Cisco UCSの導入企業が導入の経緯を紹介
仮想化で見えにくくなったリソースを「Cisco UCS Manager」で管理
2011/06/01
シスコシステムズは5月31日、「データセンターファブリック」構想に関するラウンドテーブルを開催した。「Cisco Unified Computing System(Cisco UCS)」を導入してインフラを刷新したトッパンシステムソリューションズ、NTTデータの担当者も登場し、ユーザー企業の立場から採用の理由を語った。
シスコは、FCoEによってファイバチャネルを統合するデータセンター向けスイッチ「Nexus」シリーズや、仮想アプライアンスのプラットフォームとなる「Nexus 1000V」仮想スイッチのほか、EMCおよびヴイエムウェアの製品と組み合わせた仮想化環境パッケージ「Vblock Infrastructure Package」(Vblock)、そしてCisco UCSといった、データセンターファブリックを形作るための製品をリリースしてきた。「ダイナミックに動いているクラウド環境を支えていこうというのが目標」(シスコシステムズ データセンタ/バーチャライゼーション事業統括 専務執行役員 石本龍太郎氏)。

同時にシスコは、自社内インフラの刷新にも着手。新たに、米テキサス州リチャードソンにデータセンターを設置し、Cisco UCSをベースにした開発技術者向けの社内IaaSを構築した。
社内IaaS基盤では、従来の環境を段階的に仮想化することでTCOを37%削減、ラックマウントサーバをCisco UCSに移行することでそこからさらに27%削減したという。同時に、開発環境の用意に要する時間も短縮した。従来は、要件に応じて個別にテスト環境を調達、構築するため、6〜8週間もの期間を要していたが、いまでは仮想マシンを用意するまでに要するのは15分程度。さらに管理/オーケストレーションツールを組み合わせて作業の自動化を進める計画という。
トッパンシステムソリューションズでは、自社のデータセンター事業「TOPICA」の仮想専用サーバサービス「VMDC」の基盤として、Cisco UCSを採用した。価格に加え、3カ月程度という短納期、柔軟性や拡張性といった要件を満たすことができたのが、Cisco UCSだったという。加えて、仮想化の弱点といわれているI/O性能に加え、ボトルネックとなる可能性のあるネットワーク部分に強いことも評価の要因となった。
実際に導入してみて、現場のエンジニアから評価を得ているのが、GUIの運用管理ツール「UCS Manager」だという。既存のシステムと異なり、仮想化するとリソースが目に見えなくなる。「目に見えないものを分かりやすく表示してくれるため、運用効率が向上している」(トッパンシステムソリューションズ ITサービス本部 サービスインテグレーション部部長 斎藤伸雄氏)。
NTTデータは、UNIXサーバで構築していたシステム基盤を、業務プロセスの優先度に応じてパターン化、最適化し、新たに共通基盤を構築した。この基盤にCisco UCSを採用したという。TCO削減、特に運用コスト削減に有効だったのが、やはりUCS Managerだったと、NTTデータ 基盤システム事業本部 小林武博氏(システム方式技術ビジネスユニット 第二技術統括部 第二技術担当部長)は述べた。「ラックの中のリソースを、1つのサーバとしてまとめて管理できる」(小林氏)。また、FCoEによってケーブリングやサーバ設定に要する時間を短縮できるというメリットも生まれたと説明した。
石本氏は、UCS Managerを活用してデータセンターファブリックによる仮想化環境の管理を効率化できると述べ、将来的には、「アプリケーションも含めたオーケストレーションの仕組みを提供することを考えている」(石本氏)と述べた。
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