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【知らないと損】Windows 11の「開発者ドライブ」は開発者のためだけじゃない、ストレージ高速化の秘密兵器だった?Tech TIPS

Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)で導入された「開発者ドライブ」は、その名前から開発者向けの機能だと思っている人も多いようだ。しかし、この「開発者ドライブ」は一般ユーザーが利用しても大きなメリットがある。この開発者ドライブの設定と活用法を紹介する。

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対象:Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)以降


Windows 11の「開発者ドライブ」は開発者のためだけじゃない?
Windows 11の「開発者ドライブ」は開発者のためだけじゃない?
Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)で導入された「開発者ドライブ」は、その名前から開発者向けの機能だと思っている人も多いようだ。しかし、この「開発者ドライブ」は一般ユーザーが利用しても大きなメリットがある。この開発者ドライブの設定と活用法を紹介する。

 Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)で導入された新機能に、プログラマーやエンジニア向けの「開発者ドライブ」というものがある。名前からして「自分には関係ない」と思った人も多いかもしれない。

 しかし、この「開発者ドライブ」が一般ユーザーによるPCでの作業を高速化する秘密兵器になるとしたらどうだろう。本Tech TIPSでは、この開発者ドライブの設定と活用法を紹介する。

Windows 11の開発者ドライブとは?

 開発者ドライブ(Dev Drive)は、Microsoftが開発者向けに提供している新しいストレージボリューム(ドライブ)の形式だ。従来のNTFSファイルシステムとは異なり、コンパイルやファイルコピーといった開発作業に必要な大量のファイル操作を高速化するために開発された新しいファイルシステム「ReFS(Resilient File System)」を採用している。

 また、開発者ドライブでは、従来のセキュリティスキャンやインデックス作成といったバックグラウンド処理を、開発作業の邪魔にならないように最適化する「パフォーマンスフィルター」により、ファイル操作全体の高速化を実現しているという。

 この高速化は、開発者だけでなく、動画ファイルや写真フォルダの移動やコピー、頻繁に編集するドキュメントなど、大量のファイルを扱う一般ユーザーにも大きなメリットをもたらす可能性がある。

 また簡単に既存のボリューム内に新しいボリュームが作成できるので、大容量のディスクを複数のボリュームに分けたいといった場合にも利用できる。

開発者ドライブの設定方法

 開発者ドライブを利用するには、以下の条件が必要だ。ただ、Windows 11 Homeを含む全エディションで利用可能で、ストレージの空き容量を除けばハードルは高くない。

  • Windows 11 2022 Update(バージョン22H2、ビルド22621.2338)以降
  • 16GBのメモリ(最小8GB)
  • 最小50GBの空きストレージ容量
  • ローカル管理者のアクセス権

 

Windows 11のビルドを確認する(1)
Windows 11のビルドを確認する(1)
Windows 11 2023 Update以降であれば、確実に「開発者ドライブ」に対応しているが、念のためバージョンとビルドを確認しておこう。「設定」アプリの[システム]−[バージョン情報]を選択する。
Windows 11のビルドを確認する(2)
Windows 11のビルドを確認する(2)
「バージョン情報」画面が開いたら、「Windowsの仕様」欄でバージョンとビルドを確認する。ビルドが「22621.2338」以降であれば問題ない。

既存のボリュームのサイズを変更するかVHDを作成するかを選択する

 開発者ドライブを作成するのは非常に簡単で、既存のドライブを再フォーマットしなくても、新しいボリュームが作成できる。

 「設定」アプリを起動し、[システム]−[開発者向け]を選択して、「開発者向け」画面を開く。「開発者ドライブ」欄にある[開発者ドライブを作成する]を選択し、「ディスクとボリューム」画面を開こう。

「ディスクとボリューム」画面を開く(1)
「ディスクとボリューム」画面を開く(1)
「設定」アプリを起動し、[システム]−[開発者向け]を選択して、「開発者向け」画面を開く。「開発者ドライブ」欄にある[開発者ドライブを作成する]をクリックする。
「ディスクとボリューム」画面を開く(2)
「ディスクとボリューム」画面を開く(2)
「ディスクとボリューム」画面が開くので、[開発者ドライブの作成]ボタンをクリックする。

 あるいは、「設定」アプリを起動し、[システム]−[ストレージ]を選択し、「ストレージ」画面にある「ストレージの詳細設定」欄を展開し、[ディスクとボリューム]をクリックしてもよい。

