純国産RDB「Tsurugi」のMCP対応版、オープンソースで提供開始 SQLを使わない自然言語のDB操作はどうなる?:LLMのローカル実行にも対応
ノーチラス・テクノロジーズは、リレーショナルデータベース「劔」(Tsurugi)のMCP対応版をオープンソースで提供開始すると発表した。ユーザーはSQLや特定のアプリケーションを使わずに、Tsurugiを自然言語で操作できる。
ノーチラス・テクノロジーズは2025年5月23日、リレーショナルデータベース「劔」(Tsurugi)の「MCP」(Model Context Protocol)対応版をオープンソースで提供開始すると発表した。GitHubからダウンロードできる。
「今から、この設備のチェック作業を開始しますね」で検索スタート
Tsurugiは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「高効率・高速処理を可能とするAI(人工知能)チップ・次世代コンピューティングの技術開発」で開発されたオープンソースのリレーショナルデータベース(RDB)。Tsurugiは「楽観ロック」に独自の実装を組み合わせることで“ロックフリー”な特性を持ち、リアルタイムでデータが更新処理されているさなかに、データに対する問い合わせを発行しても、処理性能が落ちないという特徴がある。
TsurugiにMCPを実装したことで、ユーザーはSQLや特定のアプリケーションを使わずに、自然言語でTsurugiのデータを扱えるようになった。ノーチラス・テクノロジーズは「ユーザーは日本語が扱えれば問題なくシステムを利用でき、ユーザー企業内でのシステム展開が簡単で、画面のマニュアルやそのトレーニングも不要だ」としている。
例えば、データベースにログインするには、Tsurugiに直接「今から、この設備のチェック作業を開始しますね」と入力する。すると、Tsurugiが「該当設備のチェック作業を開始します。設備IDと担当者名を教えていただけますか?」と返答するので、ユーザーが「担当者名はトグサ、設備IDは20110314-1」と回答することでログインできる。
MCPを利用する際は基本的に、データベースとの出入り口を大規模言語モデル(LLM)などに開けておく必要がある。だが、特にクラウドサービスのLLMを利用する場合は、データベースへのアクセスをクラウドに開放することがセキュリティリスクにつながる可能性があるとノーチラス・テクノロジーズは指摘。「TsurugiはLLMのローカル実行にも対応しており、データベースをクラウドにさらすことなく自然言語インタフェースを利用できる」としている。
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