DX先行企業の半数が悩む「研修実施や報酬アップでは解決できない人材育成の課題」とは デロイト トーマツ コンサルティング:71%が課題解決に着手するが、53%が解決できていない
デロイト トーマツ コンサルティングは、デジタル人材育成に関する実態調査の結果を発表した。企業のデジタル研修はある程度進んでいるものの、学びを生かす「実践の場」の提供が課題になっていることが分かった。
デロイト トーマツ コンサルティングは2023年7月25日、「デジタル人材育成に関する実態調査2023〜人的資本経営時代に取り組むべきリスキリングとは〜」の結果を発表した。
これは、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の人材育成の実態と課題を調査した結果をまとめたもの。調査ではDX銘柄企業(23社)とDX認定企業(26社)の計49社を「DX先行企業」、その他の計203社を「一般企業」と定義し、それぞれ分析している。
「学ぶ動機付けにつながる施策まで着手できていない企業が多い」
調査結果によると、育成、研修施策を推進している企業の割合は、一般企業が46%、DX先行企業が87%だった。それぞれの施策別に見ると、育成、研修の前提となる「経営ビジョン」は一般企業が26%、DX先行企業が66%。学びを生かす「実践機会の提供」は一般企業が31%、DX先行企業が71%となっており、一般企業の実施率がDX先行企業よりも大きく下回っていた。
ただ、DX先行企業でも、学びを促進する「コミュニケーション」は18%、評価や報酬に関連する「人事制度」の整備は8%と低くなっており、デロイト トーマツ コンサルティングは「学ぶ動機付けにつながる施策まで着手できていない企業が多い」と分析している。
デジタル人材育成施策の課題を感じている項目を見ると、一般企業では「経営ビジョン」(45%、複数回答、以下同)や「育成計画」(57%)など、育成、研修より手前の施策に課題を感じる傾向が強かった。それに対してDX先行企業では、「実践機会の提供」(53%)や「人事制度」(47%)といった育成、研修の後の施策に課題を感じている企業が多かった。
DXに対する取り組みでは、9割以上の企業がDXを検討、推進していた。
一般企業の多くは業務の効率化にとどまっている一方で、DX先行企業は「新規製品、サービスの創出」(92%、複数回答、以下同)や「既存製品、サービスの付加価値化」(76%)といった付加価値向上目的に加えて、「企業文化・組織マインドの根本的な変革」(76%)といった従業員を対象とした変革に取り組む企業もある。デロイト トーマツ コンサルティングはこの結果から「一般企業では(DX先行企業)よりデジタル人材の必要性が読み取れる」と分析している。
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