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@IT > 第2回 ユーザーサイドのソリューション (2) |
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PKIがその有効性を発揮するには先に紹介したとおり、“秘密鍵は本人以外が持ち得ない”という形の運用を守ることが重要である。証明書や秘密鍵は通常、PCのHDD内に保管される。しかし、PCのHDD内は内容を簡単にコピーできるので、他人が証明書を不正に取得して使用することも不可能ではない。 そこで、次に紹介する2つの製品のように証明書は、PC本体内に置かず、ハードウェアトークンという形で本人が肌身離さずに持っていることが望ましい。さらに、指紋などによる強固な本人認証をプラスすることで、より高度なセキュリティ環境が構築できる。 ●ソニー 指紋認証 ソリューション まずは、ソニーのPUPPYを紹介する。この製品は「指紋認証デバイス」と「USBトークン」が一体となった指紋認証付きトークンである。
使用方法はとても簡単で、PCにはUSBで接続し、通常証明書を使用する場面で、PUPPYの読み取り部分に指をあてがうだけで、認証され、PUPPY内に保存された証明書が使用される。 指紋認証を使うメリットとしては、次のものがある。
またPUPPYには、内部的にICカードと同等の機能があるので、PUPPY内で生成された鍵ペアおよび、証明書はPUPPYの外部に出ることがなく、そのコピーも非常に難しい。さらに後述するが、指紋照合用データもPC側に保存されず、PUPPY内に保存されるので、この面での安全性も高い。 例えば、Webサイトへアクセス要求をする際などに、サーバが要求するデジタル証明書はPUPPY内に格納されているので、PUPPYを持ち、かつ指紋が合う人でなければログインできない。より強固な本人認証をしたうえでWebサイトへのアクセスをすることができるのだ。正しい運用を行えば、安全性はICカードやUSBポートに挿入するトークンデバイス以上であるといえる。 PUPPYのもう1つのメリットは、指紋の代わりに、パスワードを用いることが可能という点だろう(併用も可能)。ICカードやUSB接続型トークンデバイスは、証明書のパスワードとは別にトークンデバイス用のパスワードを記憶する必要がある。 パスワードはおそらくほとんどのユーザーが数種類持っているため、忘れてしまうことが多い。厳格なセキュリティを構築・運用していくうえで、パスワード管理は難しい問題だ。これに対して指紋認証を始めとした生体認証(バイオメトリクス)は、そのような心配がなく、ユーザーにとっても認証自体が簡単に行える。PUPPYは、その特徴をうまく生かした製品であるといえる。 ●PUPPYへの指紋の登録 まず始めに、PUPPYに指紋を登録する。
PUPPYでは指紋とパスワードの組み合わせでも、認証を行うことができる。利便性という面からいえば指紋だけの方が便利だが、認証の精度を上げたいという場合には、指紋とパスワードの組み合わせを利用することもできる。
次に、登録する指を選択する。
続いて、実際に指紋データの取り込みを行う。PUPPYでは指紋を6回取得して、その中の3つのサンプル画像データから、1つの認証用指紋データを作成する。指紋は、最初に登録したときと実際に認証に利用するときとで、微妙なずれが生じる可能性があるので、このように複数のサンプルを取得しておくのである。
こうして取り込んだ認証データは、PUPPY内に保存される。PCやネットワーク上には、指紋・認証データは一切置かれないので、データをコピーするなどの不正利用は不可能である。 ●PUPPYを利用した証明書の申請 PUPPY内に直接証明書を格納する場合は、証明書の申請時に使用する暗号化サービス・プロバイダでPUPPYと指定する。そのほか必要事項を入力して[Submit]ボタンを押すと、PUPPY対応のソフトウェアが指紋入力を要求してくるので、PUPPYで指紋照合を行う。正常に指紋認証が行われると鍵ペアの生成が行われ、公開鍵がCAに送信される。
●PUPPY内へ証明書を格納
●証明書の確認 PUUPYには複数の証明書を格納できる。外部からPKCS#12形式での証明書インポートや、保存されている証明書の確認は、PUPPYの管理画面から行う。
●指紋認証 設定が完了したら、証明書の使用が必要な場面(SSLクライアント認証によるWebサイトへの接続、暗号化メールなど)でPC画面に、下のようなメッセージが表示される。
ここでPUPPYのシャッターを開け、登録した指を置くと、照合チェックが開始される。
指紋に異常がない場合は、正常な認証が行われたとしてアプリケーションへのログインなどの処理を行うことができるようになるが、他人の指など登録したものと違う指で照合を試みた場合エラーとなる。また、登録した指でも登録してある指紋画像データと違う画像(指を置く位置が大きくずれている場合など)となってしまった場合は、エラーメッセージが出るので、指の置く位置を調整するなどして再度認証を行う。
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