仕事の範囲がさらに拡大? IDCが「今後のCIO」に関する10大予測を発表:デジタルファースト時代のCIOの役割とは
IDC JapanはCIOの取り組みや課題に関する10大予測を発表した。同社は「CIOは改めて自らのミッションを見直し、デジタルファースト戦略実行のために自身が関わる業務範囲を定義すべきだ」としている。
IDC Japanは2023年1月26日、CIO(最高情報責任者)の取り組みや課題に関する10大予測を発表した。
IDC Japanによると、世界中の企業にDX(デジタルトランスフォーメーション)の考え方が広がっており、デジタル技術抜きではビジネス戦略を立てることはもちろん、日々の運用も難しくなっているという。こうした「デジタルファースト」の時代では、あらゆる企業でCIOやITリーダーの重要度が増す。
一方、IDCが実施した調査「CIO Sentiment Survey 2022」によると、世界中のIT役員の74%が「CIOの役割を見直すべきだ」と回答している。従来と“これから”で、CIOやITリーダーに求められる役割は変わってきているようだ。
企業文化の変革などにも役割を広げるべきだ
こうした背景を基に、IDCは全世界のCIOの取り組みや課題に関する予測を立てた。その中で取り上げられたのは以下の10項目だ。
- CIOを「ビジネステクノロジーオフィサー」化する
- 企業内における“パーベイシブIT”を実現するために他のリーダーとの協業を進める
- 顧客中心のビジネスモデルにするための業務モデル変革に関与する
- デジタル技術やデータを活用した「レジリエンシー」を実現する
- ディープオートメーションとインテリジェントエンタープライズを実現する
- 人とマシンの協業を促進する
- エッジデータを活用する
- 従業員エクスペリエンスの向上とポジティブな企業文化醸成を実現する
- サステナビリティに向けた取り組みに関与する
- “as a Service”支出に注意する
IDC Japanは「CIOはITの調達や構築、運用だけではなく、ビジネスや業務モデル、従業員エクスペリエンス、サステナビリティなどさまざまな分野に関わっていく必要がある」としている。この傾向は世界と国内ともに同じだが、インパクトの大きさや実現時期に関しては異なる部分もある。例えば「デジタル技術やデータを活用したレジリエンシーを実現する」に関しては、国内企業は世界に比べてインパクトが若干小さいとIDC Japanは分析している。
IDC Japanの寄藤幸治氏(Research Group Vice President、チーフリサーチアナリスト)は、「CIOは改めて自らのミッションを見直し、デジタルファースト戦略実行のために直接間接に関わる業務範囲を定義すべきだ。例えば、企業文化の変革といった、これまで全く関与したことがなかった分野にも、人事担当役員などとともに取り組む必要がある」と述べている。
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