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「Networks
as Platforms」
〜 IPコミュニケーション 〜
IPテレフォニーが新たなワークスタイルを生む
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IPテレフォニーはいまや、企業のIT担当者が最も注目するテーマの1つとなっています。しかし、時分割多重装置(TDM)の代替としてのVoIPゲートウェイ装置がようやく1つの市場を作り出そうとしていた時期から、シスコシステムズが、単独で電話機端末までを含めた完全なIPテレフォニーを実現するための構成要素を包括的に提供してきたことは注目に値するでしょう。例えば、シスコシステムズが最近発売した無線LANを活用する無線IP電話機、Cisco無線IP電話7920は、IPテレフォニーの新たな利用シーンを作り出し、ITのメリットをさらに広げるものです。
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Cisco無線IP電話7920 |
一般的な無線LAN技術(802.11b)を用いてIP電話を行うCisco無線IP電話7920は、一般の携帯電話機とほぼ同じ筐体で、無線LANのカバー範囲であればどこへでも持ち歩いて通話することが可能です。ユーザーが出張などで別の拠点にいたとしても、同じ内線電話番号で呼び出すことができるのです。内線電話機なので、従来の内線電話機に一般的なコールピックアップや転送などの機能は、当然ながらこの電話機にも備わっています。しかも、内線番号表が液晶画面に表示できるため、いちいち紙やイントラネット上で調べる必要はありません。かかってきた電話の発信者名も表示されるようになっています。各人にボイスメールボックスを与える設定となっていれば、ボイスメールが入ったことを液晶画面で通知することもできるのです。
つまり、携帯電話と内線電話のメリットを併せ持ち、さらに新たなコミュニケーションメディア端末としての展開を可能としているのが、この無線IP電話端末の特徴です。営業スタッフや、倉庫のフロア担当者、医師や看護師など、業務の性質上、机の前にほとんどいられないような人々に新たなコミュニケーション環境を与えることが可能なのです。しかも、こうした環境の構築に必要な設備は、データネットワーキングのインフラと無線LANアクセスポイントだけです。コンピュータによるコミュニケーションのための設備を、そのまま音声通話にも活用できます。
このCisco無線IP電話は、エンド・ツー・エンドのIPテレフォニーのもたらすメリットを端的に示しています。単純な通話のみの機能しか果たさないPBXや電話端末は、新たな価値を見出さない後ろ向きの投資であるといわれています。厳しい経済情勢によりIT投資にも選択と集中が迫られているなか、音声通話をIPネットワーク上に統合することで、非戦略的投資に費やされてきた無駄なコストを戦略的投資に再配分するとともに、非戦略的と思われてきた活動に、戦略的な価値を与えることができます。
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完全なIPテレフォニー化による新たなコスト削減効果 |
PBXからIPテレフォニーへの移行によるコスト削減は、さまざまな形で実現できます。まず社内の拠点間の通話を外線通話からIPネットワーク上に移行することにより、完全な内線化を実現し、拠点間通話コストをゼロにすることが可能です。このレベルのIPテレフォニーは従来のTDMの代替であり、既存のPBXを残したままでも導入することができます。ルータに音声ゲートウェイモジュールを搭載してPBXと接続し、ゲートウェイ間、つまり拠点間の音声トラフィックをIPで運ぶことになります。しかし、この段階では従来の内線電話システムの補完でしかありません。
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Cisco IP Phone
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キャリアIP電話サービス
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レガシーPBX+VoIP GateWay
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機器費用
設計調整費 |
5300万円
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1282万円
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1億1000万円
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年間費用(5年間使用) |
1000万円
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980万円
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2900万円
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※算出条件
1.ルータ/イーサネットスイッチ費用、およびディスカウントは含まない
2.年間費用は、電話システムを5年間使用した場合の1年間に換算した結果
3.キャリア外線費用は含まない |
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表1 IP電話600台(4拠点)に対する初期費用比較 |
PBX機能をコンピュータ上でソフトウェア的に実現したCisco CallManagerと、IPに直接音声を載せることのできる多機能電話機Cisco
IP Phoneや先に紹介した無線IP電話機Cisco Wireless IP Phoneを導入、完全なIPテレフォニーを実現すると、新たなコスト削減効果が見えてくるでしょう。まず本社にCisco