 この「ディスクとボリューム」画面の「開発者ドライブを作成する」欄の[開発者ドライブの作成]ボタンをクリックすると、開発者ドライブを作成するためのウィザードが開く。

 ここでは、以下の3つのオプションから開発者ドライブを作成する場所が選択できる。

  1. 既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する
  2. VHD(仮想ディスク)を作成して開発者ドライブとする
  3. 既存のディスク上の未割り当て領域を使用する

 なお、「既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する」は、既存のボリュームに十分な空き領域がない場合、表示されないことがあるようだ。また、「既存のディスク上の未割り当て領域を使用する」は、ストレージに未割り当ての領域がある場合のみ表示される。通常は、「既存のボリューム内に開発者ドライブを作成する」か「VHDを作成するか」のどちらかの選択となるだろう。

 開発者ドライブはストレージに空き容量があれば、複数作成することも可能だ。

 以下では、1.と2.のそれぞれの操作手順を説明する。

既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する

 ウィザードが起動したら、「開発者ドライブの場所を選択する」画面で[既存のボリュームのサイズを変更する]を選択し、[次へ]ボタンをクリックする。ボリュームの確認が実行され、変更するボリュームを選択する「サイズを変更するボリュームを選択する」画面が表示されるので、ここで開発者ドライブを作成するボリュームを選択する。

 「ボリュームのサイズを変更する」画面が表示されたら、開発者ドライブ用に確保するボリュームの容量を指定する。ここで確保可能な最大値を指定してしまうと、そのボリュームの空き容量が全て開発者ドライブ用に確保されてしまうので、特にシステムドライブ上に作成する場合は気を付けてほしい。

 ボリュームの容量を指定したら、[次へ]ボタンをクリックして、「新しい開発者ドライブ」画面を開く。ここでは、開発者ドライブのラベル(名前)やドライブ文字(ドライブレター)、容量を指定する。容量は、最小値は51200MB(50GB)で最大値は「ボリュームのサイズを変更する」画面で確保したボリュームの容量となる。容量を指定して、[形式]ボタンをクリックすると、開発者ドライブが作成できる。

既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(1)
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(1)
ウィザードが起動したら、[既存のボリュームのサイズを変更する]を選択し、[次へ]ボタンをクリックする。
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(2)
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(2)
開発者ドライブを作成するボリュームを選択する。複数のボリュームがある場合は、作成するボリュームを間違わないようにドライブ文字などで確認して選択する。
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(3)
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(3)
開発者ドライブに割り当てるボリュームサイズを指定する。50GB以上の割り当てをしないと次に進めないので注意する。その一方、デフォルトで[新規]に記入された容量は「最小」の割り当て容量になっているが、ストレージの空き容量によってはそれでも元のボリュームの空き容量がほぼなくなってしまうことがある。エクスプローラーなどで容量をよく確認しながら、元のボリュームに空きが残るように、開発者ドライブに割り当てる容量を設定する必要がある。[次へ]ボタンをクリックすると、既存のボリュームから開発者ドライブ用のボリュームが割り当てられる。
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(4)
既存のボリュームの空き領域に開発者ドライブを作成する(4)
開発者ドライブのラベル名を入力して、ドライブ文字を選択する。また、開発者ドライブのサイズを指定し、[形式]ボタンをクリックする。これで開発者ドライブが作成できる。

VHD(仮想ディスク)を作成して開発者ドライブとする

 ウィザードが起動したら、「開発者ドライブの場所を選択する」画面で[VHDを新規作成する]を選択し、[次へ]ボタンをクリックする。「仮想ハードディスクの作成とアタッチ」画面が開いたら、仮想ディスク名や仮想ディスクを作成する場所、仮想ディスクの容量を指定する。また、「仮想ハードディスクフォーマット」欄では、「VHD」と「VHDX」の選択が可能だが、新しい仮想ディスクフォーマットである「VHDX」を選択しておけばよい。

 次の「ディスクの初期化」画面では、仮想ディスクに仕様するパーティションスタイルを「GPT」と「MBR」から選択する。推奨となっている「GPT」を選択して、[初期化]ボタンをクリックする。

 「新しい開発者ドライブ」画面が開くので、ここで開発者ドライブのラベル(名前)やドライブ文字(ドライブレター)、容量を指定する。[形式]ボタンをクリックすると、開発者ドライブが作成できる。

