連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(4)
スイッチ登場! 市内ジャンクションの交通整理
Roads to Node
2009/4/13
4-2ジャンクションの待機場所
スイッチ君のジャンクションのもう一つの機能とはなんでしょうか。いくらスイッチ君が道路を直接つなぐといっても、次の2つのことが起きた場合はやはり事故が起きてしまいそうです。
- まだ「スイッチ君ノート」に記述してないあて先へのトラックが同時に来た場合
- 同じあて先へのトラックが同時に来た場合
図4-5 衝突が起きそうな例(赤のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
さぁ、スイッチ君、このときはどうするんですか?
スイッチ君「ん〜、簡単だよ。僕がジャンクションの待機場所に誘導するんだ。そして、道路が空くのを待ってから出発してもらうんだよ」
図4-6 待機場所を使って衝突を防ぐ(赤のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
なるほど。これなら確かに事故は発生しそうにないですね。
それともう1つ、とあるビルにトラックが向かっている最中に、そのビルからトラックが出発しても衝突が起きそうですけど?
スイッチ君「大丈夫、いまの道路は『行き』と『帰り』で2車線あるからね。ぶつからないよ」
そうですね。いまの道路はほとんどが2車線ですのでぶつかることはないのでした。
でも、ジャンクションの待機場所に一時待機してもらうとしても、待機場所は有限ですよね?もし待機場所に入り切らないくらいトラックが来たらどうするんですか?
スイッチ君「待機場所が満車になりそうだな、って思ったらビルに通知するんだよ。『いま満車ですので、トラックを出さないでください』って」
図4-7 待機場所の満車を防ぐ(赤のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です) |
ふむ。こうやって待機場所がいっぱいになるのを防ぐ、と。なかなかスイッチ君の仕事は奥が深いですね。
まとめてみると、
- スイッチ君は、あて先とつながっている道路にのみトラックを送り出す
- すでに道路にトラックがいる場合、一時的に退避させる
ことを行うわけですね。
スイッチのもう1つの特徴がこの「バッファリング(Buffering)」です。バッファとは、データを一時的に保管しておく記憶装置のことです。
スイッチはあて先が同じ場合などで衝突が発生しそうな場合、ここに一時的にフレームを退避させることで、衝突を防いでいます。
もちろん、バッファの容量には限りがあります。そのため、バッファの容量を超えそうになると、送信元に送信を一時中断するように通知します。これを「フロー制御」と呼びます。データが流れる(Flow)ことを制御するため、この名前が付いています。
このフロー制御には、
- 衝突した(実際は衝突していない)と通知し、CSMA/CDのバックオフにより一時待機させる「バックプレッシャ(Back Pressure)」方式
- PAUSEフレームと呼ばれるフレームを送信し、一時待機させる「IEEE802.1X」方式
の2種類があります。次に説明する半二重イーサネットと全二重イーサネットでどちらを使用するのかが決まります。半二重イーサネットなら「バックプレッシャ」、全二重イーサネットなら「IEEE802.1X」になります。
スイッチの仕様の「フロー制御」の項目を確認してみるといいでしょう。
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ビントサーフ市の交通事情 | |
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4-1 スイッチ君とジャンクション |
4-2 ジャンクションの待機場所 | |
4-3 衝突が起きない道路事情 | |
4-4 おさらい〜実際のネットワークに当てはめると |
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