Microsoft、「Azure Files」の「SMBマルチチャネル」機能のプレビューをリリース:自動構成でスループットとIOPSが向上
Microsoftは、「Azure Files」のファイル共有パフォーマンスを向上させる「SMBマルチチャネル」機能のPremium層向けプレビューをリリースした。
Microsoftは2020年9月9日(米国時間)、「Azure Files」の「SMBマルチチャネル」機能のPremium層向けプレビューを提供開始したと発表した。
Azure Filesは、フルマネージドファイル共有をServer Message Block(SMB)プロトコルを介してアクセスできる「Microsoft Azure」のサービス。
SMBマルチチャネルは、SMB 3.0で導入され、「Windows Server 2012」以降のWindows Serverと「Windows 8」以降のWindowsクライアントでサポートされている機能。この機能により、SMB 3.xクライアントは、複数のネットワークアダプターを介したり、NIC(Network Interface Card)のRSS(Receive Side Scaling)機能を利用したりして、SMB 3.0サーバと複数のネットワーク接続を確立し、パフォーマンスを向上できる。
Azure FilesのSMBマルチチャネル機能のPremium層向けプレビューでは、AzureにおけるPremiumファイル共有でSMBマルチチャネルを利用できる。
Microsoftは、SMBマルチチャネルの仕組みを次のように説明している。「SMBマルチチャネルは、最良のネットワーク経路を介した複数の接続による並列処理を可能にすることで、パフォーマンスを向上させる。複数のNICや、NICのRSSサポートを通じたアグリゲーションによって実現できる。RSSは、複数CPUでの分散I/Oと動的負荷分散を可能にする」
SMBマルチチャネルの最大のメリットは?
Microsoftは、Azure FilesのSMBマルチチャネルのメリットを次のように説明している。
- スループットの向上
この機能は高スループットを実現するので、大規模なI/Oを伴う大規模ファイルを扱うアプリケーションに適している。こうしたアプリケーションが使われる分野は幅広い。メディアやエンターテインメント、コンテンツの作成とトランスコーディング、ゲノミクス、金融サービスのリスク分析などがある。 - IOPSの向上
高いIOPS(I/O毎秒)は、データベースアプリケーションなどにおける小規模なI/Oのシナリオに特に有用だ。 - ネットワークフォールトトレランス
Azure Filesと複数接続が可能になるため、1つのネットワーク接続が失われても、通信が中断しない。 - 自動構成
クライアントとサービスでこの機能を有効にすると、複数のネットワーク経路が動的に検出、作成される。 - コスト最適化
1つの仮想マシン(VM)クライアントから規模を拡大でき、VMを最大限に活用できる。アプリケーションは、Azure FilesのPremium帯域幅とIOPSに到達するまで、より少ないVMで必要な規模を実現できる。
Azure FilesのPremiumストレージアカウント向けのSMBマルチチャネルは、追加コストなく利用できる。
現在、SMBマルチチャネルのPremium層向けプレビューは、一部のリージョンにおいてSMB 3.xクライアントで利用できる。Microsoftは、対応リージョンを迅速に拡大し、この機能を全てのリージョンで利用できるようにする計画だ。
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