RHEL互換ディストリビューションの開発促進団体「OpenELA」設立 CIQ、Oracle、SUSEの3社:RHEL互換ディストリビューションの開発を促進
CIQ、Oracle、SUSEの3社は、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)互換ディストリビューションの開発を促進する業界団体「Open Enterprise Linux Association」(OpenELA)を設立する。
CIQ、Oracle、SUSEの3社は2023年8月10日(米国時間)、オープンで無料の「Enterprise Linux」(EL)ソースコードを提供し、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)互換ディストリビューションの開発を促進する業界団体「Open Enterprise Linux Association」(OpenELA)を設立すると発表した。
OpenELAの設立は、Red Hatが2023年6月、「CentOS Streamが今後、RHEL関連のソースコードを公開する唯一のリポジトリになる」と発表したことを受けたものだ。CIQ、Oracle、SUSEは、OpenELAを通じてソースコード、ツール、システムをコミュニティーに提供するために協力していく。CentOS Streamは、RHELにおける将来のメジャーリリースのベースとなるアップストリームプロジェクトである「Fedora Project」と、RHELとの中間に位置付けられているディストリビューションだ。
3社の幹部は、声明で次のように述べている。
「コラボレーションは、イノベーションを促進する上で不可欠だ。そのためにわれわれは、この団体に加わり、われわれと共にオープンコミュニティー標準を守っていく全ての人々を歓迎する」(SUSEの最高技術/製品責任者、トーマス・ディ・ジャコモ氏)
「CIQ、Oracle、SUSEは、OpenELAを通じてオープンソースコミュニティーと力を合わせ、Enterprise Linuxを利用するアップストリームコミュニティーとダウンストリームコミュニティーの両方のために、安定したレジリエント(強靭)な未来の確保に協力する」(CIQのCEO、グレゴリー・カーツァー氏)
「多くの大企業から、互換ディストリビューションの出発点となる、コミュニティー主導のELソースコードの重要性を訴える声が寄せられてきた。OpenELAは、こうしたニーズに対するわれわれの回答であり、オープンソースコミュニティーによる互換ELディストリビューションの継続的な開発を支援するコミットメントを表している」(Oracleのソフトウェア開発担当エグゼクティブバイスプレジデント、ウィム・コーカーツ氏)
OpenELAは2023年後半に、RHEL互換ダウンストリームが存在するために必要なソースを提供する。当初はRHELのバージョンEL8、EL9、そしておそらくEL7に重点を置くとしている。このプロジェクトは、OpenELAソースをコミュニティーに提供し続けることを確約している。
プロジェクトの精神を反映したOpenELAの基本理念には、既存のデファクトスタンダードであるRHELへの完全な準拠、迅速なアップデートと安全な修正、透明性、コミュニティー、そしてリソースが全ての人にとって無料で再配布可能であることを保証することなどが含まれる。
CIQは、RHELクローンOS「Rocky Linux」を中核とした次世代ソフトウェアインフラを手掛ける企業。Oracleは、データベース管理システム(DBMS)、統合アプリケーションスイート、クラウドサービス「Oracle Cloud」や、RHELクローンOS「Oracle Linux」を提供している。SUSEは、企業向けLinux製品、Kubernetesディストリビューション、Cloud Foundryディストリビューションなどを提供するオープンソース企業。
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