AWS、コンテナホスト用のLinuxベースOS「Bottlerocket」のパブリックプレビュー版を発表:1ステップで更新を適用可能
AWSは、コンテナホストへ最適化した新しいLinuxベースのオープンソースOS「Bottlerocket」のパブリックプレビュー版を発表した。汎用OSを利用した場合と比較してアップタイムが短く、更新を1ステップで完了できる。
Amazon Web Services(AWS)は2020年3月10日(米国時間)、同社が設計し、コンテナホストへ最適化した新しいLinuxベースのオープンソースOS「Bottlerocket」のパブリックプレビュー版を発表した。
Bottlerocketはシングルステップの更新メカニズムを備えており、コンテナの実行に不可欠なソフトウェアのみを含む。ユーザーがコンテナオーケストレーターを使用して、OSを更新する際に最小限の中断で済むように設計されている。Bottlerocketを採用することで、コンテナ化されたアプリケーションのアップタイムを改善でき、運用コストを削減可能だ。
Bottlerocketが対応するイメージは2種類ある。Dockerイメージと、Open Container Initiative(OCI)形式に準拠したイメージだ。
Bottlerocketを利用できるサービスは、現在、フルマネージド型Kubernetesサービス「Amazon EKS」(Amazon Elastic Kubernetes Service)のみだが、フルマネージド型コンテナオーケストレーションサービス「Amazon ECS」(Amazon Elastic Container Service)も間もなく対応する。
現状の管理がどのように変わるのか
今日のほとんどのコンテナは、汎用(はんよう)OS上で実行されている。これらの汎用OSはコンテナを含むさまざまな形式でパッケージ化されたアプリケーションをサポートするように構築されたものだ。
汎用OSの更新はパッケージごとに適用が進むため、パッケージ間の複雑な依存関係によってエラーが発生する場合がある。汎用OSの更新プロセスを自動化することが難しいのはこれが理由だ。
これに対し、Bottlerocketはイメージベースのモデルを採用しているため、更新を1ステップで適用できる。ロールバックも1ステップだ。自動化しやすい。管理オーバーヘッドを削減でき、コンテナ化されたアプリケーションのアップタイムが向上するのはこのためだ。
Bottlerocketは、主に読み取り専用のファイルシステムを採用しており、起動時に「dm-verity」(device-mapper-verity)カーネルドライバで完全性のチェックが進む。SSHアクセスは推奨されておらず、別個の管理コンテナの一部としてのみ可能だ。この管理コンテナは、必要な場合に有効にして、トラブルシューティングに利用できる。
Bottlerocketを利用するには、Bottlerocket AMI(Amazon Machine Image)で「Amazon EC2」(Amazon Elastic Compute Cloud)インスタンスを起動し、Amazon EKSクラスタに参加させればよい。
Bottlerocketは、GitHubでオープンソースプロジェクトとして開発されている。AWSが提供するBottlerocketのビルドは、AWSサポートプランの対象となる。
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