CallManagerを導入すれば、全拠点のIPテレフォニー環境を管理、制御できるため、支社や支店におけるPBXは不要になります。通話機能の監視や設定変更はネットワーク上のどこからでも実行できるため、PBX管理用の人員や外部委託もいらなくなります。
また、Cisco IP Phoneを導入した拠点では、ネットワーク利用と電話の利用のために、イーサネットケーブルと電話ケーブルを二重に引き回す必要はなくなり、イーサネットケーブルだけで事足りるようになるので、設備コストが節約できます。イーサネットケーブルに電力を供給できるシスコのLANスイッチを併用すれば、電源を別途必要とすることもなく、新たな拠点や部署、社員の追加に伴う端末の増設作業も簡単です。各Cisco
IP Phone端末に番号を固定的に割り当てられるため、社内のどこに持っていってもネットワークにつなげるだけで内線番号はそのままで通話することができます。従ってレイアウト変更があっても、設定変更に伴う新たなコストが発生しません。Cisco
Wireless IP Phoneでは、さらにオフィス内を歩いているときでも同一の電話番号で呼び出せるようになり、機動的な音声通話環境が実現できます。
シスコの電話端末では、ネットワークを通じてファームウェアをアップグレードし、長く使い続けていくことができます。初期購入時にライセンスを取得することで、アップグレードのためのコストが後から発生することはなくなります。将来的に通信事業社の(または、“キャリアの”)電話サービスのIP化が進んでくると、電話システム間の相互接続のための標準であるSIPへの対応が要求される場合も出てきますが、これもファームウェアアップグレードで対応可能です。
このように、音声をデータネットワークに統合することで、これまでデータネットワークと電話ネットワークのために別々に割り当てられてきた設備、人、場所などに関する各種コストを削減できるようになります。IPテレフォニー化を進めるほどその効果は大きくなってきます。しかし、必ずしも最初からオールIP化を実現する必要はありません。最初は既存のPBXを残したまま、TDMを代替するVoIPゲートウェイとしての導入から始めることも十分可能です。さらに倉庫などにいるため、電話によるコミュニケーションの取りにくい従業員に対して、Cisco無線IP電話を導入するなど、メリットの分かりやすいところから局所的に導入するという選択肢もあります。数十台での部門レベルでの利用から数万台の全社導入まで、規模に応じた構成ができる点も大きな特色です。
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図1 企業における内線電話で利用するPBXの共存と移行プラン |
IPテレフォニーにはもう1つ、電話というコミュニケーション手段を生き返らせることのできるという重要なメリットがあります。
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図2 ブロードバンドを使ったオフィス形態 |
例えば「IPコンタクトセンター」製品群では、データネットワークを通じて、いわゆるコールセンター機能の地理的な分散を機動的に実現できます。特定のコールセンターで処理している問い合わせや注文が、突発的にオーバーフローするような場合、IPネットワークサービスを通じて、適宜各地の支店に振り分けることも可能となり、さらに特定分野に関して深い知識を持っているものの、結婚などの理由で退職した元従業員に、在宅のままIPネットワークを通じてエージェントとして参加してもらうなどが可能となります。このように機動的なコールセンター運用が、専用ネットワークの構築なしにデータネットワークインフラだけで実現できます。
また、IPで再構築された電話システムは、当然のことながらコンピュータアプリケーションとの相性に優れています。CTIの例として真っ先に挙げられる、着信コールと顧客情報データベースの連動はもちろんのこと、顧客がWebページをクリックすることで、即座にIPコンタクトセンターと接続し、IP電話で問い合わせができるような仕組みも難なく作れるのです。Cisco
Unityを利用すると、音声メッセージ(ボイスメール)だけでなく、電子メールを、電話から確認できる機能を提供できるため、PCを持ち歩かなくとも外出先から迅速で緊密なコミュニケーションが取れます。逆に自分の電話番号に対するボイスメッセージやFAXメッセージを、電子メールソフトで一括管理・保存することができ、業務の履歴を確実に残すことができるのです。
このように、コスト削減だけでなく、生産性の向上や収益機会の創出につながるIPテレフォニーソリューションですが、業務で本格的に利用されるものであるためには、基本的な音声品質の確保、および信頼性の高い安定的な稼働が必須条件となります。IPテレフォニーでは、音声通話をIPネットワーク上のデータパケットとしてやり取りします。パケットによる音声トラフィックは、消費帯域こそ少ないものの、介在するネットワーク機器のパフォーマンス不足や、ほかのデータトラフィックからの悪影響が即座に通話品質の低下につながるという点で、トリッキーな性格を持っています。データネットワーキングにおけるパフォーマンスと通信品質制御機能、可用性を実証してきたシスコシステムズが、こうしたIPテレフォニーソリューションを展開していることは、非常に期待できるでしょう。ネットワーク機器、呼制御ソフトウェア、IP電話機、アプリケーション連携と、構成要素すべてを単一ベンダでまかない、単一のインテグレーション・パートナーが導入支援に当たることで、無駄なトラブルの発生防止や、迅速な導入につながります。
また、公衆電話網との接続では、信号レベルの調整など、逆にアナログ的なノウハウを要求されるところもあり、この点ではシスコのAVVIDパートナーが十分な実績を積んできていることで安心できます。そして何よりも世界におけるIP
Phoneの累計出荷台数が200万台以上あり、国内においても、金融や運輸をはじめとするさまざまな規模の企業で導入されてきていることが、シスコのIPテレフォニーソリューションの確かさを物語っています。
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