ServiceNowが16カ国の企業を対象にAI活用の成熟度を調査、成熟を判断する5つの指標とは?:AIエージェントの利用実績例も紹介
ServiceNow Japanは、世界16カ国の企業を対象にした「2025年度版 企業のAI活用成熟度調査」の日本語版を発表した。AI活用の成熟度は低下傾向にあるが、AIツールの活用は活発化していることが分かった。
ServiceNow Japanは2025年7月10日、企業におけるAI(人工知能)活用の成熟度をまとめた調査レポート「Enterprise AI Maturity Index 2025」の日本語版を公開した。この調査は世界16カ国の企業の経営層、シニアディレクター、ディレクターを対象に実施し、4473人から有効回答を得た。
AI活用の成熟度は低下、でもAI活用は活性化?
調査では、企業のAI活用の成熟度を、5つの指標(AI戦略とリーダーシップ、AIモデルとワークフローの統合、人材と従業員、AIガバナンス、AIへの投資を通じた価値獲得の実現)で測定し、100点満点でスコア化した。その結果、企業の成熟度スコアは世界平均で35点で、2024年調査時の44点から11点減少した。日本は33点で、2024年調査時の43点からこちらも11点減少した。一方、50点以上を獲得した企業は全体の1%未満だった。
この結果だけ見れば、AI活用の成熟度スコアは世界的に低下しており、AI活用のスピードが落ちているような印象を受ける。だが、別の調査結果からは、多くの企業がAIによる有意義な成果を出していることが分かっている。調査対象となった企業の67%が「AIツールの導入によって売上総利益が向上した」と回答しており、その増加率(売上総利益の増加率)は平均で11%だった。また、AIツールの導入によって、投資収益率(ROI)を高められたという声もあった。
こうした背景もあり、企業のAIへの注力は今後も継続するようだ。2026年度のAIツールへの投資額について経営層に聞いたところ、平均して8.6%投資を増やすという回答が得られた。
調査では、AIエージェントの導入動向についても尋ねている。「現在、AIエージェントの導入は試験段階にある」と答えた企業は、海外、日本ともに全体の約3分の1だった。今後12カ月以内の導入を検討している企業は、海外が43%、日本は50%だった。「AIエージェントの導入を通じて成果を実感している」と答えた企業からは、セキュリティや内部システム管理での利用が事例として挙がった。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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