[Analysis]

難航するMS独禁法違反訴訟

2001/11/09

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 米マイクロソフトの独占禁止法違反訴訟は、米司法省と米MSとの間で和解案が成立した時点で終結を迎えるかに思えた。が、すんなりとことは運ばないようだ。現在、原告団の18州のうち9つの州が和解案受け入れに応じているものの、残りの州は拒否している。和解案にさらなる制約が加えられる、あるいは訴訟そのものが長引く可能性も出てきている。

 11月2日、米司法省と米MSが和解交渉が合意に達した。それを受け、翌週6日に原告団18州から和解案合意を得られるかが注目されていたが、半分の州が受け入れを拒否した。和解案は、ソフトウェアコードの多くの部分を開示すること、メーカーが同社以外のソフトウェア開発企業とも契約を結べるようにすること、などの内容が折り込まれているが、反対する州は、“(この案には)MSの独占的振るまいを罰する要素がまったく見られない”とし、強硬な姿勢を崩していない。なお、これらの州には、カリフォルニアやユタ、マサチューセッツなどの州が含まれており、一部報道では、これらの州にMSのライバル企業の本社があることなどが影響しているのではないかという見方もあるようだ。

 3年半前に始まった、ハイテク業界史上に残るこの裁判は、一時は同社分割で決着がつくと見られた(2000年6月)。ところがMS側はこれを不服として上訴、今年6月米司法省の分割命令差し戻し(2001年6月)により、情勢はMS優位へと一気に変わった。その間の、政権交代、景気の急速な後退、テロ事件による戦争状態への突入なども、世界最大のソフトウェア企業であるMSの力を失わせるべきではないと、MS有利に働いたといわれている。

 現在、一部の州とは和解案合意に向けての協議が進められている。また、独自に訴訟を継続するという州もあり、まだ終結には時間がかかりそうだ。

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