[Analysis]
[Analysis] Webサービスの時代に、本当の価値が問われるJava
2002/10/29

Javaのかつての魅力は「Write Once, Run Anywhere」だった。しかし、現在はこのキャッチフレーズは使われていない。9月に横浜で開催されたJavaOne Conferenceの基調講演でジェームス・ゴスリン(James Goslig)氏も「われわれは、かつてそういったキャッチフレーズを使っていた」と、過去形で語った。
この理由は例えば、JavaがJ2EE、J2SE、J2MEなど目的別に発展しているためだ。J2EEとJ2MEでは利用されるAPIが異なるため、相互のポータビリティはない。もう1つは、ベンダ独自機能の追加だ。多様なデータソースへの接続からポータルの構築まで、標準化されていない部分では各ベンダが独自のライブラリなどを用意し、開発者を助けようとしている。これらを利用すると、やはりポータビリティは失われる。
そして、Write Once, Run Anywhereにとどめを刺すのがWebサービスの台頭だ。Webサービスのコンセプトは「どこで動作しているかは気にしない。呼び出せればいい」ということだ。Webサービス化はインターオペラビリティ化であり、相対的にポータビリティの重要性は薄れていく。
では、Webサービス時代のJavaの新しい価値は何だろうか? 言語の完成度やJ2EEのように整備されたAPI、安定したプラットフォームか? それとも開発者の数やアプリケーションの数か。しかしこれらの点では、Microsoft .NETにもボーランドの開発ツール群にも優れたものがある。進化のスピードでは、.NETのほうが早いかもしれず、現在の技術的な利点が将来も続くとは限らないだろう(もちろんこれは、Javaのライバルたちにもいえることだ)。
ベンダにとらわれないオープン性、これが古くて新しいJavaの価値ではないか。オープンだからこそベンダと製品の選択権がユーザーにあり、乗り換えも不可能ではない。IT投資の保護から考えて、Javaは優れたソリューションだ。しかも、確実に重要さが増しつつある「ヒューマンスキル」というリソースでさえ、Javaならバージョンや仕様の変更に強く、特定ベンダの戦略に左右されにくい。Java陣営はWebサービス化に積極的だが、それがJava自身の価値を変えているということも、同時に戦略として意識すべきではないだろうか。
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