MERGE文を使ったサンプルの実行
では、いよいよ変更文をEMP表に反映させます。
[merge.sql]
merge into scott.emp e
using
scott.emp_update u
on ( e.empno = u.empno )
when matched then
update set
e.ename = u.ename,
e.job = u.job,
e.mgr = u.mgr,
e.hiredate = u.hiredate,
e.sal = u.sal,
e.comm = u.comm,
e.deptno = u.deptno
when not matched then
insert (
empno,
ename,
job,
mgr,
hiredate,
sal,
comm,
deptno
) values (
u.empno,
u.ename,
u.job,
u.mgr,
u.hiredate,
u.sal,
u.comm,
u.deptno
);
SQL> @merge.sql
2 rows merged.
では、反映されたEMP表を参照してみましょう
SQL> select * from emp where empno = 7654 or empno = 9999;
EMPNO ENAME JOB MGR HIREDATE SAL COMM DEPTNO
---------- ---------- --------- ------ ---------- ------ ------ ------
7654 MARTIN ANALYST 7566 28-SEP-81 3000 20
9999 HAYASHI SALESMAN 7698 18-DEC-05 10 30
ということで、EMP_UPDATE表の変更をEMP表に反映させることができました。これを使えば、SELECT文を実行してデータがあればUPDATE、なければINSERTというロジックをわざわざ書かなくてもいいですし、2度のSQL文が1回で済むのでメンテナンスも楽チンですねぇ。
「いやいや、ちょっと待て! EMPNOのUPDATEは???」と思った方は鋭いですね。では、上記と同じ文でUPDATE句の部分に「e.empno= u.empno」を追加して実行してみます。
SQL> @merge
on ( e.empno = u.empno )
*
行4でエラーが発生しました。:
ORA-38104: ON句で参照する列は更新できません: "E"."EMPNO"
実は、ON句で指定している項目はUPDATEすることができないのです。MERGE文でUPDATEできるのは、ON句で参照していない列に限られるという制限があるためです。結合キーが変更されてしまうのは、困る!
というわけです。上記の点には注意してくださいね。
データをそのまま使う
MERGE文では表のデータを使わなきゃダメ? と思う方も多いと思います。SQL*Plusから直接データを打ち込んでMERGE文を使うのに、ワザワザ表を作るのはちょっとコストが高いかなぁ……と思うこともあります。
そんなときは、SubQueryを使用します。USING句の指定する行ソースを、SubQueryで抽出した表にして、抽出した結果と該当の表と結合させます。
[merge2.sql]
merge into scott.emp e
using (select * from scott.emp where empno = 9999) u
on ( e.empno = u.empno )
when matched then
update set
job = 'Cons',
mgr = '9999',
sal = 20
when not matched then
insert (
empno,
ename,
job,
hiredate,
sal,
comm,
deptno
) values (
9999,
'HAYASHI',
'Cons',
'9999',
20,
null,
30
);
SQL> @merge2
1行がマージされました。
では、確認してみましょう
SQL> select * from emp where empno = 9999;
EMPNO ENAME JOB MGR HIREDATE SAL COMM DEPTNO
---------- ---------- --------- ------ -------- ------ ------ ------
9999 HAYASHI Cons 9999 05-12-18 20 30
ちゃんと、Cons部に異動して、給料も20円(ドル?)になりました。
MERGE文にはCASE文も含めることができるので、プロシージャの中でIF文を多用する場合よりも、すっきりとしたコーディングにできると思いますよ。ただし、このMERGE文……便利なんですが、いくつかBugが報告されているようです。Patchを適用したり、オラクル社のサポート情報もチェックして十分なテストとともに実装してみてください。(次回に続く)
筆者紹介
Oracleに特化した製品開発、コンサルティングを手掛けるエンジニア集団。大道隆久は緊迫したトラブル現場でも常に冷静沈着であり、スマートに解決へと導いていくシステムコンサルタント。
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