TIS、「運用高度化コンサルティングサービス」を提供開始:インシデント発生〜対応開始までの時間を14%削減した実績も
人材不足、属人化などを解消し、「価値を創出する運用」を実現するという。
TISは2025年9月11日、ITシステム運用の効率化・高度化を支援する「運用高度化コンサルティングサービス」を同日から提供開始すると発表した。安定稼働、障害対応といった「システムを止めない運用」のみにとどまらず、変化に柔軟に対応することで持続可能性を高めながらビジネス成長に寄与する「価値を創出する運用」を実現するという。
運用保守業務の現状分析、将来像の設計、実装後の評価、継続的改善サイクルの維持まで一貫して支援する。特徴は大きく3つ。1つは、運用・保守プロセスの自動化・標準化による作業負荷の軽減。AIOpsなどを活用した運用自動化により、人的作業ミスや属人性を排除。夜間対応やルーティン業務から運用担当者を開放し、より高度な業務領域へのシフトを支援する。同社によると、「AIを使ったインシデント管理のアラート識別自動化と自動エスカレーション」の仕組みを保険会社に試験導入したところ、インシデント発生から対応開始までの時間を約14%削減できたという。
2つ目は、第三者視点で運用のあるべき姿を提案すること。特定ベンダー、製品に依存しない第三者視点から現状のシステム運用を分析することで、ブラックボックス化を解消。柔軟かつ持続可能な運用基盤を提案、構築する。
3つ目は、投資効果試算と導入後評価。多数の他社事例を基に「投資に対する費用対効果」を試算することで、経営層や決裁者の事業計画策定を支援する。サービス導入後も、MTTR(平均修復時間)やSLI(サービス レベル指標)といった定量指標を定期的にモニタリングし、改善サイクルを通じてROI(投資利益率)の最大化を継続的に支援するという。
提供メニューは、3カ月6テーマで現状分析から戦略立案までを実施する「運用高度化戦略立案サービス」、要件定義〜基本設計で定義した内容が適切に設計・実装に反映されているかどうか、確認や相談に対応する「設計・実装スポットコンサル」、システム運用に高度化要素を取り込んだ後、改善状況を評価し、さらなる高度化に向けたアドバイスを行う「運用改善評価」の3つ。個別見積もりとしている。
近年はハイブリッド/マルチクラウド化が進んでいる他、AI活用を見据えたデータ基盤整備にも取り組むなど、インフラは一層複雑化する傾向にある。運用人材の不足、属人化も深刻化しており、業務の標準化・自動化は多くの企業にとって喫緊の課題となっている。また、クラウド利用の浸透を受けて、ビジネス価値に対するインフラリソースの投資対効果を最適化するFinOpsも重視されるなど、インフラだけではなく運用の仕組みにも変革が求められている。
一方で、近年のメインフレームベンダー撤退、仮想化基盤見直しのトレンドも背景に、マイグレーション/モダナイゼーション需要が高まっており、SIer側のリソースも逼迫(ひっぱく)傾向にあるといわれている。ほぼ全てのビジネスをITが支えていることから内製化も注目されて久しいが、ユーザー企業は自走するスタンスを強化する上でも、既存踏襲になりがちな運用の仕組みを見直すことが求められている。
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