検索
ニュース

「Docker Desktop 4.42」公開 AIエージェントとMCP Toolkitで何が変わるのか「Docker Model Runner」もアップデート

Dockerは「Docker Desktop 4.42」の一般提供を開始した。「Docker MCP Toolkit」の統合をはじめ、さまざまな機能が強化されている。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 Dockerは2025年6月10日(米国時間)、さまざまなOS上にDocker開発環境を構築できる「Docker Desktop」の最新版「Docker Desktop 4.42」の一般提供を開始した。

画像
リリース

Docker MCP Toolkitを統合

 MCP(Model Context Protocol)サーバとの連携機能のセットアップ、認証、セキュリティをバックグラウンドで処理する「Docker MCP Toolkit」が統合された。これによって「GitHub」「MongoDB」「Hashicorp」など、100以上のMCPサーバにDocker Desktopから直接アクセスできるようになった。必要なMCPサーバを有効にして設定し、コーディング支援ツール「Claude Desktop」「Cursor」「Continue.dev」の他、DockerのAI(人工知能)エージェントである「Gordon」にも接続可能だ。Docker Desktopは、セキュリティ的に分離されたコンテナ内でこれらのMCPサーバを実行する。

画像
Docker Desktopの「MCP Toolkit」メニュー。ダウンロード可能な、あるいは接続されたクライアントを示している(提供:Docker

 「Docker CLI」(CLI:Command Line Interface)もMCPに対応した。「docker mcp」コマンドを使用すると、ターミナルから直接MCPサーバを起動、構成、管理できる。CLIプラグインではカタログ管理やクライアント接続設定、シークレット管理といった包括的な機能を利用できる。

画像
使用可能なDocker MCP CLIコマンド(提供:Docker

DockerのAIエージェント「Gordon」がMCP Toolkitの統合に対応

 Dockerは、DockerのAIエージェントであるGordonをアップグレードし、Docker DesktopのMCP Toolkitに直接統合した。これによって100以上のMCPサーバにアクセスできるようになり、Dockerワークフローで直接AI機能を試すこともできるようになった。

画像
GitHubを呼び出すGordon(提供:Docker

 さらにDockerは「Dockerize機能」(MCPサーバやアプリケーションをDockerコンテナとしてパッケージする機能)も改善。「Java」「Kotlin」「Gradle」「Maven」のサポートを拡張した。同社は「最小限の構成で幅広いアプリケーションをコンテナ化することが容易になった」としている。

IPv6サポート

 Docker Desktop 4.42は、さまざまなカスタマイズオプションを備えたIPv6ネットワーク機能を提供する。企業のネットワーク要件に合わせて3つのネットワークモード「デュアルIPv4/IPv6」「IPv4のみ」「IPv6のみ」から選択できる。DNS(Domain Name System)の名前解決機能も強化されている。ホストのネットワークスタックを自動的に検出し、サポートされていないレコードタイプをフィルタリングして、IPv4のみ、もしくはIPv6のみの環境での接続タイムアウトを防ぐ。

Docker Model Runnerの機能が拡充

 既存のワークフローから直接、AIモデルをローカルで実行、テストが実施できる「Docker Model Runner」の最新バージョンは、より広範なシステムをサポートするようになった。一般的なDockerツールとより緊密に統合され、パフォーマンスとユーザビリティの両方が向上しているという。

 Docker Model Runnerは、Appleシリコンを搭載したMacとNVIDIAのGPUを搭載したWindowsデバイスに加えて、Qualcommチップセットを搭載したWindowsデバイスでも動作するようになった。さらに、Docker Engineがサポートする複数のLinuxディストリビューションの「Docker Engine Community Edition」に直接インストールできるようになった。

CLIによるモデルのパッケージ化が容易に

 「Docker Model CLI」に「docker model package」コマンドが導入された。この新しいコマンドによって、開発者はモデルをGGUF(GPT-style General Use Format)形式からOCI(Open Container Initiative)準拠のアーティファクトにパッケージ化できる。そのため、公開リポジトリ、プライベートリポジトリ、「Docker Hub」などのOCI互換リポジトリへのシームレスな公開が可能になる。Dockerは「開発者は、使い慣れた信頼できるDockerツールを用いて、標準化された安全なモデル配布ワークフローを確立できる」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.