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@IT > クアッドコアAMD Opteronの力を解放する! 仮想化に最適化されたサーバ「Dell PowerEdge™ R805」 |
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待望のクアッドコア AMD Opteron™(コードネーム:バルセロナ)プロセッサを搭載した、デルのサーバが登場した。仮想化に特化したサーバだという「Dell PowerEdge™ R805」(以下、R805)の特徴と優位点について、デル エンタープライズ・マーケティング本部 サーバブランドマネージャの浦上義一氏と、日本AMD マーケティング本部 エンタープライズプロダクトマーケティング部 部長の山野洋幸氏に話を伺った。
―― デルの基本的なコンセプトとして「ITのシンプル化」(Simplify IT)ということを提唱されていますが、具体的にはどういったことでしょうか。
浦上: 「ITのシンプル化」(Simplify IT)というのはITをシンプルにする、つまり、より少ないリソース(時間・場所・人・もの・金・電力など)で、より多くのアウトプットを出すというのが根本的な考え方です。実際、一般的にはITリソースの7割近くをメンテナンスに使っていて、新規導入などのために使っているのは3割といわれています。 例えば、ブレードサーバを考えてみると、ソフトウェアを導入する際、ブレードのエンクロージャを買って、ブレードサーバを買って、ソフトウェアを買う。それらの梱包(こんぽう)を解いてインストールするためにエンジニアを呼んできて、タイミングを合わせてインストールする。非常に手間がかかります。ほかにも、仮想化などの新しい技術を導入したものの、ハードウェアがそれに適したものでなければ運用が難しくなりメンテナンスに手間がかかるといったこともあります。また、企業のIT環境はどんどん複雑化し、一方ではベンダロックインといってベンダにすべてお任せしないと身動きがとれない状況になっています。これは、特定のベンダに依存するために結果的にコストが高くなるということにもなります。 こういったことからユーザーを解放するというのが、デルの「ITのシンプル化」というコンセプトです。製品ラインアップとしても、標準化された技術に基づいたハードウェアだけを提供します。例えばサーバでいうと、1、2、4ソケット、そしてブレードというラインアップを持っています。 ―― 最近は地球温暖化防止を考えたITの省電力、いわゆるグリーンITというキーワードがよく聞かれますが。 浦上: 「ITのシンプル化」の考え方では、電力消費を抑えるための独自技術開発といった方向には進みません。電力消費量は低いが価格が高いというのでは、本末転倒ですから。例えば、世の中に出回っているパワーサプライをすべてチェックし、その中で最も効率のよいものを採用します。これが実際に、他社製品よりも10〜20%電源効率がよいわけです。 すでに流通している製品をうまく組み合わせて省電力を実現したエナジースマートという省電力構成のモデルを昨年から出していますし、パワーマネジメント(電源管理)のノウハウも蓄積できています。1ワット当たりのパフォーマンス(パフォーマンス・パー・ワット)は、デルがNo.1なんですよ。 ―― 最近は仮想化というキーワードも大きく取り上げられていますね。全体のサーバ台数を減らすことができるので、省電力化にもつながると。 浦上: われわれは仮想化イコール省電力とは考えていませんが、もちろんその効果はありますし、全体的なメンテナンス負荷の軽減やスケーラビリティの向上など、仮想化への流れ自体はもう止められないでしょう。 われわれはハードウェアを提供する立場ですが、ハードウェアは当然その上でソフトウェアが動くものです。そのソフトウェアが快適に動くようなハードウェアを提供すれば、結果的にユーザーの手間を減らすことになります。それが「ITのシンプル化」の目指すところですから、ソフトウェアに適したハードウェアを提供するということが、われわれのミッションにもなります。 仮想化の場合、CPUパワーは当然として、メモリやハードディスク、ネットワークI/Oなどに過大な負荷がかかります。そのため、CPUパワーを活かしきれないケースが出てきます。そこで、仮想化に最適なサーバということでできたのが、R805というモデルです。
ちなみに、デルのサーバのネーミングにはあるルールがあります。最初のRは、ラック型の意味で、Tだとタワー型です。次の数字ですが、一番左は性能を表していて、数字が大きいほどハイエンドになります。真ん中は世代のことで、今は第十世代なので0になっています。一番右の数字は搭載しているCPUによって違うのですが、インテル製のチップを搭載したモデルは0、AMDのチップを搭載したモデルは5になっています。そして、仮想化に特化したモデルは、このR805しかありません。
―― R805はクアッドコア AMD Opteron™ プロセッサ、(コードネーム: バルセロナ)の出荷を待って発売されたということですが、このクアッドコアAMD Opteronプロセッサの特徴を教えてください。
山野: デルのサーバには、トップ・トゥ・ボトムですべてのフォームファクタにAMDのプロセッサが採用されていますが、クアッドコア Opteron プロセッサは仮想化支援機能の拡張が非常に大きなアドバンテージとなっていますので、今回特に仮想化をターゲットとした製品に採用されたことは、われわれも大きな期待を寄せています。 主な優位性は3つにまとめられますが、1つはパフォーマンスです。シングルチップに4つのCPUコアが統合された、ネイティブのクアッドコアとなっていますので、非常にスケーラビリティが高くなっています。 2つめが、ダイレクトコネクト・アーキテクチャです。これは既存のOpteron製品から受け継がれたAMD独自の技術ですが、プロセッサのダイ上にメモリコントローラが統合されています。従って、ボトルネックが解消され、仮想化環境のようなメモリアクセスの負荷が高まる場合に、非常にパフォーマンスが高くなります。マルチプロセッサの環境においても、ダイレクトコネクト・アーキテクチャによって、パフォーマンスの向上につながるのです。
