コロナ禍でもデジタル技術に重点投資 ガートナーが「2021年CIOアジェンダ・サーベイ」の結果を発表:「CIOが機会をつかむための4つの方法」とは
ガートナー ジャパンは、CIOを対象にした調査「2021年CIOアジェンダ・サーベイ」の結果を発表した。新型コロナウイルス感染症がまん延した中でも、先進企業はデジタルイノベーションを加速させ、先進技術を活用しようとしていることが分かった。
ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は2020年11月5日、世界74カ国の1877人のCIO(最高情報責任者)を対象にした調査「2021年CIOアジェンダ・サーベイ」の結果を発表した。今回の調査結果によると先進企業は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がまん延した中でもデジタルイノベーションを加速させ、先進技術を活用しようとしていることが分かった。
今回の調査でガートナーは「CIOがデジタルビジネスの加速と長期的な俊敏性の獲得の両方を成功させる4つの方法」が分かったという。
戦法を変える
1つ目は「顧客がデジタルなやりとりを望むよう変わりつつあることに備えること」。今回の調査で、先進企業はデジタル技術を活用して、新たな製品やサービスの導入を加速し、顧客にアプローチしていることが分かった。先進企業10社のうち9社がデジタルによるアプローチを追求しており、その約4分の3がデジタル製品の導入スピードを高めている。
ガートナーは、「顧客へのアプローチにデジタル技術の活用を増やすと、先進企業になる可能性は3.5倍高くなる」としている。Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントを務めるAndy Rowsell-Jones(アンディ・ラウゼル・ジョーンズ)氏は、「先進的な企業は、デジタルビジネスに総力を挙げて取り組んでおり、それを可能にする能力の開発を進めている」と述べている。
増幅力を解き放つ
2つ目は「ITのリーダーシップをデジタルビジネスの加速に集中させること」。ガートナーによるとCOVID-19拡大の結果、「ビジネス部門に助言するため特定のビジネスプロセスに関する知識を深めた」と回答したCIOの割合が約70%だったという。そして「ITの価値の測定と明確化の取り組みを強化した」との回答も約70%を占めた。
この結果についてジョーンズ氏は「COVID-19への対応は単純作業に見えるかもしれないが、CIOにとっては重大な機会だった。CIOは、ITのリーダーシップをデジタルビジネスの加速にあらためて集中させ、企業の中核技術を再構築できた」と述べている。
足かせを減らす
3つ目は「変化を体系的に把握し、リスクを排除すること」。例えばサプライチェーンのパフォーマンス低下といった「足かせ」をCIOが体系的に把握して排除すればデジタル化を加速させられることが今回の調査で分かった。「売上高が減少した」と回答した割合は平均的企業が45%、平均より劣る企業では62%だったのに対して、先進企業は29%にとどまった。需要の変化について、「COVID-19の発生後に新たに獲得した顧客からの需要が増えた」と回答した割合は、先進企業が58%だったのに対して、平均的企業は49%、平均より劣る企業は37%だった。
リソースの投入先を変える
4つ目は「新規ビジネスの課題解決にリソースを投入すること」。今回の調査で「デジタルイノベーションへの資金拠出を増やした」と回答した割合は、先進企業は63%だったのに対して、平均的企業では52%だった。ガートナーは「デジタルイノベーションへの資金拠出を増やすと、先進企業になる可能性は2.7倍高くなる」としている。
今回の調査結果によると、デジタル化を支援する技術に投資する姿勢が見えた。サイバーセキュリティや情報セキュリティへの投資を増やすと回答した割合は61%。ビジネスインテリジェンスやデータ分析は58%、クラウドサービスやソリューションは53%だった。
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