増え続けるWebサイト、運用負荷増、DDoS攻撃、セキュリティ対策……面倒なインフラの課題を解決し、WordPressサイト運用保守を効率化するための現実解:いつ大きな損失につながってもおかしくない
Webサイト構築にWordPressを利用している企業は多い。しかし運用保守に当たってさまざまな課題がある。少ない負担で効率良く、安全で安定したWebサイトの運用保守を実現する方法とは。
コーポレートサイトやブランドサイト、オウンドメディアなど、企業にとってWebサイトはいまや欠かせない存在だ。企業のWebサイト開設数は増加傾向にあり、総務省によれば、2021〜2023年の間、建設、製造、運輸、卸売り・小売りなど多くの業種で増えている※。
※出典:総務省「令和5年 通信利用動向調査報告書(企業編)」 ホームページの開設状況(時系列、産業分類別)(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202300_002.pdf)
ビジネスオペレーションの軸としてWebサイトを活用したいというニーズがある一方で、自社のリソースだけで構築、運用することは簡単ではない。そこで近年主流になっているのが、Webサイトを簡単に構築できるCMS(コンテンツ管理システム)のデファクトスタンダード「WordPress」を活用し、Web制作会社に管理を委託して、自社ではコンテンツの作成や更新を中心に運用する方法だ。
WordPressの進化に伴って多様な機能が追加できるようになったことから、おのずと運用保守も担うWeb制作会社にも多くの要請が舞い込むようになる。多くの企業のニーズに応えたい一方で、安定したWebサイト運用を阻害するさまざまな課題に直面するケースが増えている。
WordPressの運用で直面する課題 「パフォーマンス」「保守・管理負担の増加」「セキュリティ」
課題は大きく3つに整理できる。1つ目は、パフォーマンスとスケーラビリティだ。WordPressはオープンソースソフトウェアなので、レンタルサーバの付加サービスとして提供されるケースが多い。スモールスタートで本番運用を始めやすいが、オンプレミスもしくは低価格帯に分類されるレンタルサーバを使用していると突発的なアクセス増に伴ってスケールアップやスケールアウトすることが難しい。Webサイトが重くなってもすぐに対応できないというパフォーマンスの課題に直面する。
2つ目は、保守・管理負担の増加だ。WordPressは、テーマやスタイル、プラグインなどを使うことで、設定を変えるだけでWebサイトを柔軟にカスタマイズできる。設定でカバーできない項目は、PHPやJavaScript、各種ライブラリを使った追加機能の開発で対応可能だ。ただ、追加開発が増えると、WordPress自体のバージョンアップに合わせて開発した機能の動作検証も必要になる。機能によってはWebサーバやデータベースサーバに管理者としてログインする必要があり、その権限管理も必要になる。バックアップなどは標準機能やプラグインでは不十分なことが多く、可用性やデータ保護の仕組みも欠かせない。標準設定では、本番環境とテスト環境(ステージング環境)を分けられないため、その対応も必須だ。管理対象のWebサイトが複数あればその分負担も増加する。
3つ目の課題はセキュリティだ。特に最近は、2024年末〜2025年初めにかけて大企業が相次いでDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃に遭い、事業継続に大きな影響を及ぼすことが改めて認識されたばかりだ。デファクトスタンダードであるが故にWordPressを狙ったサイバー攻撃は増えており、ビジネスに直結するWebサイトではより強固なセキュリティ対策が欠かせない。TLS暗号化は当然として、WAF(Web Application Firewall)や脆弱(ぜいじゃく)性管理などのアプリケーション層の対策、DNSベースのインフラ面の対策、マルウェアの侵入による情報漏えいなどサイバー脅威に素早く対応できる運用も求められる。
総じて、Web制作会社といえどもインフラを含めた運用ノウハウと知識を持つ人材が不可欠だが、受注業務ならではの先の読めない業務形態も相まって社内で確保するのが難しく、いつ大きな損失につながってもおかしくないのが現状だ。
現実解はマネージドクラウドサービス――課題を解決する機能やサポートを見極める
こうした課題を解決するために有力なのがマネージドクラウドサービスだ。専業ベンダーの一社にKinstaがある。2013年に設立された、米国に拠点を置くマネージドクラウドホスティング事業者で、東京と大阪をはじめとする世界37拠点のデータセンターから、グローバルCDN(Content Delivery Network)とエッジキャッシュを活用した高速でセキュアなサーバ環境を提供する。Kinstaの「WordPress専用マネージドクラウドサーバー」には大きく3つの特長がある。
1つ目は、Webサイトの高速化だ。Kinstaはサービス提供インフラとして「Google Cloud」を活用しており、Googleの技術が生きたサーバとプレミアムティアネットワーク、高速CPUを利用することで「30〜200%の高速化」を実績としている。CDN企業のCloudflareとパートナーシップを結び、各種機能を統合することで、HTTP/3対応やエッジキャッシュによる高速化も付帯する。HTTP/3は、Cloudflareの世界260カ所以上のデータセンターに対応。それらのデータセンターにWebサイトやWebページのキャッシュを保存するエッジキャッシュによって、TTFB(Time To First Byte:最初の1バイトを受信するまでの時間)を平均50%以上短縮、キャッシュされたWordPressのHTMLページ配信時間を平均50%以上短縮するという。
