高収入の開発者に好まれる言語、低収入の開発者に人気の言語が判明 SlashData:「世界で最も使われるプログラミング言語」は首位を譲らず
SlashDataは、ソフトウェア開発者の現状調査レポート「State of the Developer Nation 29th Edition」の中から、開発者によるプログラミング言語の使用状況の調査結果を紹介した。
SlashDataは2025年6月4日(米国時間)、ソフトウェア開発者の現状調査レポート「State of the Developer Nation 29th Edition」の中から、開発者によるプログラミング言語の使用状況の調査結果をブログで紹介した。同調査は、2025年第1四半期に世界127カ国の開発者を対象に実施し、1万500人以上から有効回答を得た。
AIツールの支援で難解言語の使用者が大幅増
SlashDataは、主要プログラミング言語のコミュニティー規模を下のグラフのように推計している。
以降、調査結果のハイライトを紹介する。
JavaScriptが首位を維持、成長は鈍化
2800万人のアクティブ開発者(「TypeScript」使用者を含む)を擁する「JavaScript」は、世界で最も使われるプログラミング言語であり続けている。一方、その成長は鈍化している。過去1年間で280万人の新規開発者を獲得したものの、これは以前のペースには及ばない。
SlashDataは「市場の成熟を示している可能性がある」と指摘している。
「JavaScriptは不可欠だが、競争が激しい。JavaScriptを多用する開発のために人材を採用しようとしているチームは、文化、プロジェクト、報酬などを通じた差別化により、優秀な人材を引きつけることを検討すべきだ」(SlashData)
JavaがPythonを抜いて2位に浮上
「Java」(2320万人)が近年では初めて「Python」(2290万人)を上回り、2番目に大規模なプログラミング言語コミュニティーとなった。Javaの強みは、デスクトップからゲーム開発まで、複数の開発領域にわたって一貫して、開発者が増えていることにある。
SlashDataは、信頼性が高く、マルチドメインであるJavaは、特にレガシーシステムを管理したり、高可用性環境を構築したりするチームにとって「将来にわたって安全な選択肢だ」と述べている。
Rust、Swift、RubyがAIブームを追い風に大幅成長
「Rust」はこの1年で110万人の開発者を獲得し、世界で510万人に使用されるようになった。メモリ安全性、パフォーマンス、安全なシステム設計といった魅力に支えられている。
「Swift」開発者も1年前の460万人から560万人に急増した。これはAI(人工知能)コーディングアシスタントの台頭が後押しした可能性が高い。開発者全体では、「GitHub Copilot」のようなツールを使用している割合は32%だが、Swift開発者では42%に上るという。
「Ruby」開発者も前年比で160万人の増加を示した。AIツールの普及拡大は、これまで「ニッチ」「難しい」と考えられていた言語の使用のハードルを下げているようだと、SlashDataは指摘している。
専門性が魅力の中堅言語
「Kotlin」(630万人)、「C#」(1110万人)、「Go」(500万人)といった言語は、それぞれAndroid開発、エンタープライズプラットフォーム、クラウドネイティブツールのような特定のエコシステムで強い存在感を発揮している。
高収入の開発者に好まれるCとRust
SlashDataの分析によると、高収入の開発者は、「C」やRustを使用する傾向が高い。両者はパフォーマンスや信頼性が高く評価されており、基盤システム開発に使用されることが多い。SlashDataは、これは深い技術的専門知識やノウハウと報酬の関連を示唆しており、パフォーマンスとセキュリティが重要な領域では特に顕著だと述べている。
低収入層に多いPHPやJavaScriptユーザー
「PHP」とJavaScriptは、低収入の開発者の間で使用率が高い。PHPについては、これはフリーランサーや小規模企業の開発者からの人気が高いためかもしれない。従業員数5人未満の企業では35%がPHPを使用しているが、これは企業全体の19%と比べてかなり高い。
JavaScriptは広く使われている半面、競争が激しく、それが一部の市場では、報酬の上昇を抑制することがあるという。
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