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日本の皆さん、諦めない「ど根性」を持ってくださいGo AbekawaのGo Global! パトリックさん from カメルーン(後編)(2/3 ページ)

「人生は1回しかない」という言葉がありますが、生き方そのものはいくらでもあると思うのです。

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鉱物探査などへのAI利用に興味がある

阿部川 4th.aiに入社して3年ですね。現在の仕事内容を教えてください。

パトリックさん 主にロボティクスとAIの2つに取り組んでいます。ロボティクスでは、移動ロボットの循環化、センサーデータの前処理、センサーフュージョン、経路計画などに取り組んでいます。AIでは、3Dポイントクラウドを使った環境再構築やテキストの感情分析、AIアシスタントのための表情生成などに取り組んでいます。

阿部川 幅広い分野に取り組んでいるのですね。これらの技術はどのような用途に活用されているのですか?

パトリックさん 私たち4thaiは、MaaC(Mobility as a Commodity)とMoT(Mobility of Things)を主要なコンセプトに掲げ、MaaS(Mobility as a Service)、LaaS(Logistics as a Service)、RaaS(Robotics as a Service)などの先端技術サービスを提供しています。これらは自動車に限らず、あらゆる「移動する乗り物」全般に応用可能であると考えており、IoT(Internet of Things)の枠組みをさらに拡張した新たな価値創造を目指しています。

 具体的には、倉庫内で稼働する自律移動ロボットや屋外の自動配送ロボットなど、移動ロボットシステムが主な用途です。また、自動運転の研究開発にも取り組んでおり、認識技術や、言語理解、ARなどのAI技術を幅広く適用しています。これらの技術を通じて、MaaCやMoTの概念を社会に広く提供し、新たなモビリティの可能性を切り開いていきたいと考えています。

阿部川 今後、カメルーンに戻る予定はありますか?

パトリックさん 当初は日本に長く滞在したいと考えていました。非常に安全であり、日本の文化が好きですから、日本での生活に魅力を感じていました。ただ最近は、カメルーンとの絆を保ちながら、日本とカメルーンをつなぐ架け橋になりたいと考えるようになりました。

阿部川 それは素晴らしいことですね。ぜひカメルーンと日本の絆になってください。今後はご自身の専門、ロボティックスやAI、AR(拡張現実)などの分野を深めたいとお考えですか。

パトリックさん ロボティックスとAIは既に専門知識がありますが、今後は工業分野におけるAIのアルゴリズムの最適化に興味があります。具体的には鉱物探査などへのAI利用、それと地理や地勢のイメージ分析にも興味があります。鉱物の探索には多くのコストと時間がかかっていますから、それを解決したいのです。

 特に、アフリカは鉱物資源が豊富ではありますが、テクノロジーが十分ではない。他方日本はテクノロジーやAIがある。これらを融合し、オートメーションや最適化を実現したいと思っています。

編集部 鈴木 @ITの読者、特に若手の方には、パトリックさんのようなAIやロボット関連の仕事に就きたいと思っているエンジニアがたくさんいます。ですが、どんなことを勉強したらいいのか、どうしたらそのような職業に就けるのか分からない、という声をよく聞きます。彼らはAIやロボットに関してどのような経験を積んだらよいのか、教えてください。

パトリックさん 現在AIと言われている言葉は、どちらかというとマーケティングの用語的なもので、「AIとは何か」を言っている人が分かっていないことが多いという前提でお話しさせてください。

 まず大切なのは、AIの歴史を理解することだと思います。方法や技術の前に、歴史がどうだったかを知らないといけません。特に、どのようなことが起源となってAIが誕生したかを知るべきです。これは個人で勉強できることです。それには基本的な数学や幾何学の知識も必要です。線形アルゴリズム、微積分、解析、確率などです。

 また、自分で時間を見つけて読書したり、大学に行って勉強したりすることも大切です。純粋に統計やソフトウェアをやってきた人たちも、AI技術者と同じような科学的な視点や基本的な素養があると思います。

 AI関連企業への就職活動では、AIをどのような分野に応用しているかに注目してください。プロジェクトの概要やポートフォリオなどを見るとよいと思います。具体的なプロジェクトを見ると、実際のところが分かると思います。それでも探せない場合は、やってみたいプロジェクトなどを想定して見るのもよいと思います。

 AIを使う場合には、必ずしも数学的な知見が必要ではありません。それよりもクリティカル思考や既存のAIモデルの使い手、導入方法などを知ることが必要です。いわゆるAIアプリケーション開発ですね。ですから「自分が求めるものは何か」も明快にした方がいいと思います。

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