データは「唯一の真実の源泉」ではなくなっている ガートナーがデータ/アナリティクスに関するトレンドを発表:D&Aリーダーの役割を再定義
ガートナージャパンは、2024年のデータ/アナリティクス(D&A)のトップトレンドを発表した。同社は企業のITリーダーに対して「このトレンドを自社のD&A戦略に反映させるように取り組むべきだ」と提言している。
ガートナージャパンは2024年5月22日、2024年のデータ/アナリティクス(D&A)のトップトレンドを発表した。同社が示したトレンド(D&Aに求められるものの変化)は4つ。これらのトレンドによってさまざまな課題が顕在化しており、ガートナージャパンは「自社のD&A戦略に反映させるべきだ」と提言している。
「必要に応じる」から「ビジネスを賭けた難題解決」へ
ガートナージャパンはD&Aリーダーに対して「AI(人工知能)を活用してビジネス上の難題を解決できるスキルを有すると証明し、企業内でAI戦略の主導を任されるだけの信頼を獲得する必要がある」としている。
同社によると、AIによってビジネスの在り方が変化するとともに企業のコストが膨れ上がっており、D&AリーダーはFinOps(財務オペレーション)の実践によって標準を設定、適用し、経費を削減すべきだとしている。
「混沌(こんとん)」から「管理可能な複雑性」へ
D&Aシステムの冗長性は混乱やコスト増の原因になり得るとガートナージャパンは指摘している。複雑性に対処するにはエコシステムで起きていることの理解が必要で、「プロセスマイニングやデジタルツインなどにも投資して、データから状況をつかみ取り、エコシステムで起きている状況を把握できるようにすべきだ」という。また、拡張データ管理ツールや意思決定の自動化、自然言語処理などAIに対応したツールを利用することも重要だと提案している。
「唯一の真実の源泉」から「清濁合わさった洪水の中」へ
生成AIのアクセシビリティーと効率性が向上する中、データの信頼性が常に疑問視されるようになりつつある。こうした背景もあり、ガートナージャパンは「D&Aリーダーにはデータに対する信頼性を確保し、意思決定インテリジェンスに取り組んで、意思決定のプロセスと成果を追跡すべきだ」としている。
「過度の負担」から「権限を持った個人」へ
従業員がAIに対応できるようにするために、従業員のAIリテラシーの向上に向けた育成プログラムに投資する必要がある。その際、エキスパートユーザーや一般的なユーザーなど、各従業員に必要なスキルセットに応じて複数の異なるアプローチを織り交ぜる必要がある。ガートナージャパンは、こうしたことに対応するためには「D&Aリーダーが、自分自身とチームのメンバーの生産性を高めるイノベーティブな時間を確保できるようにすることが重要だ」としている。
GartnerのGareth Herschel(ガレス・ハーシェル)氏は、「AIの力、そして生成AIの重要性の高まりは、人々の働き方、チームのコラボレーション、プロセスの在り方を変えつつある。AIを効果的に活用できない企業は、成功を収めることが難しい」と述べている。
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