日本企業はなぜ「DX」には積極的なのに「データ活用」には消極的なのか ガートナー:データ活用で成果を得ている日本企業の割合は約3%
ガートナージャパンは、日本企業のデータ活用の取り組みに関する調査結果を発表した。同社は「企業全体としての姿勢は積極的とはいえず、具体的な取り組みを推進するための組織体制も整っていない」と指摘している。
ガートナージャパンは2024年1月29日、日本企業のデータ活用の取り組みに関する調査結果を発表した。それによると、データ活用に対する関心は高いものの、全社的に成果を得ている日本企業の割合は3%程度だった。
「日本は企業姿勢や組織体制が整っていない企業が多い」
調査結果によると、データ活用に対する取り組み状況について最も多い回答は「該当するものがない」で、59.3%を占めた。ガートナージャパンは「企業全体としての姿勢は積極的とはいえず、具体的な取り組みを推進するための組織体制も整っていない」と指摘している。
この背景について同社は「日本企業の多くはDX(デジタルトランスフォーメーション)の旗印を掲げ、デジタル技術の活用については企業としての姿勢を内外に示し、組織体制も構築している。一方、データ活用についてはその取り組みの姿勢を内外に示すことなく、組織体制も整備されていない状況にある」と推測している
データ管理の状況についても同様で、最も回答者が多かったのは「分からない」(51.5%)だった。データ管理で重要となるデータの取り扱い方や権限についての明確なルール、データ品質の管理責任者、データ管理の専門組織などを定めているという回答は少なかった。
同社の一志達也氏(シニアディレクターアナリスト)は「この結果は、ほとんどの日本企業では、ビジネスを遂行する上で必要な指標管理が組織的に実施されておらず、データに関するガバナンスが効いていない状況を示している。データ活用というと、データドリブンな業務遂行や意思決定が求める成果として挙げられるが、基本的な指標管理がない状態で、なしとげられるものではない」と述べている。
ガートナージャパンは「データに対する組織の関心と理解を得るために、経営層がデータ活用に対する組織の意思や期待を明確に示し、それに基づいてD&A(データとアナリティクス)チームの描く展望や戦略を組織全体に浸透させ、D&Aが業務やKPIの向上にどう役立つのかを、さまざまなチャネルを通じて周知することが重要だ」としている。
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