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@IT > 企業メール・システム活用、次世代戦略への「10のヒント」 |
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電子メールは、ビジネスに不可欠の通信手段である。いまやデスクワークの現場で、メールが使えない企業などほとんど存在しないだろう。メールは、電話やFAXに次ぐ通信手段として、いや、もはやそれらを凌駕するビジネス・コミュニケーション基盤として機能しているといってよい。
理由は大きく3つある。第1はさらなる生産性の向上、第2はセキュリティの強化、第3は運用管理コストの低減である。本稿では、これらの理由をさらに探るべく、次世代のメール・システム構築に向けて検討すべき以下のような10個のヒントを取り上げ、個々に検討していく。
プロジェクトの状況報告や協働作業者からの問い合わせ、会議出席依頼、文書の査読依頼、人事異動報告、全社員向けアナウンス、アプリケーションからの通知、メール・マガジンなど、あらゆる情報がメールで交換されるようになってきた。メールは、会議や電話などといった従来の手段に比べると、ごくわずかなコストでメッセージ送信が可能であり、しかも非同期通信なので相手の状態を思いやらなくてもよい。同報通信を使った複数メンバーでの情報共有も容易ということもあり、1日に送受信するメール数は増加の一途をたどっている。 着信したメールは、あっという間に過去のものになり、当面の視界から消えていく。自動分類機能など、大量のメールを効率的に扱うための機能を持つメーラも一般的になってきたが、押し寄せる大量のメールを思いのままに扱うにはとても十分な機能ではない。「あのメールはどこにいったのか?」とメーラの検索機能と格闘した経験は誰にもあるはずである。 こんなとき頼りになるのはメーラの検索機能だが、高速な最新のパソコンを持ってしても、数カ月分の全メールから特定のキーワードを含むものをフルテキスト検索で見つけるには、かなりの時間がかかるはずだ。あまりに時間がかかるため、検索を始めたものの、処理を中断してあきらめた経験はないだろうか。 こんな場合でも、インデックス機能を持つ検索が使えれば、過去数年分のメールからでも、瞬時にキーワードを含むメールを見つけることが可能である。メーラとしてOutlook 2003を利用しているなら、マイクロソフトが無償提供しているMSNサーチが非常に有効である。MSNサーチは以下のサイトからだれでも入手できる。 MSNサーチ・ツールバーは、Webやデスクトップ(ローカル・ディスク)からキーワードを含む情報を高速に検索するためのアドオン・プログラムだが、MSNサーチ・ツールバーには、Outlook 2003用の検索コンポーネントが標準で組み込まれており、Outlook 2003がインストールされたコンピュータに追加すると、Outlook 2003のウィンドウにMSNサーチ用の検索ツール・バーが追加される。
MSNサーチ・ツールバーは、Outlook 2003に保存されているメールやメールに添付されたファイル、「マイ ドキュメント」にある文書などのインデックス(検索用の索引情報)をあらかじめ作成しておき、高速な検索を可能にする。Exchange Server 2003にも対応しており、Exchangeサーバに保存されているメールやパブリック・フォルダ(共有フォルダ)のドキュメントもインデックス化の対象となる。インデックス作成は比較的重い処理だが、フォアグラウンドで別のアプリケーションが操作されたときには、自動的に処理を中断する機能などがあり、システムのアイドル時にだけインデックス作成をするため、コンピュータ利用の負担にはならない。 手元にあるOutlook 2003で試したところ、過去3年分の送受信メール約3万件(データサイズにして約2Gbytes)のデータから、「請求書」を含むものを検索した結果は、1秒ほどで、約1500件のメールが見つかった。これだけ高速に検索できると、過去に蓄積された大量のメールを、データベースとして柔軟に活用できるようになる。
