オール光は省エネルギーも実現

2015年以降の大容量ネットワークは「フォトニック」で、NICT

2008/11/07

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は11月6日、データの伝送や交換、経路制御といった処理をすべて光信号で行う「フォトニックネットワーク」の研究成果を披露する成果発表会を開催した。

 フォトニックネットワークは、伝送路として光ファイバを用いるだけでなく、データの交換やラベル処理を行うルータにおいても、電気ではなく光で処理を行う。こうした「全光ルータ」は、光の信号をいったん電気に変えて処理を行い、再度光に戻す電気ルータに比べ高速にパケットを処理でき、ネットワークのボトルネックを解消できる点がメリットだ。オール光化によって、増大し続けるインターネットトラフィックに対応しうる、超高速・大容量のネットワークインフラを実現できるという。

 イーサネットの世界においても、40Gbps、あるいは100Gbpsの伝送速度を実現する標準が提案されつつある。だがフォトニックネットワークでは、電気的処理の限界を乗り越え、テラビット、あるいはペタビットクラスのネットワークの実現も可能という。NICTでは、大容量光ノードや光波長アクセス、波長多重、ネットワーク制御などの技術開発を進め、2015年以降の高速フォトニックネットワークの実用化を目指すという。

 大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻の北山研一教授は、「これまで講演の中で出てくるルータは、すべてシスコなど海外製。次世代の光ルータは、日本が再び市場を奪い返すための研究だ」と述べている。

 NICT理事の宮部博史氏は、次世代フォトニックネットワークの実現に向けては、「大容量、高品質化」「低消費電力」「コスト」、そして、さまざまなサービスのニーズに応じて適用できる「拡張性」が課題だとした。「消費電力の研究に関しては、日本がトップランナー」(宮部氏)だという。

 会場で行われたパネルディスカッションにおいて、東京大学大学院情報理工学系研究科の浅見徹教授は、電気ルータの場合、処理能力の向上に比例して、エネルギー効率化指数(EER:Enerfy Efficiency Rate)が増えていると指摘。高速化を図りながら、省エネルギーという課題をクリアしていくには「電気以外の技術が必要だ。その中でフォトニックは、非常に有力だと言える」と述べた。

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(@IT 高橋睦美)

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