日本は「自分のスキルの市場価値」が分からない人が多い IPAが「デジタル時代のスキルに関する調査結果」を発表:DXで成果が出ていない企業は「人材不足感」が強い
IPAは、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書」を公開した。DXに取り組んでいる企業は前年度よりも増加したが、DXで成果が出ていないと自己認識している企業では人材不足感が強かった。
情報処理推進機構(IPA)は2021年4月22日、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書」を公開した。同調査は「デジタルトランスフォーメーション」(DX)を推進する「組織や人材マネジメントの在り方」を深掘りすることが目的。国内企業1857社、国内企業に所属するIT人材1545人、海外企業に所属するIT人材616人を対象に実施した。
DXで成果が出ていない企業は「人材不足感」が強い
DXに取り組んでいる企業の割合は、2019年度の調査よりも10ポイント増え、全体で53.2%だった。企業規模別に見ても満遍なく増加している。IPAは「2019年度調査では、従業員1001人以上の企業がDXへの取り組みの中心となっていたが、2020年度は企業規模による取り組み格差が解消しつつある」と分析している。
IT人材について「大幅に不足している」と回答した割合は、DXの成果が「出ている」と回答した企業が34.8%だったのに対して、DXの成果が「出ていない」と回答した企業では52.9%だった。
こうした人材不足の原因として「要求を満たす人材がいない」を挙げた割合がどちらの企業も高かった。一方で「採用したい人のスペックを明確にできない」「魅力的な処遇が提示できない」と回答した割合は、成果が出ていない企業の方が多く、IPAは「制度面の整備が遅れていることも人材不足につながっている」とみている。
「自分のスキルレベルの市場価値が分からない」
個人に注目すると、自身のスキルレベルについて「分からない」と回答した割合が日本では最も高く、34.3%だった。これは米国の2.7%、ドイツの6.1%に比べて非常に高かった。
自身のスキルレベルの市場価値については「十分な競争力がある」と回答した割合は日本が21.5%。米国は69.4%、ドイツは65.0%だった。このことからIPAは「自身の相対的な価値が把握できておらず、競争力に自身を持てていないことが分かる」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
DXにはデジタルを「作る人材」と「使う人材」が必要 IPAら3団体がデジタルリテラシー議会を設立
データサイエンティスト協会と日本ディープラーニング協会、情報処理推進機構は、共同で「デジタルリテラシー協議会」を設立した。IT、データサイエンス、AIの3方面からデジタルリテラシーの向上を目指す。約半数の企業がデータサイエンティスト職を増加 データサイエンティスト協会
データサイエンティスト協会は、国内企業を対象としたデータサイエンティストの採用に関する調査結果を発表した。データサイエンティストを直近の1年間で増やした企業は49%だった。DXを推進する「デジタルリーダー」の確保には知的好奇心の刺激が重要 NTTデータ経営研究所が調査結果を発表
NTTデータ経営研究所は、「デジタルリーダーの志向性調査」の結果を発表した。同社はデジタルリーダーを確保するには、優秀な人材が集まったチームに配属するだけでなく、挑戦的な役割を与えて知的好奇心を刺激し続けることが重要だと分析している。