ハイパーコンバージドインフラが有力な選択肢、ノークリサーチが中堅中小業のサーバ更新方針を調査:クラウドとの関係は?
ノークリサーチは、中堅中小業を対象に「サーバ更新の方針や課題」と「ハイパーコンバージドインフラ導入意向」の関係を調査した。オンプレミスかクラウドかにかかわらず、ハイパーコンバージドインフラが有力な選択肢になっていた。
ノークリサーチは2019年3月12日、中堅中小企業を対象に「サーバ更新の方針や課題」と「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)導入意向」の関係を調査し、その分析結果を発表した。同社は2018年にも同様な調査を実施しているが、今回はベイジアンネットワーク分析を用いて、「どのような企業を対象に、どのような内容でHCIを訴求すればよいか」に関する分析を行ったとしている。
まず、今後のサーバ更新時の方針がHCI導入の意向に与える影響を分析すると、現在利用しているシステムのベンダーのオンプレミス形態を選ぶ企業と、新たにクラウド形態を選ぶ企業のどちらにもHCIが有力な選択肢になっていた。
どのような企業がHCIを導入しようとしているのか
具体的には、「オンプレミス形態を継続し、サーバ機器のベンダーを変更しない」と回答した企業と、「クラウド形態へ移行し、現在利用しているシステムのベンダーとは異なるサービスを採用する」と回答した企業とでは、HCIの導入意向には違いがなく、HCIを「既に導入済み」は約12%、「導入予定」は約16%、「導入を検討している」は約24%、「全く考えていない」は約16%だった。
HCIの活用状況は?
次に、「サーバ更新時の課題」と「HCIの活用状況」の関連をベイジアンネットワークに基づいて分析した。
「導入予定」や「導入を検討している」と回答した企業では、「サーバ仮想化やコンテナ仮想化の環境を移行する作業の負担が大きい」と考えている割合が低いのに対して、「業務アプリケーションやミドルウェアの設定を移行する作業の負担が大きい」や「最新のOSに変更するためには複数回のバージョンアップ作業が必要になる」と考えている割合は高かった。
この点からノークリサーチでは、HCIの特徴である「シンプルかつ伸縮性のあるサーバ環境」に対するユーザー企業の期待が、仮想化だけでなく、業務アプリケーションやOSも含めたサーバ管理全般の負担軽減に及ぶ可能性があると分析している。
さらに、今後HCIを導入する企業を獲得するには、「HCIを基盤とし、業務アプリケーションやOSも含めたサーバ更新の課題を解決する包括的なソリューション」として提供することが有効な差別化要素になるとしている。
一方、「クラウドに移行したいが、移行計画を推進できる人材が社内にいない」と答えた企業の割合は、HCIの活用状況に関係なく低い。
ノークリサーチでは、クラウド移行に向けたHCIの導入提案では「クラウドに移行したいというニーズから展開する訴求策」と「クラウドに移行できないという課題から展開する訴求策」を区別する必要があると注意を促す。同社は、前者の場合はHCIが有効だが、後者の場合、HCIの導入はあまり効果が期待できないとしている。
なお今回の調査の対象は、日本全国にある、年商が500億円未満の中堅中小企業。608社から有効回答を得た。
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