Rustの年次調査「State of Rust 2024」が明らかにする、Rustの利用状況と課題：回答者の約半数が本番環境や重要なツールにRustを利用

　Rustを毎日利用している回答者の割合は、53.4％と増加している（2022年調査は47.3％、2023年調査は49.3％）。

Rustの使用頻度（提供：Rustプロジェクト）

Rustを使用しない理由

　Rustを使用しない理由の1位は「まだ試す機会がない」（70.5％）だった。次いで、「学ぶのが難しい（学習に多くの時間がかかる）」（30.6％）、「他の言語を使うのが好ましいため」（24.6％）だった。

Rustの専門知識レベル

　「Rustに関する自身の知識をどのように評価しますか？」という問いに対し、53.5％が、「Rustを使って生産性の高いコードを書くことができる」と回答しており、増加傾向にある（2022年調査は42.3％、2023年調査は47.0％）。

Rustの専門知識レベル（提供：Rustプロジェクト）

どのOSやランタイム向けに開発しているか？

　Rust開発者は多様なプラットフォームをターゲットに開発している。

　組み込みプラットフォームやモバイルプラットフォームをターゲットとするユーザーが若干増加したものの、それ以外の傾向は2023年調査とほぼ同じだった。

　2024年調査からWebAssemblyの項目が「ブラウザ向け」と「それ以外のホスト」に分割された。WebAssemblyはブラウザ向けが23.0％、それ以外のホストが7.7％だった。

どのOS、ランタイム向けにRustを使って開発しているか（提供：Rustプロジェクト）

Rustでコーディングする際、どのエディタまたはIDE（統合開発環境）を使うか？

　Rust開発者がコーディングする際に最も利用しているのは「Visual Studio Code」（56.7％）だ。次いで「vi/vim/neovim」（30.2％）、「Rust Rover」（16.1％）だった。中でも、「Zed」（8.9％）の利用率は大きく増加している（2023年調査は0.7％）。

Rustのコーディングに使用するエディタもしくはIDE（提供：Rustプロジェクト）

業務でのRustの利用状況

　「業務でRustを使用してコーディングする」と回答した人の割合は38.2％だった。

職場で個人的にRustを使用する人の割合（提供：Rustプロジェクト）

　「自社でRustを本格的に利用している（例えば、本番環境や重要なツールなど）」と回答した人の割合は45.5％（2023年調査から6.8ポイント増）だった。

会社でどの程度Rustが使用されているか（提供：Rustプロジェクト）

業務でRustを利用する理由

　業務でRustを利用する理由の1位は「比較的正しくバグのないソフトウェアを構築できること」（87.1％）だった。2位は「Rustのパフォーマンス特性」（84.5％）、3位は「セキュリティや安全性などの特徴」（74.8％）だった。

　回答者の21.2％は「Rustをすでに知っており、デフォルトの選択肢となっている」とした。

Rust利用による成果

　2023年調査と同様、回答者の大部分（82.1％）は「Rustが自社の目標達成に役立った」と回答している。次いで「今後もRustを使用する可能性が高い」（77.9％）、「Rustの採用はコストに見合う価値があった」（65.9％）だった。

Rust利用による成果（提供：Rustプロジェクト）

どの技術領域でRustを使用しているか？

　技術領域別では、Rustは、サーババックエンド、Webネットワーキングサービス、クラウド技術の開発に特に人気がある。組み込みユースケースでも人気が高まっている。この傾向は2023年調査と変わっていない。

どの技術領域でRustを使用しているか（提供：Rustプロジェクト）

Rust利用における課題

　Rust利用における課題で最も多かったのは「コンパイルに時間がかかる」だ。次いで「Rustのデバッグのサポートが不十分」「ディスク使用量が多い」だった。

Rust利用における課題（提供：Rustプロジェクト）