連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(4)
スイッチ登場! 市内ジャンクションの交通整理

綱野衛二
Roads to Node
2009/4/13

4-4 おさらい〜実際のネットワークに当てはめると

 スイッチ君の働きをおさらいしましょう。

 簡単にいえば、スイッチ君の働きは一点に集約されます、それは…。

スイッチ君「衝突事故を起こさないこと!!」

です。

そのために

  • あて先のビル名につながっている道路にだけトラックを通す
  • 同時にトラックが来ても待機場所で待機させる

 ことを行うんですね。

 これにより、イーサ配送君が昔に使っていた「道路監視」「事故確認」のルールを使用しなくて済み、さらに両面通行が可能になるため、道路事情が大幅に改善される、ということになります。

 いいことずくめですね。

スイッチ君「でも、完ぺきな仕事なんて存在しないんだよ。もちろん僕にもいくつか欠点はある。全ビルあての荷物の扱い、とかね」

 そうです。スイッチ君は「スイッチ君ノート」に名前が載ってないビルや、全ビルあての場合では通常のジャンクションと同じことしかできません。

 こればっかりはしょうがない、ですね。


 さて、スイッチの説明をしてきました。スイッチにより、LANのネットワーク環境が大きく改善されることは分かったかと思います。

 スイッチはかつて非常に高価で、なかなかLANで大量に導入ができない状態でしたが、現在は安価になり、ハブとほぼ値段が変わらないぐらいにまでなっています。そのため、現在のLANではハブに代わりスイッチが普通に使われています。

 スイッチ関連の用語でほかによく使われる言葉として、「コリジョン(衝突)ドメイン」「ブロードキャストドメイン」という言葉があります。

 コリジョンドメインとは、「その範囲内の機器同士の通信では衝突が起きる可能性がある」範囲のことを示します。例えば、ハブでつながった機器の範囲がこの「コリジョンドメイン」です。

図4-10 コリジョンドメイン(赤のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です)

 コリジョンドメイン内の機器が多くなると、それだけ衝突する可能性が上がり、再送が行われるため、「コリジョンドメインは小さくなければいけない」ということになります。

 スイッチはこのコリジョンドメインを、分割する機能を持っています。

 一方のブロードキャストドメインですが、こちらは「とある機器から送信されたブロードキャストが届く」範囲です。

図4-11 コリジョンドメイン(赤のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です)

 スイッチはブロードキャストに対して、ハブと同じように、送信できるネットワーク上のすべての端末に、パケットを洪水(Flooding)のように流す「フラッディング」をしますので、スイッチはブロードキャストドメインを分割できません。

 ただし、前述のVLAN機能はこのブロードキャストドメインの分割機能をスイッチに持たせる機能です。そのため、VLAN機能を持つスイッチはブロードキャストドメインを分割できます。また、ルータもブロードキャストドメインを分割します。

 通常のTCP/IPを使用したネットワークではブロードキャストはよく使われますので、このブロードキャストドメインも適切な範囲で分割される必要があります。


 さて、次回は。

PPP駅員「はいっ!! 私が市と市を結びますっ!!」

 次は都市間運送です。

パケット君「今回出番がなかった……。タイトルに偽りアリじゃない?」

 


ビントサーフ市の交通事情
4-1 スイッチ君とジャンクション
  4-2 ジャンクションの待機場所
  4-3 衝突が起きない道路事情
  4-4 おさらい〜実際のネットワークに当てはめると


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