「個人」なら手口を知っておくだけでも有効 「情報セキュリティ10大脅威 2025」の解説書をIPAが公開:「個人」向けに加えて「組織」向けも用意
IPAは「情報セキュリティ 10大脅威2025」の解説書を公開した。「個人編」に加えて「組織編」も用意されている。
情報処理推進機構(IPA)は2025年6月18日、「情報セキュリティ10大脅威 2025」の解説書である『情報セキュリティ 10大脅威2025 個人編』を公開した。「組織編」も用意されている。
知っておくだけでも有効な「個人への脅威」の対策とは
IPAによると個人を対象にした脅威の攻撃手口は、古くから使われ続けているものが多く、どういったものなのかを知っておくだけでも被害への抑止効果は期待できるという。
例えば「インターネット上のサービスからの個人情報の窃取」は、ECサイトなどのインターネット上のサービスに対する不正アクセスや不正ログインといった攻撃によって、サービスに登録されている個人情報などの重要情報が窃取される事案だ。
IPAは、この攻撃への対策として「利用していないサービスを退会すること」「必須項目以外の情報を登録しないこと」「利用しているサービスのワンタイムパスワードサービス、指紋や顔認証など、多要素認証の設定を有効にすること」などを挙げている。
地道な対策が有効な「組織への脅威」
一方、組織の脅威は、個人を対象にしたものとは異なり、攻撃手口を知っているだけでは対策にならない。セキュリティ対策情報を継続的に収集し、使用している機器やサービスのセキュリティ対策をするなど「状況に合わせた迅速な対応が必要だ」とIPAは指摘している。
組織に対する脅威の1位は「ランサム攻撃による被害」。IPAはランサムウェア(身代金要求型マルウェア)を用いた攻撃をランサム攻撃と呼んでおり、「攻撃者は複数の脅迫を組み合わせて、被害組織が金銭の支払いを検討せざるを得ない状況を作り出そうとする」と説明している。
IPAは対策として「メールの添付ファイルの開封やリンク、URLのクリックを安易にしないこと」「多要素認証の設定を有効にすること」「サーバやPC、ネットワークに適切なセキュリティ対策をすること」などを挙げている。
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