ChatGPTは医師より質が高く、共感される回答をする カリフォルニア大が調査:医療業界の業務効率化にも役立つ?
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、ChatGPTの回答が医師の回答よりも高く評価されることを調査で明らかにした。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは2023年4月28日(米国時間)、「ChatGPTは医療分野で活用できるのか?」という疑問に答えるため、患者の質問に対して医者よりも質の高い回答ができるか調査した結果を明らかにした。
研究チームは、個人を特定できる情報を含まない、大規模かつ多様な医療に関する質問と医師の回答のサンプルを得るために、何百万人もの患者が医療に関する質問を投稿し、医師が回答するソーシャルメディアRedditのAskDocsに注目した。AskDocsでは医療従事者の資格が確認されたアカウントに対して認証済みのラベルが与えられるため、患者からの医療に関する質問と医療従事者からの回答が大量に寄せられている。
研究チームは、AskDocsに投稿された195件の質問を無作為に抽出し、医師の回答とChatGPTが生成した回答を盲検化(マスク化)した。そして、3人の医療専門家からなるパネルが、患者からの質問に対してどちらの回答が情報の質、共感度が高く好ましいかを比較した。
調査の結果、医療専門家パネルは79%の確率で医師の回答よりChatGPTの回答を好んでいた。ChatGPTの回答を「良い」「とても良い」と評価した割合は、医師よりもChatGPTの方が3.6倍高かった(医師:22.1% ChatGPT:78.5%)。また質問者に対して「共感的」「非常に共感的」だった割合は、医師よりもChatGPTの方が9.8倍高かった(医師:4.6% ChatGPT:45.1%)。
カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の准教授を務めるアーロン・グッドマン氏と、論文の共著者でジョンズ・ホプキンス大学の准教授を務めるマーク・ドレッズ氏は、それぞれ次のように述べている。
「こんなことを言うなんて想像もしていませんでしたが、ChatGPTは私の受信トレイに与えたい処方箋です。私が患者をサポートする方法を変えてくれるでしょう」(グッドマン氏)
「われわれは、これらの技術を、患者中心のコミュニケーションにおける医師のトレーニング、メッセージを通じた医療を受けることが多いマイノリティが被る健康格差の解消、新しい医療安全システムの構築、より高品質で効率的なケアの提供による医師の支援に活用できる」(ドレッズ氏)
研究チームは、AI(人工知能)モデルを医療システムに組み込むことで、患者の質問に対する対応の改善や、増え続ける医師の負担軽減に役立つだろうとしている。
論文は、米国医師会が発行する査読付き医学ジャーナル「JAMA Internal Medicine」に掲載された。
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