図1を見ていただくと分かると思いますが、プロセッサにメモリが直結した形になっています。プロセッサ同士がHyperTransport™ テクノロジによってポイント・トゥー・ポイントのバスで双方向につながっていますので、例えば仮想化のコンフィグレーションをする場合でも、どのプロセッサにどう仮想化環境を割り付けるかということを細かく定義することができます。プロセッサのメモリに対しても、仮想サーバであるゲストOSの環境を構築するということがきちんと定義されて制御されますので、仮想化環境を構築しやすいのです。 3つめは仮想化支援の機能です。第2世代のデュアルコアOpteronプロセッサから、AMD-V™(AMD Virtualization™)という仮想化支援の機能が実装されていますが、今回クアッドコアになって新たにRVI(Rapid Virtualization Indexing)という仮想化支援の機能が加わっています。RVIの主な機能は「Tagged TLB」(Tagged Translation Look-aside Buffer)と「ネステッドページング」(Nested Paging)です。 Tagged TLBは既存のAMD-Vにも実装されていたものですが、TLB自体にタグをつけて管理するというもの。従来のアーキテクチャでは、TLBは入れ替わるたびにフラッシュされていましたが、TLBがタグにより管理されているためフラッシュする必要がなくなり、ゲストモードとホストモード間の切り替え処理が速くなります。 ネステッドページングは、仮想OSのメモリアドレス空間を物理メモリへと再割り付けしていた処理を、プロセッサ自体が行うというものです。これまではソフトウェアであるHypervisorがメモリ割り付け処理を行っていましたが、これをハードウェアで直接行うことでボトルネックを解消しています。 AMDは、HPC(High Performance Computing)の分野で実績があり高く評価されていることは知られていますが、その理由の1つは浮動小数点演算の処理能力が高いことです。クアッドコアAMD Opteronプロセッサではコアあたりの理論浮動小数点演算性能がデュアルコアから2倍にあがっていますので、HPC分野でもさらに期待されています。同時に、これは仮想化にも有利なことですがI/Oにも強い。これは、通信能力に優れているということなので、クラスタ環境でのスケーラビリティが高いということになります。つまり、筐体内のCPUを増やすというスケーラビリティも、サーバの筐体を増やしていくというスケーラビリティも高いということです。そして、さらに特徴的なのがセキュリティ面の機能です。 ―― 仮想化のセキュリティというのは、ハッキングされないというような意味でのセキュリティですか。 山野: そうです。ゲストOSがほかのゲストOSから乗っ取られないようにするなどの、仮想化環境を守るためのセキュリティのことです。最も危険性が高いのは、Hypervisorがブートアップするまでなので、それをセキュアに立ち上げるとか、起動時に前回クローズした時と同じ環境になっているかどうかをチェックする機能などが備わっています。(図2)
ポイントは、ゲストOS間の境界を強固にすること。それが担保されてないと、いくら仮想化で検疫ソリューションを導入しても、仮想化導入の利点が半減してしまう意味ともいえます。サーバシステムは通常、サーバ上に直接OSが載っているものを守るという発想で作られていて、あいだにHypervisorが立ち上がっている状態のものを守るようにはなっていません。しかし、AMDの仮想化支援の機能ではそれが備わっているということが大きな優位性となっています。
―― R805は仮想化に特化したハードウェアということですが、プロセッサ以外の面での特徴はどのようなことでしょう。 浦上: 仮想化はメモリ空間を非常に多く必要としますので、R805では標準のサーバの倍のメモリスロットを用意しています。同様に、仮想化では至る所からアクセスがあるので、I/Oのインターフェイスカードスロットも倍です。それらが増えた代わりに、ハードディスクは小さいものになっています。つまり、ストレージは外付けで使うということを前提にしているのです。もちろん、デルのほかのサーバでもVMware ESX ServerやCitrix XenServerなどの仮想化ソフトウェアは動きますが、R805は仮想化に特化した構成になっているのです。 また、仮想化というと、今はみなさんサーバだけしか考えていませんが、実はその後ろには必ずストレージが存在します。仮想化を考えたときに、ストレージの仮想化をしないと真の意味でのリソース最適化はできません。 デルは2008年2月より、先日買収したiSCSIでストレージ業界をリードするイコールロジック社の製品を発売しています。iSCSIはそれほど目新しい技術ではありませんが、ストレージネットワークのコストを劇的に下げることができます。つまり、デルではストレージまで考えた、ITシステム全体を最適化するためのグランドデザインとして、仮想化の技術を利用しているのです。 われわれは仮想化をシステム全体の最適化のための技術ととらえています。その全体最適を実現するためのサーバとして、仮想化に特化したR805があるという位置付けです。ストレージも含めた仮想化を実現した環境ではストレージは外付けの方が有利です。そこで、サーバとしてのハードディスクは必要最低限にして、その代わりにメモリやI/Oのスロットを多くとりました。そして、仮想化によるI/Oのボトルネックを解消するためにI/Oに優れたアーキテクチャであるAMDのプロセッサを搭載したということです。 今は、仮想化を既存のサーバを有効活用するための技術として利用している場合が多いようですが、今後は、ITシステム全体の最適化のために仮想化を利用することが重要ではないでしょうか。
提供:デル株式会社 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2008/5/31 |
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