Google Cloud、AIベースのDBアシスタント「Gemini in Databases」を発表 専門知識不要でDB開発、管理が可能に:データベース運用のあらゆる側面を簡素化
Google Cloudは、開発支援やパフォーマンス最適化、フリート管理、ガバナンス、移行など、データベース運用のあらゆる側面を簡素化するAIベースのデータベースアシスタント「Gemini in Databases」のプレビュー提供を開始した。
Google Cloudは2024年4月10日(米国時間)、AI(人工知能)ベースのデータベースアシスタント「Gemini in Databases」のプレビュー提供を開始した。
Gemini in Databasesは開発支援、パフォーマンス最適化、フリート管理、ガバナンス、移行など、データベース運用のあらゆる側面を簡素化する。このAIアシスタントにより、開発チームや運用チームは専門的なスキルを習得しなくても、以下の機能やサービスを利用してデータベースの開発、管理に幅広く対応できる。
Database Studio
開発者は、簡単な自然言語の指示からSQLコードを生成し、要約する機能により、アプリケーションを迅速に構築、デプロイ(展開)できる。
Database Insights
AIベースのアシスタントから得られる洞察や推奨事項を活用し、運用担当者はデータベースパフォーマンスを簡単に最適化できる。
Database Center
プラットフォームエンジニアは、AIを用いて構築されたインテリジェントダッシュボードを使用して、多様なデータベースのフリート全体を管理でき、カスタムツールやプロセスに頼らずに可用性、データ保護、セキュリティ、コンプライアンスの問題をプロアクティブに評価できる。
Database Migration Service
データベース管理者は、自動化されたコードとデータベース変換により、データベース移行を効率化、迅速化できる。
Database Studioによるアプリケーション開発支援
デジタルトランスフォーメーション(DX)やデータプラットフォームのモダナイゼーションへの注目が高まる中、開発者はDevOpsの役割も担うことが多くなり、アーキテクチャの構築、管理、将来性の確保だけでなく、アプリケーション開発の迅速化も求められており、負担の増大に対処している。
Database Studioにより、開発者はインテリジェントなコード支援、コード補完、エディタでの直接ガイダンスを利用して、SQLを簡単に記述し、理解できる。コンテキスト認識型の自然言語チャットインタフェースを介して、AIアシスタントから提供されるSQLの提案を用いてデータベースアプリケーションをより迅速に構築することが可能だ。
 
Database Studioは、コード支援、コード補完、ガイダンスをエディタ内で直接提供する。また、開発者はコンテキスト認識型の自然言語チャットインタフェースでデータベースを管理できる(提供:Google Cloud)
Database Insightsによるパフォーマンス問題への早期対応
Database Insightsは、データベースパフォーマンスの問題に対処する運用担当者を使いやすいインタフェースで支援し、全てのデータベースメトリクス(指標)を単一のビューで可視化することで、時間の節約と生産性の向上を実現する。
Database Insightsは、待機イベント、データベースフラグ、トラブルシューティングに利用可能なさまざまなデータベースメトリクスなど、データベースの微妙な概念について、コンテキストに即して説明できるようにすることで、データベースの複雑な問題の解決を支援する。ワークロードを自動的に分析し、問題を浮き彫りにし、解決するための推奨事項を提案する。
また、インデックスの欠落、不正なフラグ、リソースのボトルネックなどの一般的な問題や、その他の重要なパフォーマンス設定をチェックし、クエリの最適化とデータベースのチューニングを支援する。
ほぼリアルタイムの豊富な診断機能により、運用担当者はクエリパフォーマンスの問題を簡単に検出し、トラブルシューティングできる。
Database Centerによるデータベースフリートのリスク回避と最適化
プラットフォームエンジニアは新しいDatabase Centerにより、データベースのインスタンス数やエンジンの種類に関係なく、データベースフリート全体を単一画面で確認できるようになった。この新しいダッシュボードは、データベースのパフォーマンス、セキュリティ、コスト、可用性に関する一元的なビューを提供し、プロアクティブなモニタリングと、注意が必要なインスタンスの特定を可能にする。
データベースフリート管理は複雑で時間がかかる。だが、Database Centerの統合AIアシスタントを使えば、データベースチームは自然言語を使ってシステムを操作でき、必要な情報の検索や問題のトラブルシューティングが容易になる。データベースの健全性に関するアドホックな質問をして、回答を得ることで生産性を高められる。
さらに、Database Centerは以下のような機能も提供する。
- 重要なシグナルを監視して潜在的なパフォーマンス問題に注目し、予測分析を用いてリソースが飽和するタイミングを警告する
- インスタンスの使用パターンを自動的に分析し、ワークロードに合わせた適切なサイジングを推奨して、リソースを浪費する過剰なプロビジョニングと、パフォーマンスと可用性を損なうプロビジョニング不足を防止する
- アイドル状態のインスタンスや季節ごとの使用パターンを調べ、非稼働時間帯のシャットダウンおよび起動ポリシーを提案する
- 自動スキャンによってセキュリティ構成を簡素化し、リスクを軽減し、業界標準のベストプラクティスを推進するための推奨事項を提案する
- Google CloudのSecurity Command Centerとの連携により、セキュリティ上の発見と潜在的な攻撃ベクトルをほぼ瞬時に分析し、敵対者からプロアクティブに保護する
Database Migration Serviceによるデータベース移行の効率化と迅速化
データベースの移行には多くの専門知識やノウハウが必要であり、データベーススキーマに加えてアプリケーションコードにおける依存関係を理解するのは大変だ。Database Migration Service(DMS)は時間とリソースを節約できるように、Google Cloud SQLへのデータベースの移行を容易にし、レガシーデータベースを「AlloyDB」のようなクラウドに最適化されたデータベースにモダナイズする。
DMSのGeminiにより、開発者と管理者はストアドプロシージャ、トリガ、関数などのデータベースコードを簡単に評価し、「PostgreSQL」に変換できる。また、DMSのAI機能は、ユーザーが行う初期の変換から学習することで、その後の工程でのコード変換を支援する。
さらに、DMSのAIベースの説明可能性機能は、開発者が容易に新しいPostgreSQLを学習し、SQLコードを最適化し、可読性を向上させることができるように支援し、生産性向上、より容易な移行、効率向上に寄与する。
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