Windows Admin Center 2410とWindows Admin Center in Azureの関係性を見る――両者の共存利用は可能か:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(220)
2024年12月に正式リリースされた「Windows Admin Center 2410」。2025年2月末のリリースビルドでは、当初発生していた不具合(日本語環境での文字化け)が解消されました。今回は、Windows Admin Center 2410に関連する「Windows Admin Center in Azure」を解説します。
今回は「Windows Admin Center 2410」(WAC 2410)に関連する管理ツールとして、「Windows Admin Center in Azure」を解説します。なお、動作確認の都合で「Azure VM」を使用するため、引き続き英語を中心とした表記になることをご了承ください。
Windows Admin Center in Azureとは
Windows Admin Center in Azure(WAC in Azure)は、Azure IaaS(Azure VM)と「Azure Arc」へのAzure Extensionとなる「Windows Admin Center」(WAC)です。通常のWACと比べると「サーバーマネージャー」のみ使用可能であること、機能を拡張/追加/削除できないことなど、“WACの機能制限版”と言うこともできます。
Windows Admin Center in AzureとWAC 2410は共存できるのか?
WAC in AzureとWAC 2410は、共存利用できるのでしょうか。結論から言うと、共存利用はできません。では、実際にどのような状況であったのかを見ていきます。以下の画面赤枠の通り、WAC 2410がインストール済みの環境を用意して試してみました。
WAC 2410がインストール済みの環境に対し、WAC in Azureをインストールしてみます。
WAC in Azureのインストール中に、WAC 2410がアンインストールされました。
さらに経過すると以下の画面内赤枠の通り、WAC 2410とは別のWACがインストールされました。WAC in AzureとWACのインストールが完了しました。WAC in Azureのビルド番号とWACのビルド番号が異なることも興味深いところです。
なお、WAC in Azureでサインインするためには、「Azureポータル」にサインインしているユーザーへ「Windows Admin Center Administrator Login」のロールを割り当てる必要があります。
Azure機能拡張(Azure Extensions)として、インストール済みであることを下図の赤枠でも確認できました。
以上、WAC 2410とWAC in Azureは共存できないことを確認できました。
WAC in Azureのインストールパラメーターはどうなっているのか?
WAC in Azureのインストール開始時には、ポート番号「6516」のみを指定していました。ここからは、前回で説明したPowerShellコマンドレットを用いて、インストールパラメーターを確認していきます。まずは、PowerShellモジュールをインポートします。
「Get-WACInstallationType」コマンドレットを実行して、インストールタイプを確認します。
Azure機能拡張としてインストールされているので、「AzureVmExtension」となっています。なお、通常インストールの場合は、以下の画面の通り「Standard」になります。ここが最も大きく異なる点といえます。
「GetRegInstallionMode」コマンドレットを実行して、インストールモードを確認します。
「Express」セットアップであることが分かります。
「Get-WACCertificateSubjectName」コマンドレットを実行して、関連付けられている証明書を確認します。
自己署名証明書ではなく、証明書が設定されています。
「Get-WACLoginMode」コマンドレットを実行して、現在のLogin Authentication/Authorization Selectionを確認します。
「Microsoft Entra ID」とのシングルサインオン(SSO)になっていることが分かります。
「Get-WACSoftwareUpdateMode」コマンドレットを実行し、Automatic updatesを確認します。
手動更新(Manual)になっていることが分かります。
「Get-WACHttpsPorts」コマンドレットを実行し、現在のポート番号を確認します。
インストール時に指定した「6516」以外にサービス用のポート番号も表示されています。
「Get-WACTelemetryPrivacy」を実行し、現在のSend diagnostic data to Microsoft(テレメトリー)を確認します。
必須(Required)のみとなっていることが分かります。
「Get-WACEndpointFqdn」コマンドレットを実行し、FQDN(Fully Qualified Domain Name:完全修飾ドメイン名)を確認します。
先ほど証明書で指定されていたFQDNであることが分かります。
「Get-WACWinRmTrustedHosts」コマンドレットを実行し、Trusted Hostsを確認します。
「全てを許可する」ことが分かります。
「Get-WACWinRmOverHttps」コマンドレットを実行し、WinRM over HTTPSを確認します。
「False」なのでWinRM over HTTPであることが分かります。
以上でインストールパラメーターを確認できました。インストールタイプ以外は、通常通りであるということが確認できるでしょう。
Windows Admin Center in Azureのライセンス
WAC in Azureは、Azure Arcでも利用できることを冒頭で説明しました。Azure Arcで利用できるWAC in Azureは、「Azure Arc-enabled Servers(Azure Arc対応サーバ)using Windows Admin Center in Azure」と呼ばれます。ただしこちらは、ライセンスが必要になります。
ライセンスがない場合には、画面には下記のような表示が出ます。
画面表示の通り、従量課金(Pay as You Go)かSA(ソフトウェアアシュアランス)権が必要になっています。このライセンス形態に関しては、高井一輝氏がコミュニティー勉強会資料として公開している「Windows Server Management enabled by Azure Arc 〜SA や PAYG と組み合わせてできること〜」の34ページ、49ページなどに解説があるので、参考にしてください。
Pay as You Goが有効になっているWindows Server 2025で、Azure Arc-enabled Servers using Windows Admin Center in Azureを有効化すると前述のメッセージは表示されません。
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