ノートPCやPDA、携帯メールと、場所を選ばずメールを利用するための機器は広く普及しているものの、これらによってビジネス・メールを機動的に活用しているケースは少ない。追加機器への投資もさることながら、この場合多くの企業で問題となるのはセキュリティだろう。ファイアウォールで守られた安全な社内ではなく、外出先からメールを自由に送受信できるようにするということは、同時に、悪意のある攻撃者に攻撃の突破口を与えることにもつながるからだ。 いまやメール・サーバには、プロジェクトの生々しい履歴や、金銭取引の詳細な数値、経営を左右する重大な意志決定まで、機密情報の集大成といっても過言ではないほどの情報が保存されている。場所と時間に拘束されずにメールをやりとりできるメリットは理解しながらも、セキュリティ・リスクの前に及び腰になる企業は少なくない。 結果として、「メールは会社のデスクでしか使えない」ということになる。 これにより利便性は多少犠牲になっても、その引き替えに安全が手に入る。間違った判断だと誰が管理者を責められるだろうか。判断は間違いではない。しかし一方で、メールの機動力に制約を加えることによって失う機会損失は増大していく。いまやメールは、ホワイトカラーにとって、最も優先度が高く、依存度も高い通信手段である。1通のメールが、場合によっては何十人、何百人の行動に瞬時に影響を及ぼすことがある。元はわずかな遅れであっても、結果として企業が受ける損失は重大なものになりかねない。 幸い、最新のメール・システムは、セキュリティ・リスクを低減するさまざまな機能を搭載している。Exchange Server 2003のOutlook Mobile Access(以下OMA)やOutlook Web Access(以下OWA)を利用すれば、携帯電話やPDA、Web端末から安全にメール・サーバにアクセス可能だ。POP/SMTPによる典型的なメール・サーバとは異なり、OMA/OWAでは、端末とサーバ間でやりとりされるデータが高度に暗号化されるとともに、メールのデータ自体はサーバに置いたままにできるので、情報漏えいリスクが低減される。
電話を使っていたころ、急な会議の招集は、高度な経験と勘が必要な仕事だった。これには会議に参加するメンバーのスケジュールを確認し、会議室の空き状況を確認して、都合のよい時間帯を決定する必要があるのだが、すべての条件は刻々と変化するので、勘を働かせないと、調整が堂々巡りに陥る危険がある。 この作業は、メールの登場でずいぶんと簡単になった。典型的な方法はこうだ。まず、参加者全員に対し、大ざっぱな希望日の範囲を指定して、「都合のよい日時の候補をいくつか挙げてください」というメールを発信するとともに、会議室の空き時間を確認して、メールの返信を待つ。全員から返信があったら、これらと会議室の空き時間を照らして、都合のよい時間帯を決定すればよい。電話を使う場合と違い、これならたいして勘を働かせなくても作業ができる。 しかしメンバーが忙しい人たちばかりで、会議室の稼働率も高いとなると、そうすんなりとはいかない。一度でうまくいかなければ、会議開催の時期を遅らせて、再度空き時間を調整し直さなければならない。作業のやり直しを迫られる会議招集担当者も不運だが、参加者もいい迷惑だ。何度も繰り返される問い合わせメールに返信しなければならないし、最終的に会議時間が決定するまで、候補として挙げた日時を仮に確保しておく必要がある。忙しい参加者は、こうした調整が同時に複数発生する場合がある。こうなると、今度は参加者のほうが勘を働かせて、問い合わせがあった会議ごとに、可能性が高そうな候補日時を推測して、返信する必要が出てくる。それでなくても忙しいところに、会議の時間調整作業が降りかかってくるわけだ。忙しい人ほどこうした状況は発生しやすく、貴重な時間がさらに圧迫されていく。純粋に時間的な損失だけならそれほどでもないが、割り込みによってそれまで取りかかっていた作業は中断され、とぎれた集中力を再度取り戻さなければならないため、精神的な負担は小さくない。これが多くのメンバーで発生するとなると、組織全体では無視できないコストになるはずだ。 こういう無駄な時間は、できるだけ自動化して省略し、貴重な時間を生産的な作業に振り向けるべきである。Exchange Server 2003とOutlook 2003を組み合わせてメンバーのスケジュールを共有すれば、各メンバーの空き時間をひと目で確認できるようになる。
各メンバーは、日ごろのスケジュール管理をOutlook 2003の「予定表」で行う。この予定表をほかのメンバーと共有すれば、メンバー間の空き時間検索が可能になる。この場合、実際には空き時間検索が自動化できるだけでなく、会議開催予告と、それに対する参加メンバーの応答と予定表への情報入力も自動化される。会議開催の日時を指定して会議開催予告のメールを発信すると、参加予定者には次のように、会議への参加、不参加をボタン1つで返答できるメールが到着する。
