[Analysis]

メインフレームはLinuxに置き換わるのか

2003/01/28

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 富士通はメインフレームクラスのLinuxサーバを共同開発することでインテルと提携したと発表した。エントリ、ミドルレベルでのLinuxサーバの利用は急速に広がっているが、金融や通信、公共機関など絶対的な信頼性が要求される分野では、依然メインフレームが使われている。しかし、企業が新たにメインフレームを導入するケースはほとんどなく、オープン系システムへの移行が急速に進んでいる。そのリプレースOSとしてLinuxへの注目度が高まっているのだ。

 富士通はメインフレーム開発で培ってきた高信頼化や自律制御の技術を、新しく開発するLinuxサーバに投入する。富士通はLinuxサーバと同時に、メインフレームやUNIXサーバもこれまで同様に販売展開していくとしている。

 しかし、それなら富士通はUNIXサーバをメインフレームクラスまで拡張するという道を、どうして選ばなかったのだろう。富士通には、OSにSolarisを採用したUNIXサーバシリーズ「PRIMEPOWER」がある。これまでの実績を考えると、UNIXサーバがメインフレームのリプレース製品として開発が強化されてもよかったはずだ。

 富士通がLinuxを選んだ理由は、LinuxがUNIXのように特定のベンダに依存しないことだ。日本のベンダは、NECがヒューレット・パッカードから、日立がIBM、HPからなど、海外ベンダのOEMを受けて、UNIXサーバを販売していることが多い。これらのUNIXサーバにはOEM元のベンダが開発したOSが搭載されている。富士通としては、Linuxを採用することで、他社ベンダの影響力を排除したかったのではないだろうか。

 日本IBM、日立製作所などメインフレームのハードをLinuxに対応させるベンダを多くなってきた。ベンダの軸足が独自路線からオープン系を指向する方向に明確に変わってきたのだろう。エンタープライズ分野でLinuxが実績を積めば、メインフレームのリプレースとしてLinuxを採用する企業がさらに多くなるかもしれない。

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