2つ目は、WordPressを使った事業の運営を効率化するさまざまな機能の提供だ。サーバのコントロールパネル「MyKinsta」では、WordPressサイト運営や開発に関連するアクセス権限を一元管理できる。キャッシュの管理、デバッグ、リダイレクトの設定、ジオロケーションの設定、CDNやエッジキャッシュの有効化などが可能だ。
個々のWordPressサイトにログインすることなく、MyKinsta上でプラグインやテーマを選択してアップデートできる。ステージング環境はワンクリックで作成可能なので、Webサイト変更時の確認や反映作業がしやすい。管理するWebサイトが複数になるとさらに作業効率アップにつながる。サーバリソースの消費量、CDNの使用量、ユーザーのデバイス種別、PHP速度、キャッシュ、地理的およびIP情報などに基づいたパフォーマンス指標も確認できる。何より、Webサイトの運用に欠かせないこれらの膨大な管理項目を複数のWebサイトを対象にして1つの画面で統合管理できる。
3つ目は、多岐にわたるセキュリティ対策だ。各Webサイトが仮想化環境上で隔離された個別のコンテナ内で稼働するため、自社のWebサイト間であっても環境の防御壁が存在する。エンタープライズレベルのCloudflareが無料で統合され、IPベースおよびファイアウォールによる保護が実装されている。ルートドメインとサブドメイン(数量無制限)を保護できるワイルドカードSSL証明書に対応し、複数Webサイトのセキュリティを確保できる。システムやデータは、毎日自動でバックアップされ、頻度は「1時間ごと」「6時間ごと」などを選択可能だ。バックアップは手動でも作成できる。
稼働監視は3分ごとに行われ、SLA(Service Level Agreement)として稼働率99.9%を保証する。物理ファイアウォールでインフラを保護することはもちろん、アクティブ/パッシブな保護の仕組みを使って、データへのアクセスをブロックする。マルウェア侵入への対応も無料で実施される。第三者機関による監査やSOC 2報告書の受領など、高いセキュリティ水準の維持にも力を入れている。
これらの機能を使いこなすには、充実したサポート体制も欠かせない。Kinstaでは、エンジニアによるライブチャットでの技術サポートを、日本語をはじめ10カ国語で24時間受けられる。ドキュメントや知識ベース、ブログで各種情報を公表する他、専用のサポートツールも多数提供する。サポートツールの一つが、パフォーマンス監視ツール「Kinsta APM」だ。WordPressサイトのワーカープロセス、MySQLデータベースクエリ、外部HTTP呼び出しなどに関するタイムスタンプ付きの情報を取得し、低速なデータベースクエリや時間のかかるAPI呼び出しなどを特定できる。
このように、人材不足に伴うWeb制作会社が持つ課題の解決を支援する他、開発者向けツール「Kinsta API」や無料のローカル環境開発用ソフトウェア「DevKinsta」なども提供して、WordPress環境で複数Webサイトの管理を効率化するための柔軟な開発もサポートする。
早稲田大学やマネーフォワード、Web制作会社が実感した導入効果とは
Kinstaのサービスを導入したことで、WordPress運用で直面する課題を解消している企業や組織の数は世界で12万を超えている。国内でも早稲田大学やマネーフォワードをはじめ多数の導入実績がある。ここで事例を2つ紹介しよう。
1社目は、東京に拠点を置くシステム開発会社MOOBON(ムーボン)だ。自治体、国立高等専門学校などをクライアントに抱え、WordPressサイト開発だけでなく、サーバ移行、保守運営、パフォーマンス最適化などのサービスも提供する。MOOBONが抱えた課題は、既存のレンタルサーバではTTFBの改善が難しいことだった。画像の圧縮や不要なプラグインの削除といった基本的な最適化では改善に限界があり、DNS応答時間、サーバ構成やスペック、PHPバージョンやWebサーバのチューニングなどの対応策を実施するために、Kinstaを採用した。
採用の決め手は、MyKinstaが直感的で使いやすいことに加え、URLリダイレクト、詳細な分析画面、WP_DEBUG、PHPバージョンの切り替えなど便利な機能が多数組み込まれていたことだ。その結果、あるクライアントのWebサイトではTTFBを100分の1に短縮したという。
2社目は、デザイン領域で企業をトータルサポートするクリエイティブ企業のカチノデだ。同社は、戦略立案・コンセプト設計から、Webサイト、プロモーション映像、パンフレットの制作など、クライアントの要件に合わせた幅広いサービスを提供する。課題となったのは、当時利用していたレンタルサーバの性能に満足できなかったことだ。特に、検証環境の構築作業が大きな負担となっていた。
Kinstaを採用した決め手は、ステージング環境の存在と、MyKinstaの使い勝手の良さだった。Kinstaに移行したことで、インフラ管理から解放され、HTMLやCSS、PHPコードの改善など、より集中すべき作業に時間を割けるようになった。サポート体制も充実しており、管理面の人手不足という課題を解消できた。
移行サービスは無料 初月利用料が無料になるプランも
このような実績を持つKinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーには検証、導入しやすい環境が整備されている。Webサイト数や月間訪問数などの要件に合わせて価格プランを選択でき、プランによって初回1カ月が無料で利用可能だ。全プランに無料の移行サービスが付帯しており選任のエンジニアに作業を一任できる。初期費用も解約を妨げる縛りもない。WordPress運用の課題を解消し、コンテンツやWebサイトの制作、新規顧客の獲得というビジネス成長に直結する作業に集中したい企業は、Kinstaのサービスを試してみてはいかがだろうか。
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提供:Kinsta Inc.
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年5月24日