有望な言語トップ3「TypeScript」「Rust」もう一つは? JetBrains2024年開発者向け調査:人気AIツールは「ChatGPT」と「Copilot」が双璧
JetBrainsは、開発者エコシステムの現状をまとめた8回目の年次調査レポート「The State of Developer Ecosystem 2024」を発表した。
チェコのJetBrainsは2024年12月11日(チェコ時間)、開発者エコシステムの現状をまとめた8回目の年次調査レポート「The State of Developer Ecosystem 2024」を発表した。JetBrainsは同調査を2024年5〜6月に実施し、171の国と地域の2万3262人の開発者から有効回答を得た。
以下では同レポートから、調査結果のハイライトとAI(人工知能)の使用状況に関する調査結果を抜粋して紹介する。
急成長のTypescriptやRust、AI活用など 「The State of Developer Ecosystem 2024」ハイライト
2024年も最もよく使われている言語はJavaScript
過去12カ月間に使用している開発者が最も多い言語はJavaScript(61%)であり、Pythonが57%、HTML/CSSが51%、SQLが48%、Javaが46%だった。
導入を計画している開発者が多いGoとRust
導入を計画している開発者が最も多い言語は、明確にGo(10%)とRust(11%)だということが分かった。どちらの言語もパフォーマンスと並列処理を考慮して開発されており、バグを減らすためにコンパイル時に安全性を保証する。
だが、Rustの人気が高まっている一方で、Go開発者の割合は安定している。厳格な安全性とメモリ所有メカニズムにより、C++を置き換えることを目指すRustは、過去5年間でユーザーベースを着実に拡大してきた。JetBrainsのデータによると、Goユーザーの6人に1人がRustの導入を検討している。
JavaScript VS TypeScript
JavaScriptは、以前から世界で最も人気のプログラミング言語であり、大規模な開発者コミュニティーと豊富なリソースを誇っている。だが、TypeScriptの人気も急速に高まっている。2017年の使用率は12%だったが、2024年には37%にまで上昇している。
2025年にTypeScriptを学ぶべきか
コードの信頼性、保守性、最新の開発手法の観点から見て、TypeScriptを習得することには大きな利点がある。経験豊富な開発者でも開発初心者でも、TypeScriptをスキルセットに加えることは、キャリアにとって価値ある投資となるだろう。
JavaScriptに対するTypeScriptの利点
TypeScriptはJavaScriptに対して、「開発時の早期のエラー検出」「コード品質の向上と長期にわたって容易な保守」「コンパイル時のエラー検出」「より信頼性が高く、エラーが発生しにくいリファクタリング」「ES6モジュールのネイティブサポートによる効率的なコーディング」という利点がある。
TypeScriptはJavaScriptに取って代わるか
端的な答えは「ノー」だ。JavaScriptはソフトウェア開発業界で最も人気があり、基本的な技術の一つであり、すぐに廃れることはないといえる。
TypeScriptは、その高機能と利点から人気が高まっているが、JavaScriptは広範な普及、シンプルさ、堅牢(けんろう)なエコシステムにより、Web開発に不可欠な存在であり続けることは確実だ。TypeScriptはJavaScriptに取って代わるのではなく、JavaScriptと共存を続け、開発者のプロジェクトのニーズや好みに応じて選択肢を提供していく可能性が高い。
有望度を測る新指標
JetBrainsは今回のレポートで、「JetBrains Language Promise Index」(言語有望度インデックス)という新しい指標を導入した。過去5年間のユーザー数の増加、増加の安定性、導入を計画している開発者の割合、他の言語を導入したいと考えているユーザーの割合を組み合わせて算出したものだ。このインデックスのランキングでトップグループを形成しているのは、TypeScript、Rust、Pythonだ。
Pythonは2017年の最初の調査では、使用率がPHPと同程度の32%だったが、今では世界の開発者の半数以上が使用している。
AIの使用状況は? ChatGPTとCopilotが2大人気ツールに
開発者の69%がコーディングなどの開発関連作業でChatGPTを試したことがあり、49%が通常使用している。2番目に人気の高いAIツールであるGitHub Copilotは、開発者の40%が試したことがあり、26%が通常使用している。
多くの開発者がAIに慣れつつあるのは明らかだが、この新しいツールが長期的に受け入れられるかどうかは、まだ不明だ。
クラウドベースのサードパーティーAIツールの使用に関するポリシー
「コーディングや開発関連のタスクにクラウドベースのサードパーティーAIツール(ChatGPT、GitHub Copilot、Google Geminiなど)を使用することについての自社のポリシーはどのようなものか」という設問の回答は下記の通りだった。
- 29%:全てのプロジェクトで許可している
- 26%:一部のプロジェクトでのみ許可している
- 25%:ポリシーを定めていない
- 11%:全てのプロジェクトで禁止している
- 6%:分からない
- 3%:その他
AIツールを使用するメリット
「コーディングなどの開発関連作業にAIツールを使用することで、どんなメリットがあるか」という設問の回答は下記の通りだった。
- 67%:情報を探す時間の短縮
- 58%:コーディングや開発の迅速化
- 57%:反復的作業のより迅速な完了
- 57%:生産性の向上
- 45%:新しい技術、フレームワーク、言語などのより迅速な習得
- 39%:コーディングや開発に必要な精神的労力の軽減
- 36%:コーディングや開発体験の改善
- 23%:コードや開発ソリューションの品質向上
- 2%:その他
- 1%:なし
AIツールの使用による時間節約
「コーディングなどの開発関連作業にAIツールを使用することで、平均して1週間にどのくらい時間を節約できると思うか」という設問の回答は下記の通りだった。
- 32%:1〜2時間
- 27%:2〜4時間
- 14%:1時間未満
- 13%:4〜8時間
- 9%:8時間以上
- 4%:時間の節約にならない
VRヘッドセットの使用
「コーディングにVR(仮想現実)ヘッドセットを使用しているか。使用している場合、どんな頻度で使用しているか」という設問の回答は下記の通りだった。
- 49%:使用していないが、試してみたい
- 44%:使用しておらず、使用する計画もない
- 3%:通常使用している
- 3%:1〜2回試したが、今は使用していない
- 2%:たまに使用している
VRヘッドセットを使用する理由
「コーディングにVRヘッドセットを使用する理由は何か」という設問の回答は下記の通りだった。
- 42%:複雑なデータの視覚化を向上させるため
- 39%:マルチスクリーンの仮想ワークスペースで生産性を向上させるため
- 28%:VR専用アプリケーションのテストを簡素化するため
- 25%:物理的なモニターを仮想ワークスペースに置き換えるため
- 18%:仮想会議による共同作業をサポートするため
- 15%:VRヘッドセットの携帯性により、どこでも作業ができるため
- 14%:VRなどの新技術に個人的な関心があるから
- 10%:カスタマイズされた仮想環境を提供してくれるから
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