VHDを作成して開発者ドライブとする(1)
VHDを作成して開発者ドライブとする(1)
ウィザードが起動したら、[VHDを新規作成する]を選択し、[次へ]ボタンをクリックする。
VHDを作成して開発者ドライブとする(2)
VHDを作成して開発者ドライブとする(2)
仮想ディスクの名前や作成するドライブ、サイズを指定する。仮想ディスクのフォーマットとしては「VHDX」を選択しておけばよい。
VHDを作成して開発者ドライブとする(3)
VHDを作成して開発者ドライブとする(3)
画面をスクロールして仮想ハードディスクの種類を選択する項目を表示して、「動的に拡張」が選択されていることを確認して[作成]ボタンをクリックする。これで開発者ドライブとする仮想ディスクが作成できる。
VHDを作成して開発者ドライブとする(4)
VHDを作成して開発者ドライブとする(4)
「GPT」を選択して、[初期化]ボタンをクリックする。
VHDを作成して開発者ドライブとする(5)
VHDを作成して開発者ドライブとする(5)
開発者ドライブのラベル名を入力して、ドライブ文字を選択する。また、開発者ドライブのサイズを指定し、[形式]ボタンをクリックする。これで開発者ドライブが作成できる。

既存のボリュームとVHDのどちらがおすすめ?

 既存のボリュームに開発者ドライブを作成する場合、物理ディスクを直接使用するため、パフォーマンスの向上が期待できる。ただし、パーティションのサイズ変更などは複雑で、元のボリュームがすぐ満杯になるなどの危険性が高くなる。

 一方、VHDを作成する場合、仮想ディスクを管理するオーバーヘッドが原因でパフォーマンスが若干低下する可能性がある。一方で、開発者ドライブがVHD/VHDXファイルとしてひとかたまりとなるため、データの移動やバックアップが容易である。

 また、仮想ハードディスクの種類として「動的に拡張」を選択した場合、開発者ドライブに保存した容量しかストレージの領域が消費されないため、元のボリュームの空き容量を維持しやすいというメリットもある。

 どちらも一長一短があるので、性能を求めるのであれば既存のボリューム、手軽さを求めるならVHDといった感じになるだろう。

開発者ドライブを作成する際の注意

 既存のボリュームを変換して開発者ドライブとすることはできない。既存のボリュームの空き容量を利用して新しいドライブを作成するため、当然ながら既存のボリュームの容量が減ってしまう。

 特にシステムボリュームに作成する場合は、注意しないとシステムディスク内の空き容量が少なくなり、更新プログラムの適用などに支障が出る可能性があるので空き容量には注意してほしい。

不要になった開発者ドライブを削除する

 「設定」アプリの[システム]−[ストレージ]を選択し、「ストレージ」画面にある「ストレージの詳細設定」欄を展開し、[ディスクとボリューム]をクリック、「ディスクとボリューム」画面を開く。

 ここでボリュームの一覧から、作成した開発者ドライブ名の右側にある[プロパティ]ボタンをクリックして、ボリュームのプロパティ画面を開く。このプロパティ画面にある「フォーマット」欄の[削除]ボタンをクリックすると、「データが完全に削除され戻せない」という内容の警告が表示されるので、ここの[ボリュームの削除]ボタンをクリックする。これで開発者ドライブが削除できる。

開発者ドライブを削除する(1)
開発者ドライブを削除する(1)
「設定」アプリの「ディスクとボリューム」画面を開き、ボリュームの一覧から削除したい開発者ドライブを探す。削除したい開発者ドライブが見つかったら、名前の右側にある[プロパティ]ボタンをクリックする。
開発者ドライブを削除する(2)
開発者ドライブを削除する(2)
開発者ドライブのプロパティ画面が開くので、「フォーマット」欄の[削除]ボタンをクリックする。
開発者ドライブを削除する(3)
開発者ドライブを削除する(3)
ボリューム内の全てのデータが削除されるという警告が表示される。ここで[ボリュームの削除]ボタンをクリックすると、開発者ドライブが丸ごと削除できる。

 この手順は、既存のボリューム内に作成した場合もVHDで作成した場合も同じだ。

 警告の通り、開発者ドライブ内のデータは全て削除されるので、開発者ドライブを削除する前に必要なデータはバックアップしておく。

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