IIJが若手技術者のアイデア募りインキュベーション事業
「3.0」の時代に向けた新たなサービス基盤を作りたい
2007/12/03
インターネットイニシアティブ(IIJ)は12月3日、次世代インターネットの基盤となる新たな技術やビジネスモデルを日本から作り出すことを目的とした「IIJイノベーションインスティテュート事業」を開始すると発表した。
この事業では、新たなインターネットの基盤技術のアイデアを持った若手技術者を公募する。選考された技術者は、2年間の契約社員として技術開発業務に従事することになり、ネットワーク設備やソフトウェア検証環境が提供されるほか、開発成果をサービス化、事業化するための支援が行われる。

「我が国のインターネットは、終始アメリカの後塵を拝し、アメリカの作ったものを使ってきた」と同社代表取締役社長の鈴木幸一氏。これに対し、IIJイノベーションインスティテュート事業を通じて広く新しい技術のアイデアを求め、「使う人が主体となった次世代のインターネットを作り出していければ」と述べた。
同社取締役副社長の浅羽登志也氏は、インターネットはいまが最終形ではなく、これからも発展していくだろうと予測する。ユーザーや情報、コンピューティングリソースがインターネットにつながるようになった「1.0」の時代、ユーザーどうしや情報どうし、あるいはリソースどうしがつながるようになった「2.0」の時代を経て、これから先は、ユーザーや情報、各種コンピューティングリソースがダイレクトにつながる「3.0」の時代が到来するという。
しかし「ユーザーと情報、リソースの間をつなぎ合わせていくには、インターネットがトランスポートの役割を果たすだけでは難しい。新しいサービス基盤が必要になる」(浅羽氏)。
同氏が描くのは、IPとTCP/UDPの間に、セキュリティの確保や認証、PtoPや分散コンピューティング、さらには構造化や検索といった情報配信・情報管理のための技術を備えた新たなレイヤを入れ込むイメージだ。具体的にどういった形を取るかは分からないが、「インターネット全体を1つの分散コンピュータシステムと見た場合、新たなサービス基盤として、インターネットオペレーティングシステムが必要になるだろう」という。
米グーグルをはじめとする「Web 2.0系」と称される企業の多くは、新しい分散コンピューティング環境の実現に向けた研究開発を進めている。若手技術者の発掘を狙った研究事情やインキュベーション事業も珍しくはない。ただ、「アプリケーションを作って終わりではなく、新しいコミュニケーションサービスの基盤となる部分を作りたい」と浅羽氏は述べている。
また、大学の側から協力する斎藤信夫氏(駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部学部長、慶應義塾大学名誉教授)は、「日本からの技術立ち上げを目的とした大学発のベンチャーも多数あるけれど、成功例はそれほど多くない。理由の1つとして、1つの大学だけでやっていることが挙げられる」とし、IIJイノベーションインスティテュート事業の多様性に期待したいと述べた。
IIJイノベーションインスティテュートは、同社の創立15周年記念事業として進められる。2008年1月7日から技術者の公募を開始する予定だ。4月には研究開発プランを発表し、正式にIIJイノベーションインスティテュートを立ち上げる計画という。
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