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ゼロトラストはどのくらい有効か 実際のインシデントを基に「防げた経済的損失」をZscalerが算出効果が一律ではない、という課題も

Zscalerは、ゼロトラストの実装とサイバーインシデントの被害軽減に関する調査レポートを発表した。ゼロトラストの実践によって被害は抑制できるものの、企業規模や地域による効果に違いがあることが分かった。

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 Zscalerは2025年6月10日(米国時間)、調査レポート「ゼロトラストソリューションで回避できるサイバー損失の試算」を公開した。このレポートは過去8年分のサイバー攻撃によるインシデント(以下、サイバーインシデント)に関するデータセットを用いて、ゼロトラストセキュリティを広く展開する影響を分析したもの。Zscalerからの委託で米大手保険会社Marsh&McLennanが調査、分析した。

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ゼロトラストで防げるインシデントの割合は?

 調査レポートによると、調査対象となったサイバーインシデントのうち、ゼロトラストセキュリティの展開とサイバーハイジーンの適用があればその約3分の1は防げた可能性があるという。また、ゼロトラスト製品を導入することでサイバーインシデントによる経済損失を最大31%削減できるとMarsh&McLennanは分析している。

 調査では、地域ごとのサイバーインシデントの発生数や、ゼロトラストを通じてサイバーインシデントを防止できた割合についても調べている。調査レポートによると、調査期間中に北米で発生したサイバーインシデントの件数は欧州の4倍近く多かった。ゼロトラストアーキテクチャによって防止できた可能性があるサイバーインシデントの割合は、欧州が41%、北米は31%だった。こうした「ゼロトラストがあれば防げた被害の割合」が大きい理由として、レポートは「ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)に関連するインシデントが26%増加していること」を挙げる。

 調査レポートからは、ゼロトラストを実装することで得られる効果は一律ではなく、地域や企業規模によって異なることが浮き彫りになった。レポートによると、年間収益が10億ドルを超える大企業の場合、ゼロトラストを実装することで、サイバー攻撃による被害の約60%を防げるという。一方、Zscalerのスティーブン・シン氏(M&A、事業分離、サイバーリスク担当グローバルバイスプレジデント)は次のように述べている。

 「今回の調査レポートは、ゼロトラストをサイバーセキュリティ強化のための基本的な要素として認識することの重要性を示している。ゼロトラストを採用し、ファイアウォールやVPN(仮想プライベートネットワーク)といったテクノロジーの利用を段階的に廃止することで、サイバーインシデントの発生可能性を抑制できる」

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。