するためにコンピュータをグループ分けします。
このグループには番号が付けられて管理されます。この番号が「機器が所属するネットワークの番号」のことです。
図6-6 IPアドレスの構成 |
これにより、インターネットという「相互に接続されたネットワーク群」の中で、「コンピュータが所属するネットワーク」がわかることになります。
この「機器が所属するネットワークの番号」と「機器の番号」を足して32ビットで表現するのがIPアドレスです。
IPアドレスは、32ビットの数値ですが、人間ではビットの0と1の羅列を記憶するのも書くのも大変なので、これを8ビットずつ区切ります。この区切りを「オクテット(octet)」と呼び、オクテットは先頭から第1〜第4オクテットと呼ばれます。
このオクテットをそれぞれ10進数に変換し、オクテットの区切りをドットで表現したものが「ドット付き10進数表記」IPアドレスで、私たちが普段見慣れている形になります。
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図6-7 IPアドレスのドット付き10進数表記 |
IPアドレスの詳しい話は次回以降に譲りますが、IPアドレスの特徴としてまず覚えておいてほしい事は、次の2点です。
- IPアドレスは「所属ネットワーク」と「機器番号」で構成される「位置を示す識別番号」である
- IPアドレスにより、「ネットワークがつながった範囲」での場所を特定できる
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6 パケット君の運送手順 - 主役登場、TCP/IPのメインIPがついに登場!! | |
6-1 パケット君登場 | |
6-2 パケット君の配送票 | |
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6-3 インターネット世界の住所 |
6-4 あて先の市までの道を決める 6-5 おさらい 〜 実際のネットワークに当てはめると |
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