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「Claude」もリモートMCPサーバ対応 Anthropicが「インテグレーション」機能をリリース外部ツールやデータと直接連携可能に

Anthropicは、「Claude」に関する新機能「インテグレーション」機能を発表した。リモートMCPサーバを利用することで、さまざまなツールと連携でき、「複雑なプロジェクトを独立して処理する、知識豊富なチームメイトのような存在になる」という。

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 Anthropicは2025年5月2日(米国時間)、同社のAI(人工知能)モデル「Claude」をアプリケーション(以下、アプリ)やツールに接続する新しい方法「インテグレーション」(統合)機能を発表した。

リリース時点で著名な10社のサービスと接続可能

 「MCP」(Model Context Protocol)は、AIアプリとさまざまなツールやデータソースを簡単かつ効率的につなぐためのオープンな標準規格だ。従来のMCPサーバは、主にローカル(エンドユーザーのデバイス上)で実行されていたが、現在では、インターネット経由でAIアプリと通信できる「リモートMCPサーバ」を開発者自身が構築、ホストできるようになっている。これによって、AIアプリが外部サービスやデータベースなどと容易に連携すること(リモートMCPサーバによるインテグレーション)が可能になった。

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MCPの一般的なアーキテクチャ(出典:MCPの公式ドキュメント

 Anthropicは「インテグレーションによってClaudeは、インターネットにホストされているツールやデータにアクセスし、ユーザーのニーズに合わせた複雑なプロジェクトを独立して処理する、知識豊富なチームメイトになる」としている。例えば、インテグレーション機能でClaudeと業務用アプリを接続すると、Claudeはプロジェクトの履歴、タスクのステータス、企業の知識など、作業に関する深いコンテキストを理解し、あらゆる場面でアクションを実行できるようになる。

 リモートMCPを使用したインテグレーションには、「事前構築済みのインテグレーション」と「カスタムインテグレーション」の2種類がある。事前構築済みのインテグレーションについては、Atlassian、Zapier、Cloudflare、Intercom、Asana、Square、Sentry、PayPal、Linear、Plaidの10社が、それぞれ自社の人気サービスにClaudeを接続するリモートMCPサーバを構築し、それらを介した事前構築済みのインテグレーションが利用可能になっている。今後は、Stripe、GitLab、Boxからもこうしたインテグレーションが提供される予定だ。

 開発者の視点で言えば、Anthropicのドキュメントを参照したり、Cloudflareが提供するようなソリューション(OAuth認証、トランスポート処理、デプロイ支援が組み込まれている)を利用したりすることで「わずか30分でカスタムインテグレーションを構築することもできる」と、Anthropicは説明している。

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Cloudflareのソリューションを用いて構築されたインテグレーションの概念図(提供:Cloudflare

事前構築済みのインテグレーション

 今回紹介された事前構築済みインテグレーションによって「Claudeのできることが大幅に広がる」とAnthropicは語る。インテグレーションごとに想定される利用方法は以下の通り。

Atlassian(「JIRA」「Confluence」など)

 課題の追跡、スプリントの管理、ドキュメントの作成、ナレッジベースの検索

Zapier

 アプリ間のワークフローの自動化

Cloudflare

 クラウドサービスの構築、管理、デバッグ

Intercom

 サポートの傾向分析と顧客問題の優先順位付け

Asana

 タスクや成果物の作成、検索、担当の自動割り当て

Square

 取引、加盟店、支払いなどのデータの検索と管理

Sentry

 エラーのインテリジェントな検索、デバッグ支援

PayPal

 請求書の作成と管理、販売活動の分析

Linear

 課題、プロジェクトの管理、コメントの検索と作成

Plaid

 メトリクス、使用状況、サポートチケットの分析

高度なリサーチ

 Anthropicは、同社の「リサーチ機能」をベースにした幾つかの新機能も発表している。Claudeは内部、外部の数百の情報源に対して、5〜45分程度の時間で詳細を調査し、引用付きの包括的なレポートを提供できる。リクエストを小さな部分に分解し、各部分を深く調査してからレポートをまとめることも可能だ。これまでリサーチ機能ではWebと「Google Workspace」での検索が可能だったが、インテグレーションによってClaudeが接続したアプリの検索もできるようになった。

新機能の提供状況

 リモートMCPサーバによるインテグレーションと高度なリサーチ機能は現在、β版が「Max」「Team」「Enterprise」プランで利用でき、間もなく「Pro」プランでも利用可能になるという。Web検索は「Claude.ai」の全有料プランで利用できるようになっている。

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