Windows as a Serviceを制御する――機能更新と品質更新のリリースサイクル(その1):企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(4)(1/2 ページ)
ひとたびWindows 10に移行すると「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」に基づいて継続的な更新が行われることになります。企業のシステム管理者は、管理対象のWindows 10クライアントをうまくWaaSの流れに乗せてあげる必要があります。Windows 10の既定の設定のままで、ただWaaSの流れに身を任せてしまうと、Windows Updateが業務をたびたびストップさせてしまい、社員の生産性を損なうことになるでしょう。
Windows 10の「機能更新プログラム」と「品質更新プログラム」
Windows 10のWindows Updateで配布される更新プログラムは、大きく「機能更新プログラム(Feature Updates)」と「品質更新プログラム(Quality Updates)」の2つに分けることができます。
- 機能更新プログラム:新機能を含むWindows 10の新しいバージョン(新しいビルド)へのアップグレード。半年ごと(3月ごろと9月ごろ)にリリース
- 品質更新プログラム:セキュリティ更新、非セキュリティ更新(バグ修正や改善)、Adobe Flash Playerのセキュリティ更新など。毎月1回以上リリース
機能更新プログラムは、Windows 10 バージョン1511以前は「機能アップグレード」と呼ばれていたもので、Windows 10の“新しいバージョン(新しいビルド)へのアップグレードインストール”です。Windowsの新しいバージョンがWindows Updateを通じて配布されるのは、Windows 10からの大きな変更点です。
一方、品質更新プログラムは従来のWindowsと同様、セキュリティ更新やその他の更新プログラムです。以前のWindowsとの違いは、過去にリリースされた更新を含む“累積更新プログラム”として毎月1回または複数回提供されるようになった点です。2016年10月以降は、Windows 7やWindows 8.1も累積更新プログラムの提供形態に移行しました。
この他、Windows Defenderの定義更新、ドライバー更新プログラム、他の更新プログラム(悪意のあるソフトウェア削除ツールなど)、Microsoft製品(MSI版のOfficeアプリケーションなど)の更新プログラムがWindows Updateを通じて配布されます。
2017年7月からのWaaSの変更点
Windows 10のWindows Update関連の機能と「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」のサポートポリシーは、Windows 10の新しいバージョン(新しいビルド)がリリースされるごとに変更されてきました。最新のサポートポリシーについては、以下のドキュメントで確認してください。
- サービスとしてのWindowsの概要(Microsoft Windows IT Center)(最新情報が反映されていない場合があります)
- Overview of Windows as a service[英語](Microsoft Windows IT Center)(最新情報は英語サイトで確認できます)
2017年7月27日(米国時間)には、Windows 10 Creators Updateの「Current Branch for Business(CBB)」向けの提供が開始されました。このリリースから、CBBは「Semi-Annual Channel」という名称と概念に変更されています(表1)。
2017年7月以前 | 2017年7月以降 | リリースサイクル | 更新サポート | 備考 |
---|---|---|---|---|
Current Branch(CB) | Semi-Annual Channel(Targeted) | 半年ごと(3月ごろと9月ごろ) | Targeted向けリリース後18カ月 | 2017年4月の発表時点ではSemi-Annual Channel(Pilot)という名称でした。Semi-Annual Channel(Targeted)は、Office 365 ProPlusの従来のFirst Release for Deferred ChannelであるSemi-Annual Channel(Targeted)とそろえられます |
Current Branch for Business(CBB) | Semi-Annual Channel | Targeted向けリリースの4カ月後 | Targeted向けリリース後18カ月 | 2017年4月の発表時点ではSemi-Annual Channel(Broad)という名称でした。Semi-Annual Channelは、Office 365 ProPlusの従来のDeferred ChannelであるSemi-Annual Channelとそろえられます |
Long Term Servicing Branch(LTSB) | Log Term Servicing Channel(LTSC) | 2〜3年ごと | 10年 | 次のLTSCリリースから |
表1 WaaSのチャネル(旧称ブランチ)の名称変更 |
新しい概念では、これまでの「Current Branch(CB)」は「Semi-Annual Channel(Targeted)」、CBBは「Semi-Annual Channel」と呼ばれるようになり、Office 365 ProPlusのリリースとも足並みがそろえられます。また、「Long Term Servicing Branch(LTSB)」は、次のリリースから「Long Term Servicing Channel(LTSC)」に変更になる予定です。
- Windows as a service: Simplified and Aligned[英語](Microsoft Windows for IT Pros)
- Office 365 ProPlus 更新プログラムの管理に関する今後の変更の概要(Microsoft Office)
Windows 10 バージョン1511のサポートについては、Windows 10 Creators UpdateのSemi-Annual Channel(旧称、CBB)向けの提供を開始したのに合わせ、2017年10月10日に更新サポートが終了することが発表されています。そのため、以降ではWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607)とWindows 10 Creators Update(バージョン1703)の機能とサポートポリシーに基づいて説明します。
- [関連記事]Windows 7/8.1/10のサポート期間を知る(Windows Server Insider:Tech TIPS)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Microsoft、業務PC自動セットアップツール「Windows AutoPilot」を提供
Microsoftは「Windows 10 Fall Creators Update」で、IT管理者向けに組織内へのPC展開と管理を容易にする一連の新機能「Windows AutoPilot」を提供する。Windows 10 Fall Creators Updateに搭載される「次世代」のセキュリティ機能
Microsoftが「Windows 10 Fall Creators Update」に搭載する次世代セキュリティ機能を紹介。「Windows Defender ATP」に含まれるツールを大幅に拡充することを明らかにした。「Windows 10 Fall Creators Update」に搭載される新機能まとめ
マイクロソフトはWindowsの次期大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」を2017年後半にリリースすると発表。Windows MRやiOS/Androidも包括したマルチプラットフォーム対応など、コンシューマー/技術者それぞれに向けた新機能を多数リリースする。Windows 10 Creators Updateがやってきた!――確実にアップグレードする方法を再確認
2017年4月6日(日本時間、以下同)、Windows 10の最新バージョンである「Windows 10 Creators Update」が正式にリリースされ、利用可能になりました。4月12日からはWindows Updateを通じた配布が段階的に始まります。