ChatGPTの職場での使い道、第1位は「アイデア出し」 調査で見えたAI活用のリアル:「AIが仕事を奪うのでは」との回答6%にとどまる
辞書ツール事業などを展開するYourDictionaryは、ChatGPTをどのように使用しているか、米国人とAI専門家(1024人、うち専門家は104人)に尋ねた調査の結果を同社ブログで公開した。
辞書ツール事業などを展開するYourDictionaryは2023年4月20日(米国時間)、ChatGPTをどのように使用しているか、米国人1024人に尋ねた調査の結果を同社ブログで公開した。同社はこのブログポストで、AI専門家104人にChatGPTについての意見を聞いた調査結果も明らかにしている。
ChatGPTを定期的に利用しているのは全世代の過半数に当たる54%
調査によると、ChatGPTの利用者は多岐に及んでおり、ChatGPTの定期的な利用者は全世代の過半数に当たる54%という調査結果となった。男女別の利用割合を見ると、男性は62%で女性は43%だった。また、世代別に見ると、利用者が多いのはZ世代で、その世代の61%がChatGPTを定期的に利用していることが分かった。また、利用頻度としては週1〜2回利用する割合が最も高く46%を占めている。
ChatGPT利用者の業界を調べると、最も活用しているのはIT業界で活用率は62%。次いでヘルスケア業界が59%となった。一方、建設業やサービス業、教育業界でのChatGPT利用者数は少なく、ChatGPT利用率は50%前後にとどまった。
ChatGPTは職場でのアイデア出しやコンテンツ作成業務にも用いられている
ChatGPTはさまざまな職場で活用されている中、特にクリエイティブなアイデアを必要とする業務で活用されていることが多い。中でもアイデア出しのためにChatGPTを活用しているのが41%、コンテンツ作成に使っているのは20%という調査結果が出た。
回答者の半数は自分でプロンプトを考えていると回答したが、それ以外に利用したことのあるプロンプトの参照先トップ3は以下の通り。
- YouTube(14%)
- OpenAI(12%)
- 友人(11%)
YouTube以外にTikTokやTwitter、FacebookなどのSNSを利用したという回答が32%を占めた。
なお、「AIが私たちの仕事を奪うのでは」という心配の声も聞かれるが、そうした懸念を持つ人は労働者全体のわずか6%にとどまった。
ChatGPTは学校教育分野にも導入
ChatGPTは学校教育でも活用されている。最も多い回答として「調べ物」が33%を占めた他、複雑な考えを理解したり、新しいスキルを身につけたりするためにChatGPTが活用されていることが判明。少数派の回答としては「宿題のカンニングに使っている」「テスト勉強に役立てている」という回答もあった。
ChatGPTにキーワードを入力すると、自然な文章が瞬時に作られることから、ニューヨーク市では論文などを作成する際は学校内のネットワークでChatGPTを使用することを禁止している。
ChatGPTは日常のあらゆる問題にも解決へのヒントを提供する
ChatGPTは利用者に言語的な娯楽を提供する。ユーザーが余暇を計画したり、充実させたりするのに役立つ幅広い知識やアイデアを提供する。主な利用方法には次のようなものが挙げられる。
- レシピを探す
- 言語を翻訳する
- 詩や曲の歌詞を書く
- 旅行日程の計画
- パーソナルトレーニングメニューを作成する
- メークのコツを見つける
このように、さまざまな課題に対してChatGPTは解決へのヒントを提供する。
ChatGPTが今後5年間で働き方を変えると専門家は予測する
今回の調査で回答したAIの専門家は、ChatGPTの未来像について「数年のうちにChatGPTがより身近になり、より多くの産業で使用されるようになる」と主張したという。また、「今後5年間で人々の働き方を変える」とも述べている。
ChatGPTの登場によって、ほとんどの人がタスク業務を自動化することで効率を向上させ、データ分析までできるようになると予測。ChatGPTが人間に代わって文章の下書きをするようになるとも述べた。
AIの専門家の4人中3人は「ChatGPTは仕事の効率化に役立つ」と回答。そして、ChatGPTによって仕事上での対面でのやりとりの必要性が減ると多くの専門家が予想。87%が全体的に正確性が上がり効率的になると答えている。
回答者の多くは、今後数年のうちにChatGPTがより身近になり、より多くの産業で使用されるようになると予想した。
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