―― 米国IT Pro大規模コミュニティ、CulminisのIT Pro地位向上戦略 ―― Dave SandersCulminis, Inc. http://www.culminis.com/ President/CEO 聞き手:Windows Server Insider編集長 小川 誉久 |
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ソフトウェア開発者向けのユーザー・コミュニティには活発なものが多いが、情報システム管理者などを対象とするコミュニティはあまり多くない。こうした違いの背景には何があるのか? IT Pro同士が相互扶助できるコミュニティはどうやってつくればよいのか? IT Proの作業環境、地位向上には何が必要なのか? 全世界で100万人を超えるIT Proの組織化に成功したCulminis(カルミニス)のCEO、Dave Sanders氏に伺った。
―― Culminisというのはどういう意味か。
Sanders:ラテン語の“culmin”と英語の“culmination”にちなんで作った造語。どちらも「頂上」というような意味がある。 |
―― 現在のCulminisの規模や活動内容は。
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―― Culminisがいう“IT Pro”とは。
Sanders:私たちの定義では、システム・エンジニアやネットワーク・エンジニア、ネットワーク管理者、デスクトップ・サポートなどをIT Proと呼んでいる。ソフトウェア開発者は含まない。ソフトウェア開発者向けのコミュニティとしては、すでにINETA(The International .NET Association:アイネタ)などがある。ただし実際には、INETAとCulminisの双方のユーザー・グループに参加しているIT技術者も少なくない。 |
―― 日本では、システム管理者などIT Proの価値が正しく評価されておらず、地位もあまり高くないという傾向があります。
Sanders:それは日本だけでなく、世界で共通した問題だ。Culminisの大きな活動目的も、そうしたIT Proの地位向上にある。 |
―― IT Proの地位向上に向けた具体的な取り組みは。
Sanders:例えばセキュリティ管理のように、IT Proの仕事は、必ずしもすべてが企業の生産性につながるものばかりとは限らない。この点を理解せず、生産性だけに注目してIT Proの価値を評価している企業があまりにも多い。この問題に対する1つの方策は、地域の学校などでコミュニティ活動やボランティア活動を積極的に実施し、プロフェッショナルとしての尊敬を勝ち得ることだ。特に北米地域では、こうした社会活動を企業の経営者に認知させることに成功した。企業によっては、スポンサーを名乗り出るところが現れるなど、非常に成功している。もう1つは、企業の経営層を構成するビジネス・コミュニティに対し、積極的な告知活動を実施することだ。ニュース・レターやWebサイトなどでの告知活動を実施している。 |
―― 開発者コミュニティが活発なのに比較し、システム管理者からなるIT Proのコミュニティはあまり活発ではありません。
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―― 情報システム環境は企業によってまちまちです。コミュニティのための共通の土台という意味では障害になりませんか。
Sanders:環境によらず、興味分野に集中できるように、Exchange ServerやSQL Serverなど、製品ごとに議論できるスペシャル・ユーザーグループを用意している。また相互運用を中心に扱うユーザー・グループもあり、Linux、Sun、Appleなどのマルチベンダ環境でビジネス・アプリケーションをどう扱うかという議論を行っている。 |
―― Culminisは学生向けの活動も手掛けていますね。
Sanders:IT Proの地位向上という意味でも、若手技術者の育成は非常に重要だと考えている。職場で必要とされる生きたIT Proの技術とはどんなものかを学生に教えるカリキュラムを用意し、教育支援を積極的に行っている。また学生向けには、インターンシップによる就職機会も提供している。 |
―― 日本では、優れたIT Proの育成に苦労しています。
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―― 経営層にアピールするのは容易ではないのでは。
Sanders:私たちはまず、いかに多くのIT Proが恵まれない環境で仕事をしているか、過小評価されているかを議論し、それに対して情報を共有できる場をつくった。この場にビジネス・パーソンにも参加してもらい、IT Proを正しく評価し、整備された環境で優れた仕事をさせることが、ビジネスにどれだけメリットをもたらすかを知らせた。IT Proのコミュニティだけでなく、開発者コミュニティやビジネス・パーソンのコミュニティなど、異なるコミュニティとの接点をつくることが大切だ。ただし、本当に自分の価値をアピールしたければ、声を上げるだけでなく、IT Proの側にも努力が必要である。このためCulminisでは、IT Proを対象としたビジネス・プロセス管理や、プロジェクト管理の教育カリキュラムも提供している。IT Proとしても、ビジネスが何たるかを理解しなければならない。技術だけでなく、ビジネスに関しても総合的に理解することが重要だ。 |
―― IT Proコミュニティを活性化させる秘けつはありますか。
Sanders:IT Proに限らず、技術者コミュニティ全般にいえることだが、IT Proは技術者同士のコミュニケーションは得意でも、マーケティングや広告は不得手である。このためCulminisでは、ユーザー・グループをうまく広告するためのテンプレートを作成して提供した。またどんなユーザー・グループが、いつ、どこで、どんなイベントを開催するのかがひと目で分かるようなロケーター機能をCulminisのサイトに作成し、参加者が簡単に調べられるようにした。 |
―― Culminisの日本での活動は。
Sanders:世界の地域ごとに異なる文化やニーズを理解する必要がある。日本にとってどのような活動がベストなのかを検討している。 |
―― 日本の印象は。
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―― 最後に、日本のIT Proに対してメッセージをどうぞ。
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