「COBOL製OLTP」をマイクロサービス化するサービス 日立製作所が金融機関などに提供開始:一括変換以外でモダナイゼーションする方法とは
日立は、OLTPをマイクロサービス化する「HMP-PCTO」を2023年10月23日から提供することを発表した。既存OLTPシステムに多く残るCOBOLなどのアプリケーション資産であっても段階的にマイクロサービス化できるという。
日立製作所は2023年10月19日、オンライントランザクション処理(OLTP)に関する新サービス「Hitachi Microservices Platform - Paxos Commit Transaction Orchestrator」(HMP-PCTO)を2023年10月23日から提供すると発表した。オンプレミスとパブリッククラウドの連携を支援する同社の製品「EverFlex from Hitachi」の一部として提供される。
「データ更新の信頼性確保の難解さ」がモダナイゼーションを阻害
OLTPは金融、交通、電力といった社会インフラを支えるミッションクリティカルな基幹システムで利用されている。日立製作所によると、そうした既存のOLTPシステムには「COBOL」などを使って構築された、いわゆるレガシーシステムが多いという。
また特にマイクロサービスでは、アプリケーション開発者がトランザクション処理の業務ロジックに加えて、データ更新の信頼性も考える必要があり、「その難しさがモダナイズの障壁となっている」と日立製作所は分析している。
HMP-PCTOの目的は、これらの課題を解決し、OLTPシステムのモダナイゼーションを加速させることだ。
モダナイズは、既存のプログラムを変換するのではなく、規模を絞り、少しずつ段階的にマイクロサービス化するといった手法を使う。日立製作所は「一括変換などの手法と比べ、安全で着実にモダナイズを進められ、業務サービス改善の効果が早期に得られる」と自信をのぞかせる。
トランザクション制御については、日立製作所が特許を持つ「分散合意技術」によってクラウド環境での通信分断に耐えられるデータの整合性を保証する。既存のミッションクリティカルなOLTPシステムの一部をマイクロサービスに切り出した段階においても「システム全体のトランザクションの一貫性を確保し、基幹システムの安定性を維持できる」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「COBOL」がトップ20にまさかの復帰、「C++」は「C」を超えるか――2023年7月言語人気ランキング発表
プログラミング言語の人気ランキング「TIOBEインデックス」の2023年7月版が公開された。「C++」が順位を上げ、「C」を追い抜こうとしている。「JavaScript」は史上最高ランクに達している。あるお役所がCOBOLで書かれた古いパッケージソフトを使い続けている理由
マイナポータルの不具合、1円入札、COCOAのゴタゴタ──失敗の宝庫ともいえる政府ITの失敗と改善の歴史から、ベンダーマネジメントの勘所を学ぼう。IPA、基本情報技術者試験にPythonを追加/COBOLを廃止
IPAは、国家試験「基本情報技術者試験」の内容を見直した結果、COBOLを廃止し、Pythonを追加する。線形代数や「確率・統計」など、数学に関する出題比率を上げる。AI人材育成のニーズなどを踏まえた。