このメールの[承諾]ボタンをクリックすると、指定された会議開催日時が自動的に予定表に書き込まれる。会議開催メールを手書きでスケジュール帳に書き写したり、別のスケジュール・ソフトに手作業でコピー&ペーストしたりする必要はない。
送信料が無料であるのをいいことに、不特定多数の利用者に対し、商品広告やサイトへの誘導などをばらまく「迷惑メール」が深刻な問題になっている。当初はメールの件名からひと目でそれと分かるものが多かったが、近ごろでは巧妙化して、「はじめまして」とか「おつかれさまです」などといった、通常のメールと見分けの付かないものが増えてきた。こうした迷惑メールにより、利用者の貴重な時間と、メール・サーバやローカル・コンピュータのディスク資源、ネットワーク帯域が少しずつ盗まれている。 通常迷惑メールは、迷惑メールの送信を専門とする業者によって発信される。業者は、迷惑メールの送信先リストを管理しており、これらのリストに対して、機械的にメールを発信する。業者は送信先アドレスの開拓に余念がない。例えば、業者はハーベスタ(収穫機)と呼ばれる自動化プログラムを持っており、常にインターネットのWebページや掲示板などを走査して、それらしきアドレスが見つかるとリストに自動登録している。うっかり登録されてしまうと、リストから削除するための有効な方法はない(間違っても、迷惑メールの登録削除依頼に返信などしてはいけない。返信すると、業者はそのアドレスが「有効な」アドレスであることを検知し、さらに大量の迷惑メールが送信されることになる)。このようなことがないように、ユーザーは注意する必要があるが、完全に防止できる保証はない。 残念ながら、こうした迷惑メール業者とユーザーの闘いは「いたちごっこ」にならざるをえない。インターネット・サービス・プロバイダやメール・サーバ、メール・クライアント・ソフトウェアなどさまざまなレベルで迷惑メール対策が進められているが、何か対策が施されると、業者はそれをすり抜ける手口を見つける。 Exchange Server 2003およびOutlook 2003では、それぞれが独自の迷惑メール対策機能を持つとともに、両方を組み合わせることで、さらに効果的な対策を実施できるようにしている。 まず、Exchange Server 2003は、メールの送信元IPアドレスやメールヘッダの送信元情報(From情報)から、特定の発信者からのメールをブロックしたり、ユーザーが存在しないアドレスへの送信メールをブロックしたりできる。さらにExchange Server 2003には、IMF(Intelligent Message Filter)と呼ばれる迷惑メール識別エンジンがあり、メッセージの内容から迷惑メールを自動的に類推できる。IMFは無償公開されており、Exchange Server 2003のユーザーならダウンロードして利用できる。 メール・クライアントであるOutlook 2003にも、迷惑メールを類推してフィルタする機能が用意されており、メール・サーバによらずこれを使ってクライアント側で迷惑メールをフィルタリングすることが可能だ。この迷惑メール・フィルタは、Outlook 2003のアドオンになっており、最新の迷惑メール・フィルタ技術に対応した更新版が随時インターネットで公開されている。 さらに、Exchange Server 2003のIMFとOutlook 2003の迷惑メール・フィルタは連動することが可能であり、両者を統合することで、より効率的に迷惑メールのフィルタリングができるようになる。次の図から分かるとおり、Exchange Server 2003が提供する各種のフィルタ、IMF機能に加え、Outlook 2003の迷惑メール・フィルタを組み合わせることで、迷惑メール対策の精度を向上させることができる。
知的労働の生産性を飛躍的に向上させたメールだが、メッセージを送受信できるという基本機能だけでは、本当に効率的なコミュニケーションを維持することは難しい。Exchange Server 2003やOutlook 2003は、数々の最新テクノロジによって、生産性をさらに一段向上させるメッセージング環境を提供してくれる。米国ユーザーがメール環境に投資を惜しまない第一の理由は、生産性向上によって利益の拡大が期待できるからなのだ。
提供:マイクロソフト株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2005年11月30日 |
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