[運用] Windows Intuneで始めるPC管理 第1回 3.クラウド型のPC管理サービスができること(2) マイクロソフト株式会社エバンジェリスト 高添 修(http://blogs.technet.com/b/osamut) 2011/06/02 | ![]() |
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■リモート・アシスタンス
Windows Intuneの機能の中でも割りと評判がよいのが、このリモート・アシスタンスである。この機能を利用すれば、エンドユーザーのPCあるいは管理者のPCのどちらが社内にあろうと海外出張中であろうと、管理者は自分自身のPCからエンドユーザーのPCを遠隔操作できる。また、Windows Intuneのハードウェア/ソフトウェア・インベントリ、これまでのアラートの履歴などが、不具合対応に役立つこともあるだろう。
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Windows Intune Centerからのリモート・アシスタンス要求 |
これはWindows Intuneのインストール作業と同時にPCへインストールされるツール。不具合が生じた場合に「システム管理者のリモート アシスタンスを要求します。」をクリックすると、Windows Intuneのサイトにアラートが表示される。 |
どのような企業であっても、PCのスペシャリストではないエンドユーザーからの問い合わせ(特に電話でのやり取り)は、管理者を悩ませる原因の1つといえる。リモート・アシスタンスを使うと、不具合の詳細を電話で聞いたり、エラー番号を確認したりするのではなく、直接エンドユーザーのPCの画面を閲覧したり操作したりして対応できるわけだ。その場で簡単に対応できるエラーばかりではないかもしれないが、管理者が正しく状況を把握することからスタートできるというのは、運用管理の現場において迅速な問題解決への近道といえよう。
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リモート・アシスタンスの画面の例 |
管理者のWindows 7マシンからインターネット経由でエンドユーザーの画面(赤い枠線内)を操作しているところ。エンドユーザーも自分のPCがどのように操作されているかをリアルタイムで確認できるため、安心してトラブル対応を任せることができる。 |
■レポート
Windows Intuneのレポート機能では、更新プログラムの情報、ソフトウェア・インベントリ情報、そしてライセンスの情報をレポートとして出力できる。また、ハードウェア・インベントリやアラートの画面など、管理画面で表示されるリストのほとんどが、印刷したりエクスポートしたりできる。このため、Windows Intuneのレポートとしての機能にとらわれることなく、さまざまな情報をCSVファイルにエクスポートして再利用するといったことが可能だ。定期/不定期で上司へITの状況を報告する必要がある管理者にとっては、強力なツールとして負荷を軽減してくれることだろう。
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Windows Intuneのレポート機能の画面例 |
Windows Intuneで管理しているPCにインストールされたソフトウェアの一覧、インストール数、インストールされたコンピュータが表示されているところ。 |
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更新プログラムのレポートの例 |
マイクロソフトが提供する更新プログラムの一覧を表示し、適用済みのPCの台数やコンピュータの一覧、適用に失敗したPCや保留中のPCの台数などを確認できる。 |
オンプレミス型(社内設置型)管理ツールとの違い
Windows Intuneはクラウドを利用した管理サービスなので、サーバ環境のインストール方法を学ぶ必要はない。サーバ・マシンもサーバOSも、そしてActive Directoryの設定も必要ない。この容易さは何ものにも代えがたく、また運用管理全体では大きなコスト削減につながる可能性もある(コストについては本稿の最後で説明する)。さらに、Windows Intuneにはマルウェア対策ソフトウェアなど、通常ならば別途購入してオンプレミスで運用しているソフトウェアも含まれるため、Windows Intuneに集約することによるメリットは大きいといえる。
ちなみに、Windows Intuneの現時点での限界は拡張性のなさに尽きるだろう。Windows Intuneが自動的に収集した情報は、管理者であっても変更や追記ができない。例えばソフトウェアにはあらかじめ決められたカテゴリがあり、Windows Intuneが自動的に分類してくれるが、それを管理者は制御できない。このように、Windows Intuneが持っている機能を、そのまま利用することになる。
一方、比較対象としてマイクロソフトがオンプレミス用の構成管理ツールとして提供しているSystem Center Configuration Manager(SCCM)を考えてみる。こちらの場合、搭載する機能はあくまでもベースとして動いていて、その機能をどのように利用するかは管理者の設定によって決まるともいえる。自由度も拡張性もあるため、企業の規模やPC環境、運用ポリシーなどに合わせてカスタマイズしながら利用するには最適というわけだ。
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System Center Configuration Manager(SCCM)のサイト管理画面の例 |
企業内のネットワーク構造に応じて処理を実行できるよう、オンプレミスの管理ツールの中には、複数のサイトを管理する機能を持つものが多い。 |
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SCCMにおける、コンピュータを自動的にグループ化するためのクエリ設定画面 |
企業内にはさまざまな種類のOSやハードウェアがあり、インストールされているソフトウェアも均一化されているとは限らない。そこでSCCMには、処理対象にしたいコンピュータを自動的にグループ化するためのクエリなども用意されている。 |
ほかにも、SCCMが持つOS展開機能やソフトウェア配布機能、コンピュータを自動的にグループ化し、そのグループに対して処理を自動化していくような機能はWindows Intuneに含まれていない。ただし、これらはクラウドとオンプレミスの違いだけでなく、単なる製品としての機能差である場合が考えられるため、具体的な比較対象の製品がある場合には、きちんと比較検証を行った方がよいだろう。
自由度や拡張性はメリットにもなるが、使いこなす側に高いスキルを要求することも多い。逆に、提供されるサービスの枠の中で利用するというクラウドの制約はデメリットの1つだが、決められた手順で管理をするというシンプルさは、管理者の負荷を減らしてくれる可能性もある。このように、どちらがよいということではなく、ケースバイケースで選択するべきだろう。
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INDEX | ||
[運用]Windows Intuneで始めるPC管理 | ||
第1回 Windows Intuneは時間のないIT管理者の味方か? | ||
1.Windows Intuneの概要 | ||
2.クラウド型のPC管理サービスができること(1) | ||
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3.クラウド型のPC管理サービスができること(2) | |
4.実際にWindows Intuneを使ってみる | ||
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運用 |
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