年末年始恒例、「2022年にサポートが終了する」Microsoft製品――Windows 10は? IEは?:山市良のうぃんどうず日記(222)
毎年この時期になると、筆者の連載で必ず取り上げるのが、この先1年でサポートが終了するMicrosoft製品や技術に関する情報です。2022年も多くの製品でサポートが終了します。
本稿では、筆者が気になるMicrosoftの製品や技術についてのみ取り上げます。完全な一覧は「Products Ending Support in 2022」で確認してください。
- Products Ending Support in 2022(Microsoft Docs)
Windows 10
「半期チャネル(Semi-Annual Channel、SAC)」の「Windows 10」は、以下のバージョンとエディションのサポートが2022年に終了します。
製品 | サポート終了日 |
---|---|
Windows 10 バージョン1909(EnterpriseおよびEducationのみ) | 2022年5月10日 |
Windows 10 バージョン20H2(HomeおよびProエディションのみ) | 2022年5月10日 |
Windows 10 バージョン21H1(全てのエディション) | 2022年12月13日 |
Windows 10は「2025年10月14日」までサポートされることが発表されていますが、利用し続けるには2022年中に「Windows 10 バージョン21H2」以降に更新する必要があります。
なお、Windows 10 SACはこれまで半年に1回、メジャーバージョンがリリースされてきましたが、バージョン21H2以降は1年に1回にリリースサイクルが緩和されることが発表されています(バージョン22H1はリリースされず、次は2022年後半の「バージョン22H2」になります)。
長期サービスチャネル(Long Term Servicing Channel、LTSC)のWindows 10 Enterpriseでサポートが終了する製品はありません。
Internet Explorer 11
「Products Ending Support in 2022」ページの一覧にはありませんが、一部のLTSC版OSを除いて、「Internet Explorer(IE)」のデスクトップアプリとしてのサポートが「2022年6月15日」に完全終了します。
IEのコンポーネントが削除されるわけではありませんが、2022年6月15日以降「iexplore.exe」を実行しても、デスクトップアプリとしてのIEは起動しなくなり、代わりに「Microsoft Edge」が起動するようになります。「Windows 11」はリリース時点からそのような動作をします。
- Internet ExplorerはMicrosoft Edgeへ- Windows 10のInternet Explorer 11デスクトップアプリは2022年6月15日にサポート終了(Windows Blogs)
- Internet Explorer 11デスクトップアプリケーションのサポート終了 - 発表に関連するFAQ(Windows Blogs)
Windows Server
Windows Server LTSCで2022年中にサポートが終了する製品はありません。
Windows Server SACについては、「Windows Server, version 20H2」のサポートが「2022年8月11日」(標準の18カ月サポートに加えて3カ月延長されています)に終了します。影響のあるユーザーは少ないと思いますが、利用している場合はご注意ください。
Windows Server SACは「Windows Server 2022」の製品完成と同時期に廃止が発表されており、Windows Server, version 20H2のサポート終了を最後に、サポートされるWindows ServerのSACは存在しなくなります。
SQL ServerのESU
Microsoftは「SQL Server 2008/2008 R2」「Windows Server 2008/2008 R2」「Windows 7」に対して、サポート終了後も最大3年間のセキュリティ更新プログラムを提供する「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update、ESU)」(オンプレミスは有料、Azureは無料)を提供しています。
SQL Server 2008/2008 R2に対する最後の3年目のESUは「2022年7月12日」で終了し、それ以降、セキュリティ更新プログラムは提供されなくなります。
なお、オンプレミス向けのESUは3年で終了しますが、Microsoft Azure上のSQL Server 2008/2008 R2インスタンスについては4年目のESUが提供されることが発表されています。この特例措置は、「2023年1月10日」に3年目のESUが終了するMicrosoft Azure上のWindows Server 2008/2008 R2インスタンスにも適用されます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
- SQL Server 2008/2008 R2とWindows Server 2008/2008 R2に「4年目」の拡張セキュリティ更新プログラム提供開始(Azureのみ)(連載:Microsoft Azure最新機能フォローアップ 第162回)
System Center 2012/2012 R2
「System Center 2012/2012 R2」に含まれるシステム運用管理製品(Virtual Machine Manager、Operations Manager、Data Protection Manager、Configuration Managerなど)が、「2022年7月12日」にサポートを終了します。利用中の場合は、管理を継続するために、後継バージョンに移行する必要があります。
System Centerの最新バージョンは「System Center 2019」ですが(一時期SACが導入されましたがすぐに廃止されました)、Configuration Managerは含まれません。Configuration Managerは、Microsoft Endpoint Managerの製品として「Microsoft Endpoint Configuration Manager」としてCurrent Branch(モダンライフサイクル)で提供されるようになりました。
なお、2022年前半には次の「System Center 2022」のリリースが予定されています。
- System Center 2022[英語](Microsoft Tech Community)
Azure AD Connect v1.x
オンプレミスのActive Directoryドメインサービスと、クラウドサービスであるAzure Active Directory(Azure AD)とのディレクトリ同期を行うためのコネクターである「Azure AD Connect」のバージョン1.xのサポートが「2022年8月31日」に終了します。
既に、2021年8月に後継のバージョン2.xがリリースされていますが、システム要件が変更されているので注意が必要です。バージョン1.xは「Windows Server 2012」以降で動作しましたが、バージョン2.xは「Windows Server 2016」以降が必要です。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
- ハイブリッドなID基盤構築を支援するコネクター「Azure AD Connect」のv2.0がリリース(連載:Microsoft Azure最新機能フォローアップ 第151回)
.NET(.NET Core)
.NET Frameworkの後継であり、クロスプラットフォームの「.NET」(旧称、.NET Core)は、以下のバージョンが2022年内にサポートを終了します。また、.NET Core 3.1に依存するPowerShell 7.xについても2022年内にサポートが終了しますが、PowerShell 7.xには自動更新機能があるので、それまでに適切な後継バージョンに自動的に更新されるはずです。
製品 | サポート終了日 |
---|---|
.NET Core 3.1(LTS) | 2022年10月13日 |
.NET 5(Current) | 2022年5月8日 |
PowerShell 7.x | 2022年12月3日 |
Microsoftは毎年11月に.NETのメジャーバージョンをリリースしています。偶数番号(現在の.NET 6、次の.NET 8など、最初の.NET Core 3.1は例外的にLTS)、つまり2年ごとにリリースされるものはLTS(Long Term Support:長期サポート)リリースであり、3年間のサポートが提供されます。それ以外の奇数バージョンはCurrentリリースであり、18カ月でサポートが終了します。詳しくは、以下のページで確認してください。
- .NET and .NET Core Support Policy[英語](Microsoft .NET)
なお、.NETのライフサイクルは、Windowsに標準搭載されている.NET Frameworkに影響はありません(適切にWindows Updateなどで更新されていれば、OSのサポート期間中、同様にサポートされます)。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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